二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】青、紅、紫の残響
日時: 2025/01/11 18:43
名前: きのこ (ID: T332fYOA)
参照: kakiko.info/profiles/index.cgi?no

1. 青の片想い
桜の目には、青い光がまぶしかった。

夕日が沈む前の屋上。そこに立つセイバーは、空の蒼と混ざり合い、まるで幻のように美しい。その後ろ姿を見つめながら、桜は小さく息を吐いた。

「セイバーさん……」

小さな声で囁いたが、風にかき消される。セイバーの鋭い瞳は空を見据え、風が彼女の金色の髪を揺らしている。遠い存在。それが桜にとってのセイバーだった。

「なんだか……綺麗すぎて、嫌になります……」

胸の奥がじくじくと痛む。

彼女がこんなにも眩しいのは、桜の心の中で何かが欠けているからだろうか。それとも――

2. 紅の嫉妬
その欠けた何かを埋めてくれるのは、いつだって凛――姉さんだった。

「桜、何よその顔。死んだ魚みたいじゃない」

桜がうつむいていると、姉さんが彼女の頬を軽くつつく。姉さんの指先は冷たくて、触れるたびにざわりとする。


「姉さんこそ……セイバーさんばっかり見てるくせに」


「はぁ? そ、そんなわけ――」

「嘘ですよね」

桜の言葉に姉さんは息を呑む。妹の目は深く暗い紫色で、見透かされるような気がして、姉さんは視線を逸らした。

「……桜には関係ない」

嘘だ。

桜は笑う。笑うけれど、目が笑っていないのを姉さんも分かっている。

3. 切れそうな糸
その夜、セイバーは廊下で二人の姉妹を見た。小さな月明かりが二人の顔を照らしている。

「どうして……」

桜の震える声。


「どうして姉さんはセイバーさんにばっかり……!」


「……だから、関係ないって言ってるでしょ」


「私、ずっと分かってたんです……。姉さんがセイバーさんを好きだって。だけど、姉さんは絶対に認めない」



「っ、そんなこと――!」

姉さんが何かを言いかけた瞬間、セイバーが進み出た。

「待ってください」

静かで、それでいて切実な声だった。

「……私のために、争わないでください」

二人の視線がセイバーに向く。青、紅、紫――色が絡み合い、ほどけない糸のようだった。

「私が誰を好きであれ、あなたたちの絆を壊すようなことは……望みません」

涙がこぼれそうになる桜の目を見て、姉さんの唇が震える。

「そんなの……無理よ」

「無理、ですか?」

セイバーの顔に、かすかな微笑みが浮かぶ。


「では、私があなたたち二人を、等しく――愛することにしましょう」


4. 微妙な三角関係
シンと静まり返った夜。

「……え?」

桜がぽかんとした顔で、姉さんも同じように絶句する。

「いやいやいや! そういう解決法はないでしょ!」

「えっ、でもセイバーさんが言うなら……」

「桜、あんた正気?」

「だって……セイバーさんが優しいんですもん」

姉さんは頭を抱えた。

「ちょっと待ってよ……これ、私たち二人とも負けてない?」

「ふふっ」

その様子を見て、セイバーは小さく笑った。涙腺が崩壊しそうなほど切なく、だけどどこかおかしい。

「愛というのは複雑ですね」

「ほんと、勘弁して……」

姉さんはため息をついたが、その顔にはどこか安堵が滲んでいた。

桜も、心の中の痛みが少しだけ和らいだ気がした。

三人の関係は――これからもきっと、青、紅、紫のまま。

ほどけないけれど、切れない。

それでいいのかもしれない。


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