二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚
- 日時: 2025/02/11 17:28
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
プロローグ
深夜の霧が立ち込める町の片隅。街灯の薄明かりに照らされて、ひとりの女性が歩いていた。
彼女の名は藤丸立香。探偵として名を馳せる彼女は、いつも冷静で理知的な眼差しを持っているが、今はその表情に少しの困惑が浮かんでいる。
「先輩、ここから先は…」
助手のマシュが声をかける。その顔には不安と恐怖が入り混じった表情が見え隠れしていた。
立香はその不安を感じ取ったが、何も答えずに進み続けた。
霧が濃くなるにつれ、目の前の景色はほとんど見えなくなり、周囲から聞こえる音はただひとつ、風の音だけとなる。
だが、それを打破するかのように、ひときわ大きな音が耳をつんざく。
「――あれ?」立香は足を止め、静かに周囲を見渡す。
先ほどから何かが違う。
どこからか目に見えぬ圧力を感じ、何かを確かめるように歩を進めたその時、目の前に現れたのは――
アルトリアとモルガンだった。
だが、彼女たちの姿はどこか違和感を覚えるものだった。
アルトリアはいつも通りの威厳を持っていたが、その眼差しにどこか痛々しいものが感じられる。
モルガンもまた、立香をじっと見つめ、微かな笑みを浮かべていた。
「立香さん、あなたが求める答えはここにあるわ。」モルガンが冷たく告げる。
その言葉に立香は不安を覚え、振り向くと、背後からも霧の中から現れた何者かの足音が響いていた。
「先輩、危ないです!」マシュが立香の腕を掴み、急いで引き寄せる。
だが、立香の目はすでにその先に見えるものを捉えていた。
第1章
霧が晴れたのは、町の外れにある古びた屋敷の前に辿り着いた頃だった。
立香とマシュ、そしてアルトリアとモルガンは、無言のまま屋敷の扉を開けた。
中に入ると、長い廊下が彼女たちを迎えた。
壁にはかすかな血の痕跡があり、床はひんやりとして冷たく、空気はどこか重苦しい。
「ここが、依頼の現場ですね…」立香は低く呟きながら周囲を観察する。
「ええ…」アルトリアが少しだけ息を吸い込み、周囲を警戒する。
「しかし、ここには何か異常があるようだ。」
「そうですね。」
モルガンも周囲を見渡し、微かに眉をひそめる。
「ただの幽霊屋敷ではなさそうね。何かもっと深い、恐ろしいものが潜んでる。」
その言葉が重く響いたとき、突然、遠くから女性の悲鳴が響いた。
「――あれは…?」立香はすぐに駆け出し、悲鳴が聞こえた方向へ向かう。
マシュが少し遅れてついてきて、アルトリアとモルガンもその後に続く。
廊下を進み、何度も曲がりくねった先に現れたのは、ひときわ古びた扉だった。
その扉の隙間から、かすかな光が漏れていた。
立香はその扉を押し開けると、目の前に広がっていたのは…血塗れの部屋だった。
床には倒れた人影があり、その周りには謎の符号が描かれていた。
「何です…これ?」マシュは恐怖に震えながら呟く。
立香は一歩踏み込んで、その部屋を調べ始めた。
だが、その瞬間、背後で扉がバタンと閉まる音がした。
立香は素早く振り向く。
その視線の先には、何もないはずの暗闇の中から、ゆっくりと近づいてくる何かが見え始めていた。
- Re: 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚 ( No.1 )
- 日時: 2025/02/11 17:31
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第2章
立香は無言で血塗れの部屋を見渡し、その目は鋭く状況を分析していた。
倒れている人物は、どうやらここで発生した恐ろしい出来事の証拠の一つに過ぎない。
床に広がる血痕、壁に描かれた謎の符号。これらは、ただの事故や暴力沙汰ではない。これは――
「先輩、あの符号、見たことがありません。」マシュが震える声で言った。
立香はその符号をじっと見つめる。文字ではない、どこか原始的で、異世界的な模様。
彼女はそれを直感的に知っていた。この符号は、呪いか、あるいは封印のために使われたものだと。
