二次創作小説(新・総合)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 頼れる弟でいたいから
- 日時: 2025/01/31 07:37
- 名前: 消兎‐syoto. (ID: De6Mh.A2)
ジェルくんside
「…ふ、ぁ」
いつも通りの朝であってほしかった。
時計を見ると、時刻は午前7時32分。
なーくんが来ない。
いつも7時には起こしに来てくれるなーくんが、今日は自分の部屋に来ないのだ。
いや、一度起こしてくれたのかもしれない。
それで俺が起きなくて、先にご飯作ってくれてたり…
うん、きっとそうだ。
少し不安が募り始めた心に蓋をして、足早にリビングへ向かった。
「やっぱり、起こしに行くか」
リビングへ続くドアを開けようとした時、さとちゃんの声が聞こえた。
「うん、流石に…」
「なーくん、なんかあったのかな…?」
「大丈夫かなぁ…」
莉犬にぃ、ころん、るぅちゃん、と口々に話し合う声の中に、なーくんはいない。
「…おはよ…さとちゃん、なーくんは…?」
「あ、ジェル!おはよ…やっぱジェルんとこにも来てないか…」
「ジェルくん、おはよ…なーくんが起きてこなくて…」
やっぱり…
倒れてたりしたらどうしよう、とか、嫌な考えだけが脳裏に浮かぶ。
「お、俺、見てくるわ…!」
「え、ちょ、ジェルくん!」
後ろから聞こえるころんの声を振り切って、なーくんの部屋へと急いだ。
こんこんっ
出来るだけ控えめにドアをノックする。
「な、なーくん…朝やで?どうしたん…?」
返事はなかった。
時折布団のこすれる音が聞こえることから、部屋にいることは間違っていないだろう。
「はっ、はーっ…じぇる…お前、早いって…」
後ろから、さとちゃんの途切れ途切れの声が耳に入った。
謝らなければいけないが、頭の中にはもうなーくんのことしか無かった。
「な、なーくん…!入るで…!」
そういって、ガチャっと扉を開ける。
そこには、頬を真っ赤にしたなーくんがいた。
「な、なーくん…!?」
「どうしたの!?」
みんなが口々になにか言っているが、大好きなお兄ちゃんの苦しそうな姿を前に、
俺は動けなくなっていた。
早く動かなきゃいけないのに
今すぐ、なーくんがどうしたのか確認しなくちゃなのに
俺が、役に立ちたいのに…
俺は、なーくんの弟やねんから…
『ジェルくんすごーい!!』
頼りになる、弟でおらなあかん…!
「な、なーくん…ちょっと待っとってやっ…」
急いでリビングに戻り、体温計やタオルを洗面器につっこむ。
なーくんがいつも、こうやってるから…
「よしっ…」
独りで呟きながら、さっき来た道を戻る。
「た、だいま…」
息を切らしながら部屋に飛び込むと、目を覚ましたであろうなーくんが、
なんだか焦点の合わない瞳で見つめてきた。
なーくんside
昨日の夜から、なんとなく不調には気づいていた。
いつもより熱を帯びた頬と、たまに頭に走る痛み。
風邪でも引いたのかなぁ…
そんなことを考えながら、眠りについた。
朝、目が覚めると同時に、色んなものが主張を始めた。
昨日なんかと比べ物にならないくらいの頭痛と、寒気。
頭に走った痛みに「い‟っ、た…」と呟くと、驚くほど掠れた声が出た。
学校 続くぜ