二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】絶望の果てに光を
日時: 2025/02/11 18:53
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

プロローグ

夜。冷たい風が繁華街の狭い路地に吹き込む。

街灯の明かりがぼんやりと照らし、影が長く伸びる中、ひときわ静かな一角があった。

そこに、ひとりの男が立っていた。彼の名前は藤丸立香。

普段は名探偵として名を馳せているが、今夜はその名にふさわしい仕事をこなしている最中だった。

彼の周囲には、いつもの助手、マシュ・キリエライトがいる。

「先輩、こちらです。」マシュが声をかけ、立香に導かれるように歩みを進めた。

立香はしばらく黙っていたが、やがて口を開く。「今日はちょっと不気味な感じだな。」

「不気味、ですか?」マシュが不安げに振り返る。

立香はうなずいた。目の前に広がるのは、一見普通の住宅街。

しかし、どうにも不自然なほどに静寂が支配している。

その中でも、特に目立つのは、立香たちが向かおうとしている古びた洋館だった。

あの建物は、数ヶ月前に失踪事件の舞台となった場所だ。

「気をつけろ、マシュ。何かが、ここで起こっている。」立香は低く呟く。

そのとき、建物の中からかすかな音が聞こえてきた。ガタガタ、カシャン。何かが動いたような音。

「まさか、誰かいるのか?」立香が声を潜めた。

「先輩、私…少し怖いです。」マシュは小声で言った。

そのとき、後ろから突然、大きな声が響く。

「待ちなさい、立香!」

立香が振り返ると、そこに現れたのは、アルトリア。

彼女はいつものように、冷静で優雅な佇まいで立っていた。

「アルトリア!」立香が驚きの声を上げた。

「何を驚いているのですか、立香。」アルトリアは微笑みながら言う。

「私はただ、あなたを見守っているだけです。」

立香はすぐに立ち直り、もう一度洋館を見据える。「どうして、アルトリアがここに?」

「あなたの捜査がうまくいっていないように見えたので、少し手を貸しに来たのです。」

アルトリアは淡々と答えた。

「手を貸すって、どういうことだ?」

「そのままです。」アルトリアは静かに言った。

「あなたが踏み込む先には、恐ろしいものが潜んでいるかもしれません。ですから、私も同行しようと思いまして。」

立香は一瞬、アルトリアの言葉を反芻した。彼女が言うことには、いつも一理ある。

しかし、今はあまりに不安が募りすぎて、冷静さを欠いていた。

「分かった。でも、もし危険ならすぐに戻るんだぞ。」立香はアルトリアに念を押した。

「もちろんです。」

アルトリアはその答えに少し微笑みを浮かべたが、その目はどこか鋭さを含んでいた。


第1章

立香とマシュ、そしてアルトリアは、とうとう洋館の扉の前に立った。

扉には古びた錆が浮かび、長年使われていないことを物語っている。

「先輩、この扉、少し不気味です。」マシュが言った。

立香は頷きながら、手を伸ばして扉に触れた。

その瞬間、扉がきしむ音を立て、開かれた。恐ろしいほどの静けさが広がっていた。

中に入ると、すぐに巨大なホールが広がっている。

壁には古びた絵画が飾られており、どれも目を逸らしたくなるような、異様な雰囲気を放っていた。

「ここも、まるで時が止まったかのようだな。」立香は呟く。

そのとき、何かが目の前で動いた。立香は鋭く視線を向けるが、何も見当たらない。

「先輩、何かを感じますか?」マシュが心配そうに尋ねた。

「いや、今は何も。ただ、雰囲気が妙だな。」立香は慎重に足を進める。

アルトリアがその後ろを歩きながら、静かに言った。

「この館には、何かが隠されています。あなたが予感していること、私も感じます。」

立香はアルトリアの言葉を心に留めながら、さらに奥へと進んでいった。

廊下を抜け、やがて一室にたどり着いた。

その部屋は、異様な静けさに包まれていた。

真ん中に置かれたテーブルの上には、古びた手帳が一冊、開かれていた。

「これが、手がかりか?」立香はその手帳に手を伸ばした。

だが、手帳の中に書かれていた言葉を読んだ瞬間、立香の顔色が変わった。

「先輩、どうかしましたか?」マシュが心配そうに尋ねる。

立香はその手帳を手に取ると、息を呑んだ。「この書き込み…これは…」

アルトリアが近づき、手帳を覗き込む。「これは、予言のようなものですか?」

立香はその内容に目を通し、さらに驚愕する。「いや、これは…僕たちの未来だ。」

その瞬間、館全体が震え始め、闇が立香たちを包み込んだ。

Re: 【fgo二次創作】絶望の果てに光を ( No.1 )
日時: 2025/02/11 18:59
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第2章