「これは…ただの偶然ではないな。」立香は少し顔をしかめながら呟いた。
その時、モルガンが冷たい声で言った。
「そう。これは恐ろしい力が関わっている証拠。普通の人間が描けるものではない。」
「とにかく、早くこの部屋を調べてみよう。」
アルトリアが静かにうなずき、部屋を歩きながら目を細めた。
「その通りです、立香。ここには恐ろしい何かが隠されている。」
立香がその言葉に対して、少しだけ不安を感じつつも前へ進んだ。
その時、突然、部屋の奥からまた別の音が響いた。
かすかな、だがはっきりとした足音が近づいてきている。
立香は素早くその音の方を見たが、部屋の隅には誰もいない。
しかし、その足音は確かに聞こえる。
彼女は部屋を慎重に調べ始めると、床の隅に一枚の古びたメモが落ちているのを見つけた。
それは、血に染まった手で書かれているようなものだった。
メモには、いくつかの断片的な言葉が書かれていた。
「閉じ込められた…出られない…消えた…」
立香はそのメモを手に取ると、顔をしかめた。「何かがここで起きたんだな…」
その時、突然、部屋の扉が開き、外から一人の人物が現れた。
それは、血まみれの顔を持つ女性――彼女が目の前に現れるやいなや、立香はその正体を認識した。
「あなたは…!」
その女性は立香をじっと見つめながら言った。
「私は生きている。だが、この場所にはまだ、何かが――」
その言葉が途切れた瞬間、女性は倒れ込んだ。
第3章
立香は急いで女性を抱きかかえ、息を吹き返させようとする。「しっかりしろ、何があったんだ?」
女性はゆっくりと目を開け、弱々しく呟いた。「…私は、もうすぐ…消える…」
その言葉に立香は眉をひそめた。消える――?どういう意味だ?
立香は女性の目を見つめながら、言葉を選んだ。「何が消えるの?詳しく話して。」
女性は何度か息を吸い込み、手を震わせながら言った。
「ここに閉じ込められているの。中から出られない…外に出る方法は、もうない…」
その瞬間、部屋の空気が変わった。
誰かが背後から近づいてくる感覚が立香に迫り、彼女は反射的に振り向いた。
しかし、そこには何もなかった。霧のようなものが空間を満たし、目の前の女性の姿も徐々にぼやけていく。
「消えた…消える…」女性はまた呟き、まるで煙のように霧の中に溶け込んでいった。
立香はその様子を見つめながら、深く息をついた。「また一つの謎が増えた。」
「先輩、どうすれば…?」マシュが心配そうに尋ねる。
立香は無言でうなずき、再び部屋を調べ始めた。その時、モルガンが冷たく言った。
「これはただの幽霊屋敷ではない。何か恐ろしい力が働いているのは間違いない。」
アルトリアは厳かな表情で言った。
「立香、私はあなたが言う通り、ここで解決策を見つけるべきだと思います。しかし、私たちの手には負えないことがあるかもしれません。」
立香はその言葉に答えず、再び床の符号を見つめた。
少しだけ冷静になりながら、何かを計算しているような表情で立ち上がった。
「そうだね。でも、まだ終わってない。この屋敷には、私たちが知りたいことが隠されてる。」
その時、突然、部屋の隅から奇妙な音が響いた。
誰もがその音に気づき、立香はすぐにその方向に駆け寄る。だが、その先に待っていたものは――
第4章
音の正体は、無数の異形の影だった。
突如として壁から現れたその影たちは、まるで生き物のように動き、部屋の中を這い回っていた。
それは明らかに人間の姿ではなく、何か異次元から来たような存在だった。
立香はすぐにその場から離れようとしたが、影たちが素早く動き出し、彼女の前に立ちはだかる。
「先輩!気をつけてください!」マシュが立香を引き寄せたが、影たちはどんどん近づいてくる。
「どうしてこんなことが…?」立香は息を呑みながら言った。
何もできない状況に、彼女は一瞬、焦りを感じた。
アルトリアが剣を抜き、冷静に構えた。「立香、私に任せてください。」
モルガンもその場に立ち、手を広げると、空間に浮かぶような力を放った。
「これで少しは戦える。」
影たちはアルトリアとモルガンの攻撃を受けて次々と消えていったが、まだどこかに何かが隠れている気配がした。
立香はその時、ようやく全体像を掴みつつあった。
