二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】軌跡より確かな輝き
日時: 2024/12/15 15:23
名前: きのこ (ID: sbAJLKKg)
参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no http://uuuu

教室の中、放課後の静けさが二人を包んでいた。窓から差し込む夕日の光が、机の上に柔らかな陰影を作り出す。その光の中で、綾子はただ一人、凛の隣に座っていた。

「凛、最近、なんだか元気ないよね?」

綾子は言葉をかけたものの、その問いには明確な答えを期待していなかった。凛はいつも、無理して笑っているところがあるから。その笑顔の裏に隠れた痛みを、綾子は少しずつ感じ取っていた。

「そんなことなわよ、綾子。心配しなくていい。」

凛の声は少し震えていた。その小さな違和感が、綾子をさらに不安にさせた。だって、凛は嘘をついていた。彼女の瞳の奥に、何かを隠すような深い悲しみがあることを、綾子は知っていたから。

「嘘だよ、凛。何か、隠してる。」

その言葉が出た瞬間、凛の表情がわずかに歪んだ。それでも、彼女は目を逸らさずに綾子を見つめ、静かに口を開いた。

「私、もうすぐ――」

凛が言葉を止めた。綾子の胸が締め付けられる。何を言おうとしているのか、綾子は分かってしまった。

「もうすぐ、何があるの?」綾子は声を震わせながら問いかけた。

凛は深く息を吸い込むと、静かに答えた。

「私は、この世界からいなくなる。貴女に言うのが遅すぎたけれど…私は、ずっと前から知っていたの。」

綾子はその言葉に、言葉を失った。凛がいなくなる? そんなことが、どうしてあり得るのか。彼女が抱える痛みが、こんなにも深いものだったなんて、知らなかった。

「どうして…どうしてそんなこと言うの?」

綾子は涙をこらえきれずに、凛の手を握った。その手は冷たく、震えていた。

「ごめん、綾子。貴女をこんな気持ちにさせたくなかった。」凛の声がかすれた。

「そんなことないよ! お願い、行かないで…!」

「でも、もう時間がないの。貴女に言いたかった、貴女が私にとってどれだけ大切だったか、ずっと伝えたかった。」

凛の瞳が涙で潤んでいる。それは、悲しみというよりも、むしろ感謝のようなものが込められていた。

「凛、私だって――」

「知ってるよ。」凛が微笑んだ。その笑顔は、どこか寂しげだったけれど、綾子にはその笑顔が世界で一番美しいものに見えた。「でも、君には幸せになってほしい。私は、君を苦しませたくない。」

「そんなの、嫌だ。私は、凛とずっと一緒にいたい。」

綾子はその言葉を口にした瞬間、自分の気持ちが全部、凛に伝わったのだと感じた。だって、凛の瞳が少しだけ光を取り戻したから。

「ありがとう、綾子。貴女と過ごした日々が、私にとってどれだけ宝物だったか…」凛は一瞬目を閉じると、静かに言った。

その瞬間、教室の窓の外から、微かな光が差し込んだ。それは、まるで凛の魂が次の世界へと旅立つかのようだった。綾子はその光を見つめ、凛の手を強く握りしめた。

「凛、私も大好きだよ。」

その言葉が、二人の間に最後の約束となった。凛は優しく微笑んで、目を閉じる。そして、そのまま静かに息をひそめた。

凛のいない世界で、綾子はただひとり、その輝きを胸に生きるしかなかった。彼女の笑顔が、そしてその温もりが、永遠に綾子の中で生き続けることを信じて――。


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