館の中で立香たちが感じている不気味な空気は、時間の経過とともにますます重くなっていった。

目の前の手帳に書かれていた内容は、ただの予言ではなかった。

それは、まさに立香たちがこれから直面する出来事を予告しているように感じられた。

「先輩、この書き込み…まさか、本当に…」マシュが不安げに問いかける。

立香は手帳をじっと見つめた。

そこには、彼らがこれから遭遇するであろう出来事が詳細に記されている。

ある言葉に目が止まる。『闇に包まれる夜、真実は明かされる』。

その後に続く一文には、「命を懸けた選択が必要になる」と記されていた。

「これは…ただの偶然か?」立香は手帳を閉じ、深く考え込んだ。

「偶然にしては、出来すぎていますね。」

アルトリアが静かに答える。

「この館には、確実に何か異常があるのでしょう。」

その言葉に、立香は一瞬うなずき、再び館の中を見渡した。

ホールの先に続く廊下、そして何かが潜んでいそうな奥の部屋。

そのどれもが、どこか異常な気配を放っている。

突然、館の中で物音がした。まるで何かが足音を立てて歩いているかのようだ。

立香は鋭くその音に耳を傾け、手を上げて静かに指示を出した。

「気をつけろ、誰かいる。」

マシュとアルトリアがそれぞれ警戒を強める中、立香は音が聞こえる方向へと足を進めた。

廊下の先にある扉を開けると、そこには暗い部屋が広がっていた。

その中央には、今まさに何かが動いている気配がした。

立香が一歩踏み出すと、部屋の隅から微かに光が漏れていた。

何かの影が、その光に照らされて浮かび上がった。

「何だ…?」立香はその影に目を凝らす。

すると、その影が動き出し、立香の方へとゆっくりと歩み寄ってきた。

立香は思わず後ずさり、手を伸ばして周囲を探る。

「先輩、後ろです!」マシュの声が響いた。

立香が振り向くと、そこに現れたのは、見覚えのある人物だった。

顔に半面を覆うような黒い仮面を付け、身にまとった服も黒一色のその人物は、まさにジャンヌ・ダルク――だが、違う。彼女は何かが変わった、明らかに異常な存在だった。

「お前は…ジャンヌか?」立香が息を呑んだ。

「違うわよ。」その人物は、冷ややかな声で答えた。

「私は、ジャンヌ・オルタ。あの忌まわしい運命から解放された存在よ。」

立香は一瞬、その言葉に混乱した。

しかし、その冷徹な眼差しと、立ち振る舞いから、今目の前にいるのがジャンヌ・オルタであることに疑いようはなかった。

「ジャンヌ・オルタ…?」アルトリアがその名前を口にしたとき、立香は背筋を寒く感じた。

「そうよ。あなたたちが知らない、もう一つの歴史の私。」

ジャンヌ・オルタはその場に立ち尽くす立香たちをじっと見つめ、続けた。

「私は、あなたたちがこれから迎える試練に関わる存在。だって、この館に隠された秘密が明かされるとき、私が重要な役割を果たすことになるから。」

立香はその言葉の意味を理解しようとするが、頭の中で複雑に交錯する思考が整理できない。

彼女が今、目の前に現れた理由、そしてその目的が不明だった。

「一体、何が起きている?」立香は思わず問いかける。

「それはまだ分からないわ。」ジャンヌ・オルタは冷淡に答える。

「ただ、あなたたちが真実を知るには、私が必要だということだけは覚えておいて。」

その言葉が終わると、ジャンヌ・オルタは静かにその場から姿を消した。

まるで霧のように、ひとたび足音が消えると、部屋には何も残らなかった。