この屋敷に隠されているもの、そしてこの場所が何を目的にしているのか。
それを解く鍵が、どこかに隠されていると。
「見つけましたた、立香。あなたの探していたものは、もうすぐ手に入る。」
モルガンが低く笑いながら言った。
立香はその言葉に、さらなる謎を感じ取りながら答えた。
「さあ、どうなるか、楽しみにしているよ。」
- Re: 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚 ( No.2 )
- 日時: 2025/02/11 17:35
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第5章
立香は肩で息をしながら、ようやく屋敷の中心に到達した。
数々の影との戦闘、謎の女性の消失、そして何度も感じた不気味な圧力。
だが、今の彼女の頭に浮かんでいるのはひとつの疑問だった。
「何が、この屋敷をこんなに異常にさせてるんだ?」
その問いに、アルトリアが静かに答えた。
「先ほどの符号が鍵となるのでしょう。これまでに見た符号と、屋敷全体に漂う気配…すべてが繋がっている気がします。」
「その通りだ。」モルガンも冷徹な表情で付け加えた。
「私たちがここで直面しているのは、ただの幻覚や錯覚ではない。何かが実際に、この場所で起こったのです。」
立香は不安そうに周囲を見回した。
今、彼女たちが立っているのは、屋敷の最深部に位置する巨大な部屋だった。
壁には古代の文字が刻まれ、床には無数の血の痕が広がっている。
「でも、この屋敷は何かを守ってる。封印されているものがあるんじゃ...?」
立香はしばらく黙って考え、ついにその言葉を口にした。
その時、突然、背後から激しい風が吹き荒れ、部屋の中の空気が一変した。
立香はすぐに振り返ったが、目の前に現れたのは――
「あなたがここにいるとは。」低く響く声に、立香はその正体に気づく。
モルガンが驚きの表情を浮かべ、アルトリアも剣を握り直した。
現れたのは、あの血塗れの女性ではなく、巨大な影のような存在だった。
顔のないその影は、まるで空間そのものが形を変えたかのように広がり、無数の目がその存在を見つめていた。
「ようやく…あなたたちも来たか。」影のような存在が言った。
声は冷徹で、どこか遠くから響いてくるようだった。
「これが…この屋敷を支配している存在か?」立香は一歩踏み出すと、冷静に尋ねた。
影は不気味に笑った。
「その通りだ。だが、私は単なる守護者に過ぎない。お前たちが気づくべきなのは、この場所に封じられている本当の力だ。」
立香はその言葉を聞き、背筋が凍るような感覚を覚えた。「本当の力…?」
その言葉の直後、空間が歪み、部屋の壁が一斉に崩れ始めた。
立香たちは避ける間もなく、足元が崩れていき、気づくと深い穴の中に落ちていった。
第6章
立香は激しい衝撃で地面に叩きつけられた。周囲は暗闇に包まれており、何も見えない。
しかし、その中で確かに感じるのは、強い圧力と、どこかしら異次元的な気配だった。
「先輩、無事ですか?」マシュの心配そうな声が暗闇から聞こえる。
立香はゆっくりと起き上がり、周囲を確認した。「う、うん、大丈夫。でも、ここは…?」
その時、アルトリアが落ち着いた声で言った。
「ここは…何かの遺跡のようです。壁に刻まれた文字も、先ほどの符号に似ています。」
モルガンも周囲を見回しながら言った。
「そして、何かがこの場所に封印されているようです。私たちが直面しているのは、単なる呪いではないく、力そのものだ。」
立香はその言葉に深く頷いた。「封印されている力、か…。それを解放したら、どうなる?」
その瞬間、暗闇の中からまた声が響いた。「それは決して解放してはいけないものだ。」
立香は思わず息を呑んだ。
その声の主が現れた瞬間、彼女たちの前に立っていたのは、あの血塗れの女性だった。
「お前たちがここに来たことで、すべてが動き出す。」
女性は冷たく言った。「解放されてしまったら、誰も生き残ることはできない。」
「どういう意味?」立香は彼女を睨みつけるように言った。「何がここに封じられているんだ?」
その女性は微かに笑った。
「それは、この屋敷の真の目的。そして、あなたたちが関わることで、最終的に明らかになる。だが、もう遅い。」
その言葉を聞いた瞬間、立香は深い恐怖に襲われた。
彼女は何度も目を閉じ、再び冷静さを取り戻そうとした。
しかし、急に暗闇の中から強烈な光が放たれ、立香はその中で一瞬、時間が止まったような感覚を覚えた。
「先輩…!」マシュが声を上げたが、立香はその声を聞きながら、また一歩、暗闇の中に足を踏み出した。
第7章
立香は迷いながらも、暗闇の中を進んだ。
周囲には何も見えず、ただひたすら進むしかない。
マシュ、アルトリア、そしてモルガンも同様に無言でその後ろをついていく。
「先輩、何か感じませんか?」マシュが心配そうに尋ねる。
立香はその言葉に振り向きながら、真剣な表情で言った。
「感じる…ここには何かがある。私たちがこれを解かない限り、終わらないんだ。」
その時、突然、目の前の暗闇が裂けるように光を放ち、巨大な扉が現れた。
扉の向こうからは、不気味な音とともに、何かが動いている気配が伝わってきた。
「ついに、ここか。」立香は自分に言い聞かせるように呟き、扉の前に立つと、その手をかけた。
「開けてはいけません!」女性の声が後ろから叫んだが、立香はその警告を無視し、扉を開けた。
扉が開かれた瞬間、目の前に広がったのは、無数の魂が漂う空間だった。そこには、封印された力が渦巻き、異次元の存在が現れる瞬間を迎えていた。
「これが…本当の恐怖の正体か。」立香は息を呑んだ。
その空間から、巨大な影が現れ、ゆっくりと立香たちに向かって迫り始めた。
- Re: 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚 ( No.3 )
- 日時: 2025/02/11 17:39
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第8章
立香は巨大な影を前にして、一歩も引かずに踏み込んだ。
その影の姿は、何か古代の神話から抜け出してきたような、恐ろしい異形の姿をしていた。
まるで無数の触手が絡み合うような形状で、どこから見てもそれは人間のものではない。
「先輩、危険です!」
マシュが必死に立香を引き止めようとしたが、立香はその手を振りほどき、冷徹な目でその影を見つめた。
「動けるのは今だけ。後退するわけにはいかない。」
立香はそう言うと、手に持った武器をしっかりと握りしめ、目の前の影に立ち向かった。
影がその触手を振りかざすと、空間が揺れ、まるで次元が歪んでいるかのような感覚に包まれた。
立香はその瞬間、何か不気味な力が彼女を引き寄せようとしているのを感じた。
「これはただの力ではない…」立香は震えながらも、その正体に気づきつつあった。
「これは、何か古代の呪い。私たちが目を背けてはいけない。」
アルトリアが一歩前に出て、剣を構えた。
「立香、私がこの力に立ち向かう。あなたは後ろで援護を。」
立香は無言でうなずき、アルトリアの決断に従うことにした。
アルトリアの剣が振り下ろされると、その刃が影の触手に触れ、一瞬でその触手が切断された。
しかし、その影は倒れることなく、さらに強力にその力を増していく。
「終わりではない…」モルガンが冷静に言った。
「この影が再生するまでには時間がかかる。立香、今がチャンス」
立香は一瞬の隙を突いて、再びその影に向けて動き出す。
だが、影の力はますます強くなり、まるで彼女の周囲の空間を飲み込むように迫ってきた。
「お前たちは、もうこの屋敷から逃れられない。」その声が再び響く。
今度は、目の前の影の中から何かが浮かび上がるように現れた。
それは、人間の顔のように見えたが、目は暗闇に溶け込んでいて、形を持たない。
立香はその顔を見て、息を呑んだ。
「これは…まさか、過去にこの屋敷で何が起こったのかを見ている?」
影の中から浮かび上がった顔は、かつて屋敷に住んでいた者たちの顔だった。
彼らの目は全て虚ろで、まるで死後の存在のように無機質だった。
「私たちが封印されたのは、終わりではない。これは永遠の繰り返し。お前たちもその一部となるのだ。」顔はそう呟き、再び姿を消した。
「何を言っているんだ…?」
立香はその言葉の意味が理解できなかったが、次第にその恐ろしい真実に気づき始めていた。