立香は息を呑みながら、その場に立ち尽くしていた。

「先輩、あの人は…」マシュが不安そうに問いかける。

「分からない。でも、確かに何かが始まったのは確かだ。」

立香はうなずき、手帳を再び取り出した。

「この館の秘密を解くために、僕たちはまだ多くの謎を解かなければならない。」

その時、館の中で再び耳をつんざくような音が響き渡った。

立香はその音が鳴り止むのを待ちながら、しばらくその場に足を止めた。


第3章

立香とマシュ、そしてアルトリアは再び館を進むことを決意した。

ジャンヌ・オルタの登場が何を意味するのかは分からないが、確実に彼らの前に立ちふさがっている試練の一部であることは明白だった。

「先輩、もしもあの方が味方だったとしても、何か隠しているような気がします。」

マシュが心配そうに言う。

立香は一度、深く息を吸い込んでから答えた。

「あの言葉には何か裏がありそうだ。だが、今はその謎を追うことが最優先だ。」

アルトリアは黙ってその会話を聞いていた。

彼女もまた、ジャンヌ・オルタの言動には何かを感じ取っていたのだろう。

だが、何も言わずにただ前に進んでいく。

館の奥深くに進むにつれ、闇がますます濃くなっていった。

途中、数回、異様な物音が聞こえたが、すべては無視して進んだ。

立香たちはついに、館の地下室にたどり着いた。

「ここに何かがある…」立香は足を踏み入れると、冷たい空気に包まれた。

その地下室には、奇妙な装置が並んでおり、壁に埋め込まれた石板に奇怪な文字が刻まれていた。

その中心に一つ、空間が広がり、闇に溶け込むような雰囲気を放っていた。

「これは…」立香はその空間をじっと見つめた。

その瞬間、背後からまたもや声が響いた。「もう、何も隠すことはできませんよ。」

振り返ると、そこに立っていたのは、ジャンヌ・オルタだった。

「あなたたちが来るのを待っていた――」

Re: 【fgo二次創作】絶望の果てに光を ( No.2 )
日時: 2025/02/11 19:02
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第4章

ジャンヌ・オルタの言葉が響く中、立香たちは再び冷たい空気を感じた。

地下室の奥で、何かが待っているのだろう。ジャンヌ・オルタは無表情で立ち、静かに言葉を続けた。

「ここにあるものが、全ての始まり。」

彼女の目線が壁に埋め込まれた石板へと向かう。

「この館には、かつて一族が築いた秘密が隠されてる。それを解き明かさなければ、私たちが直面する試練は終わらないわ。」

立香はその言葉を慎重に噛み締めた。

石板には、いくつもの文字と記号が刻まれており、どこか異様な力を感じさせる。

「試練…」立香はその言葉を口にした。「一体、何が隠されている?」

「それは、未来の破滅を回避するために必要な知識。」

ジャンヌ・オルタが冷ややかに答えた。

「この館は、ただの館ではない。ここに封じられた何かが、今もなお目覚めを待っている。」

立香は息を呑みながら、ジャンヌ・オルタに問いかけた。

「何かが封じられている…それは、どんなものだ?」

「それは、絶望の源。闇そのもの。」

ジャンヌ・オルタの目に、一瞬、強い怒りが宿った。

「もしそれが解放されれば、世界は崩壊する。」

立香はその言葉を理解しようとしたが、その背筋を冷たいものが走った。

もしその「闇」が解放されたら、全てが終わるのだろうか?

「それを封じるために、何が必要なのか?」立香はさらに問いを重ねた。

「必要なのは、選ばれた者の命。」

ジャンヌ・オルタはゆっくりと告げた。

「あなたたちの命が必要になる。」

立香とアルトリアは、その言葉を聞き、思わず顔を見合わせた。

命を捧げる。それが意味するところは、ただ一つ。

最終的に彼らが命を懸ける選択をしなければならないことを意味していた。

「私たちがその役割を果たすのか?」立香は震える声で言った。

「その通り。」ジャンヌ・オルタは淡々と答えた。

「でも、あなたたちはまだその決断を下していない。」

立香はその言葉に心を重くしながらも、決意を新たにした。「僕は…僕は、まだ逃げない。」

その時、突然、地下室の中が揺れ始め、暗闇に包まれた。

まるで何かが目覚めたかのように、空気が変わり始めたのだ。


第5章

地下室の空気が一変した。

壁が震え、床が揺れ、立香たちはしっかりと足を踏ん張りながらその異常な感覚に耐えていた。

ジャンヌ・オルタは冷静を保ちつつも、どこか警戒心を高めていた。

「何が起こっているんですか?」マシュが不安げに尋ねた。

立香は周囲を見回し、手帳を取り出して再び内容を確認した。

だが、そこに書かれている内容は何も役立つ情報を与えてくれなかった。

「分からない。だが、この揺れは何かを示している。」

立香はそう呟くと、急いで壁の奥を調べ始めた。

そのとき、暗闇の中でひときわ強い光が放たれた。

それは石板の間に埋め込まれた、古びた宝石が発するものだった。

光が強くなると、空間が歪み、目の前に不自然な裂け目が現れた。

「先輩、あれは…」マシュが震える声で言った。

立香はその裂け目に近づき、手を伸ばす。

だが、触れた瞬間、裂け目の中から冷たい風とともに何かが飛び出してきた。

それは、目に見えない力で立香たちを引き寄せようとする何かの「意志」だった。

立香は必死に踏ん張り、手帳を手に取ってその裂け目に向かって振りかざした。

その瞬間、周囲が一層激しく揺れ、突如として周りの空間が歪んだ。

「何だ…これは!」立香が叫ぶと、ジャンヌ・オルタがその動きを止めた。

「これは、封印されていた力が解放された証。」ジャンヌ・オルタの声が冷たく響いた。

その時、裂け目から何かが現れる。

それは、かつての歴史を超えて封印された「闇」そのものだった。


第6章

闇の力が解放されると、その場に立っていた全員が恐怖を感じた。

地面がひび割れ、空間が歪んでいく。

その中で、立香たちは目を見開き、ただその異常さを受け入れるしかなかった。

「先輩、あれは…」マシュが声を震わせて言った。

立香は言葉を発せず、ただその闇を見つめていた。

闇の中から浮かび上がる影の中に、数え切れないほどの「顔」が見えた。

それは、封印された過去の亡霊たち、そして恐ろしい存在たちが集まった結果の姿だった。

「これは…全てが目覚める瞬間。」

ジャンヌ・オルタは無感情に語った。

「そして、あなたたちにはその運命を受け入れるしかない。」

その言葉とともに、目の前の空間が一瞬で崩れ去り、立香たちは突如として深い闇に飲み込まれた。


第7章

闇の中で、立香たちは一歩一歩進みながらも、その場で何かを感じ取っていた。

だが、突然、前方から怒号のような叫び声が響き渡る。

「うわあああああ!」その声は、まるで目の前で何かが壊れる音のようだった。

立香たちが急いで振り返ると、闇の中から現れたのは、目も眩むような光景だった。

数十人の人々が次々と倒れ、叫び声を上げながら命を落としていくのが見えた。

彼らの目には絶望と恐怖が浮かび、肉体が無惨に引き裂かれていく。

その中で、立香たちはただ呆然とその光景を見つめるしかなかった。

目の前で起きている恐怖を、どうにかして止めようとしても、何もできなかった。

「マシュ!」立香が叫ぶ。だが、マシュはその光景に言葉を失っていた。

目の前で10人もの人々が次々と命を落としていくその光景は、彼女に深いトラウマを刻み込むことになる。

「先輩…」

マシュは声を震わせながら立香にすがるように言った。

「私…私、もう…」

立香はその手を握りしめ、強く引き寄せた。

「マシュ、今は我慢して。生き延びるんだ。」

だが、目の前の光景はあまりにも残酷で、マシュの心に深い傷を与えてしまった。

闇の力が再び姿を現し、立香たちはその場を離れようとしたが、闇が全てを包み込み、次々とその存在を飲み込んでいった。

Re: 【fgo二次創作】絶望の果てに光を ( No.3 )
日時: 2025/02/11 19:05
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第8章