「それは、ただの封印ではない。」モルガンが冷徹に言った。
「この屋敷は、呪いの力そのものが封じられた場所だった。そして、その力は永遠に再生を繰り返す。」
「封印を解いた時、私たちがその力の一部となるということか?」
立香は冷や汗をかきながら、震える声で言った。
その時、突如として影が立香たちに向かって襲いかかってきた。
しかし、アルトリアが再び剣を振り下ろし、影を切り裂くと、その瞬間、影の力が爆発的に広がった。
「このままでは全てが終わる…」立香は焦りながら言った。「何か方法はないのか?」
その時、マシュが前に出て、立香を見つめた。
「先輩、これを使ってください。」彼女は小さな石を差し出した。
それは、以前見た符号と似た形をしていた。
「それは?」立香はその石を手に取ると、不思議な温かさが伝わってきた。
「その石は、この屋敷に隠された封印の鍵です。私たちがその力に立ち向かうためには、これを使わなければなりません。」マシュが説明した。
立香はその言葉に従い、石を手にして力を込めた。
すると、石が光り始め、部屋全体が揺れるような感覚を覚えた。
「これで…本当に解決できるのか?」立香は不安を感じながらも、その力に身を任せた。
第9章
石の光が広がると、屋敷全体が震え、まるで崩れそうな感覚に包まれた。
立香たちはその場に立ち尽くしていたが、目の前の影は依然として消えない。
だが、石の力が次第に強まるにつれ、その影の力が弱まっていくのを感じた。
「もう少し…っ!」立香は歯を食いしばり、石にさらに力を込めた。
すると、光が爆発的に広がり、部屋の中に響くような轟音が鳴り響いた。
その音が収まると、周囲は静寂に包まれていた。
立香たちは一瞬、何が起こったのか理解できなかった。だが、すぐにその異常な静けさに気づいた。
「影は…消えたのか?」立香は周囲を見回しながら言った。
アルトリアが剣を納め、冷静に言った。
「どうやら、力が解放されたようです。しかし、完全に解決したわけでない。」
モルガンも頷きながら続けた。
「この屋敷の力は依然として残っている。まだ封印が完全に解けたわけではない。」
その言葉に立香は深く息をついた。「だが、少なくとも今は一息つけるな。」
だが、その時、再び耳をつんざくような音が響いた。
立香たちは一斉に振り向き、目の前に現れたのは、あの顔のない影だった。
「お前たちが封印を解くことができても、この力を完全に消し去ることはできない。」影は低い声で言った。「お前たちは、すでに呪いに取り込まれた。」
立香はその言葉に冷や汗をかきながらも、目の前の存在を見つめ返した。「それがどうした?」
その瞬間、影は一気に立香たちに向かって迫り、再び恐ろしい力を放とうとした。
しかし、立香はその力に立ち向かうべく、再び石を握りしめた。
- Re: 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚 ( No.4 )
- 日時: 2025/02/11 17:43
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第10章
立香は石をしっかりと握りしめ、目の前の影に立ち向かう覚悟を決めた。
だが、その影はもはや単なる存在ではなく、屋敷そのものの力が具現化したものに過ぎなかった。
「お前たちが手を出せば、この屋敷全体が崩れる。」影は低い声で警告する。
しかし、その警告は立香には響かなかった。彼女は冷静に言った。
「だったら、崩れればいい。私たちはそれでも前に進むしかない。」
アルトリアが剣を引き抜き、その刃を輝かせながら言った。
「立香、私たちの目的は、この力を封印すること。だが、完全に解決するためには、他にも方法があるはずです。」
立香はアルトリアを見て、力強く頷いた。「それがわかっているからこそ、進むんだ。」
影はその言葉を聞いて、深く唸るような音を立てながら形を変え始めた。
触手のようなものが周囲に伸び、部屋全体が不安定になった。
まるで屋敷の壁自体が、立香たちに対して反応しているかのようだった。
「この屋敷は、かつて私たちを封じ込め、そして再生させるために作られた。」
モルガンが静かに語り始めた。
「力を封じることで、この場所が永遠に続く。そして、その力が外に出ることを防ぐために、私たちは守られ続けているのです。」
立香はその言葉に耳を傾けながらも、心の中で別の考えが渦巻いていた。
封印されるということは、無限に繰り返される輪廻のようなものではないか。
もしこれを解かなければ、この屋敷に囚われた魂たちは、永遠に解放されることはないだろう。
「私たちが動かなければ、何も変わらない。」立香は自らに言い聞かせるように言った。
その瞬間、周囲の空気が変わり、何かが破裂したような音とともに光が溢れ出した。
立香たちはその光に一瞬目を眩ませ、そしてその光の中から浮かび上がるのは、先ほどの顔のない影の姿だった。
「お前たちはもう逃げられない。」影は言った。
その声には何かしらの冷徹さと、無限に続くような絶望感が漂っていた。
だが、立香はその絶望に引き込まれることなく、強い意志でその影を見据えた。
「私たちは、必ずここを抜け出す。ここに閉じ込められるわけにはいかない!」
その言葉が影を一瞬止めた。影は立香の言葉に反応するように、さらに巨大化していく。
しかし、アルトリアが剣を構えた瞬間、その剣がまばゆい光を放ち、影に突き刺さった。
影は一瞬、動きを止め、その後激しく震え始めた。「愚か者…お前たちは何も理解していない…!」
その瞬間、影は爆発的に拡大し、立香たちを飲み込もうとした。
しかし、立香は再び石を握りしめ、その力を発動させた。
第11章
立香が発動させた石の力が、空間全体に広がった。突然、部屋の壁が崩れ、天井が崩壊し始めた。
立香はその力に引き寄せられるように足元を失い、空間が歪み始めるのを感じた。
「先輩、危ない!」マシュの声が遠くから聞こえるが、立香はその声を振り払うように空間を飛び越えた。
「私がやらなければ、誰がやる!」立香は自分に言い聞かせるように叫んだ。
周囲は光と闇が交錯する異様な世界となり、全ての物がぐにゃりと歪んでいた。
その時、影の中から別の声が響いた。「お前たちは、もう遅い。」
その声はどこか冷徹で、時間が止まるような感覚を立香に与えた。
立香は意識を集中させ、石の力をさらに強める。
「この力を封じ込めるためには、もう一つの鍵が必要だ。」モルガンが声を張り上げた。
「立香、その力を使う前に、私たちは最後の試練を突破しなければならない。」
その瞬間、立香は理解した。自分が使っている石は、この屋敷の力を封じる鍵ではあるが、完全にその力を抑えるためには、別の力を引き出す必要があると。
『ならば、もう一度…』立香は心の中で呟き、力を込めた。
その時、屋敷の中で一際強い光が放たれ、その光の中から、一つの古代の遺物が現れた。
それは、屋敷に隠された封印の力を解除するための最後の鍵だった。
立香はその鍵を手に取り、力を込めた。その瞬間、屋敷全体が揺れ、崩れ落ちるような音が響いた。
「これで、終わる。」立香は目を閉じ、石の力を完全に発動させた。
第12章
突然、周囲が静まり返った。空間が元に戻り、屋敷の崩壊音も止まった。
立香は、ついにその力を封じ込めたことを感じ取っていた。
だが、すぐにその後に続く新たな感覚に気づく。
「終わったわけではない…」立香は呟いた。
その瞬間、屋敷の中から無数の影が現れ、立香たちを取り囲んだ。
だが、立香は微動だにせず、目の前に立つ影に目を向けた。
「これで、全てを終わらせる。」立香はその言葉を吐き出すように言った。
「お前たちは、この屋敷の呪いを解いたと思っているのか?」影は再び冷笑を浮かべながら言った。
立香はその問いに答えず、ただ目の前の影を見つめ続けた。
そして、アルトリアがその影に向かって剣を振り下ろした。モルガンも力を合わせ、最後の戦いを挑んだ。
その瞬間、すべての影が消え去り、屋敷全体が崩れ始めた。立香たちはその中で、最後の一歩を踏み出した。
- Re: 【fgo二次創作】呪われし館の探偵譚 ( No.5 )
- 日時: 2025/02/11 17:46
- 名前: きのこ (ID: foi8YFR4)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第13章
屋敷が崩れ始めた瞬間、立香は息を呑んだ。
すべてが揺れ、破裂する音が轟く中で、彼女はその中心に立ち続けた。