立香たちは目の前に広がる惨劇に息を呑みながら、必死に闇の中を進んでいた。

マシュの顔は青ざめ、足元はふらついている。彼女の瞳には、先ほどの光景が焼きついて離れない。

「マシュ、大丈夫か?」

立香が心配そうに尋ねるが、マシュは震える唇で小さくうなずくのみだった。

「……すみません、先輩……でも、あの人たちが……」マシュの声はかすれ、涙が頬を伝う。

「マシュ、今は前に進むことだけを考えてください。」

アルトリアが静かに言った。その表情には悲しみと覚悟が混ざり合っていた。

「ここで立ち止まれば、私たちも……同じ運命をたどるでしょう。」

ジャンヌ・オルタは無言で歩みを進めていた。

彼女の眼差しは冷たく、感情が凍りついているかのようだった。

「これは、ただの終わりではない。」

ジャンヌ・オルタが低い声でつぶやいた。

「絶望に立ち向かう者だけが、生き延びる資格を持つ。」

その言葉が終わると、闇の中から不気味な気配が漂ってきた。

床が震え、壁が歪み、まるで空間そのものが崩壊し始めているようだった。

「何かが来ます!」

アルトリアが剣を構える。

その瞬間、闇の中から巨大な影が姿を現した。

無数の触手がうごめき、不気味な眼球が全方向に広がっている。

それは、この館に封印されていた「闇の化身」そのものだった。

「これが……絶望の正体か。」

立香は歯を食いしばった。恐怖が心を締め付けるが、それでも足を止めることはできない。

「先輩、私は……戦います!」涙を拭い、マシュが盾を構えた。

恐怖とトラウマに苛まれながらも、彼女の中に再び勇気が灯っていた。

「マシュ……!」

立香はその姿を見て、再び前を向いた。

「行くぞ! ここで終わらせるわけにはいかない!」

立香の掛け声と共に、アルトリアとマシュが闇の化身に立ち向かっていく。


第9章

闇の化身は凄まじい力で立香たちを押し返した。

触手が四方八方から襲いかかり、空間が次々と歪んでいく。

「これ以上は……耐えられないかもしれません……!」

マシュが必死に盾で攻撃を防ぐ。

「負けるな、マシュ! 僕たちなら……きっと勝てる!」

立香が声を張り上げる。

その時、ジャンヌ・オルタが前に進み出た。

彼女の周囲に黒い炎が燃え上がり、強大な力が放たれる。

「この闇は、私が受け継ぐべき運命。」

ジャンヌ・オルタは自らの身を犠牲にする覚悟で、闇の化身に立ち向かった。

「あなたたちは、生き延びなさい!」

「ジャンヌ・オルタ、やめろ!」

立香が叫ぶが、彼女は振り返らない。

「これは……私の選択よ。」

ジャンヌ・オルタは炎と共に闇の化身へと突っ込んでいった。

激しい衝撃が空間を揺らし、暗闇が一瞬で光に包まれた。

「うわあああ!」

立香たちは光に飲み込まれ、意識が遠のいていく。


エピローグ

次に立香が目を覚ましたとき、目の前には青空が広がっていた。

いつの間にか、館は跡形もなく消え去り、彼らは草原に倒れていた。

「先輩、大丈夫ですか?」

マシュが心配そうに顔を覗き込んでいる。

「ああ……大丈夫だ。」

立香はゆっくりと起き上がり、周囲を見回した。

アルトリアも無事だった。

だが、ジャンヌ・オルタの姿はどこにもなかった。

「彼女は……?」

立香がつぶやくと、アルトリアが静かに首を振った。

「彼女は、自らの選択で闇と共に消えたのでしょう。」

その言葉に、立香の胸が痛んだ。

「でも、彼女のおかげで……私たちは生きている。」

マシュが涙を浮かべながら言った。

「あの人の犠牲を、無駄にしないように……私は、前に進みます。」

立香はマシュの手を取り、静かにうなずいた。

「そうだな。彼女の想いを背負って……僕たちは、生きていこう。」

太陽が昇り、新しい一日が始まる。

絶望の闇は去り、そこには再生の光が広がっていた。

立香たちは前を向き、ゆっくりと歩き始めた。

彼らの心には、犠牲となった者たちの想いと、新たな希望が宿っていた。


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