目の前に現れる影たちが、まるで彼女を試すようにその場に集まってきた。だが、立香は動じない。
「これで終わりだ。」立香は呟き、その手に握る石を見つめた。
アルトリアが剣を抜き、冷徹な目で影たちを見据えながら言った。
「立香、私たちの戦いは、まだ終わっていません。」
「うん。」立香は頷き、剣を手に取った。
その瞬間、屋敷の崩壊が加速し、重い音とともに空間が揺れ動き始めた。
立香たちの足元が崩れ、何度も床が割れていく。
その度に、彼女たちはぎりぎりでバランスを取ろうと必死だった。
だが、立香はそれでも怯むことなく、前進を続けた。
「私たちは、この屋敷に囚われるわけにはいかない。何があっても、前に進み続ける!」
立香は叫んだ。
影たちはその言葉に対して冷笑を浮かべ、さらにその力を強めた。
突然、立香たちの周囲に現れた無数の触手が、空間を包み込み、彼女たちを攻撃しようとする。
しかし、立香は剣を一閃し、触手を切り裂いた。
「私たちは、これを終わらせなければならない!」立香は再び叫び、石の力を全開にした。
その瞬間、空間の歪みが広がり、屋敷全体が震え、崩れ始めた。
「立香、こっちに!」マシュが声をかけ、立香を引き寄せた。
その瞬間、再び空間が崩れ、立香たちは屋敷の崩壊に巻き込まれた。
しかし、その力は完全に収束し、屋敷はついに崩れ去った。
立香たちは一瞬、何が起きたのか理解できなかったが、次第にその状況を把握し始めた。
目の前に現れたのは、無数の破片と、消え去った影たちだった。
「終わったのか?」立香は呟き、周囲を見回した。
「屋敷は崩れたが、呪いの力はまだ完全に消えたわけではない。」モルガンが静かに言った。
「だが、これであの力を封じ込めるための一歩を踏み出したことには違いない。」
「うん、そうだね。」立香は穏やかな表情で答えた。
その言葉の後、しばらくの間、誰も何も言わなかった。
ただ、静かな空間の中で、立香たちが立ち尽くしていた。
その時、立香はふと気づく。
屋敷の崩壊とともに、彼女たちの心に重くのしかかっていた呪いの力が消え去ったことを。
「これで、全て終わった...?」立香は自問自答するように呟いた。
その瞬間、何かがゆっくりと明かりを灯した。
それは、屋敷の最深部にあった謎の扉が開いたことを示していた。
立香たちはその扉を見つめ、再び恐怖の予感が立ち込める。
「もう一度、進むべきかな?」立香が言ったその時、アルトリアは強く頷いた。
「私たちの使命は、ここで終わることではない。お前たちと共に、私はもう一歩を踏み出す。」
立香はその言葉に深く心を打たれた。
アルトリアの言葉は、彼女が今後の運命に対して決してあきらめないという強い意志を表していた。
立香は再び剣を構え、仲間たちと共にその扉の先へと歩みを進める決意を固めた。
その時、屋敷の中で、再び響き渡るような音が鳴り響いた。
それは、すべてが終わったわけではないことを示していた。
エピローグ
屋敷が崩壊し、呪いの力が封じられた後、立香たちは無事にその場所を離れることができた。
しかし、その後も彼女たちの心には重いものが残っていた。
すべてが解決したわけではなく、呪いの力が完全に消えたわけではないからだ。
「もう大丈夫かもしれない。」立香はマシュに語りかけた。「でも、何かがまだ残っている気がする。」
「先輩、それはきっと、立香さんたちの心の中に残った影でしょう。」マシュは微笑みながら答えた。
立香は少し考えてから答えた。
「それでも、私たちは前に進むしかない。どんなに恐ろしいことが待ち受けていても、私たちが守るべきものがあるから。」
その言葉に、アルトリアも頷き、モルガンも無言でその姿勢に賛同した。
彼女たちはお互いの絆を確認し合いながら、未来へ向けて歩み始める。
「今度こそ、私たちの戦いは終わらない。」立香はそう呟き、剣を腰に帯びて歩き出した。
屋敷の崩壊後、しばらくは静かな時間が流れ、立香たちはその場を後にした。
しかし、どこか遠くから不気味な音が聞こえてくるような気がしてならなかった。
それでも、立香たちは一歩一歩を踏みしめ、未来へと向かって歩み続けるのだった。
そして、彼女たちの冒険は、まだ終わらない。
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