二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】終焉の聖域
日時: 2025/02/11 20:50
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

プロローグ

神聖なる教会。
その神々しい光に包まれていた場所は、今や廃墟と化し、かつての輝きはどこにも見当たらない。
瓦礫の山に囲まれ、崩れた壁と焦げた木材が散乱し、悪臭が漂っている。
天井の高い祭壇の前には、何かしらの邪悪な力が根を張っているかのような、不気味な静寂が広がっていた。

立香は、そこに足を踏み入れた。

手にした聖剣のようなものは、もはやその輝きを失っており、ただの道具にすぎない。

「何か…ここに来ると、悪い予感がするな」立香はつぶやき、足元を確かめながら歩を進める。

マシュがその後ろに続く。「先輩、あまり無理はしないでくださいね」

マシュは普段の優しい態度で、少し心配そうに言う。

しかし立香は、すでにその心配を超えて、この場所に来る運命を感じているかのようだ。

突然、空気が震える。

立香とマシュの目の前に現れたのは、金色の髪、強い意志を宿した眼差しを持つアルトリア・ペンドラゴンだった。

「ここが…あの場所ですか」

アルトリアはその静かな声でつぶやき、長い剣を鞘から抜くことはなかった。

彼女の顔に浮かぶのは、深い決意だ。

「やっぱり、ここに来たんだね」

立香が少し驚いた表情を見せると、アルトリアはうなずく。

「ええ、予感がしましたから。これは避けられない戦いです。ですが、私たちは共に戦い抜くべきです」

その言葉に、立香はどこか安心感を覚えつつも、薄ら寒いものを感じていた。

「先輩、アルトリアさん、私たちも準備を――」

マシュがその声を発し終わる前に、突然の轟音が響き渡る。

暗闇の中から現れたのは、鎧を着たジャンヌ・ダルクだった。

背後に立つのは、彼女を守るかのようにそっと立つジークだった。

「ルーラー、これは…」ジークの言葉に、ジャンヌは静かに答える。

「ここで戦う運命が、我々を待っています」

その言葉の通り、今まさに、立香たちは地獄のような戦いに巻き込まれようとしていた。


第一章

教会の中は、どこまでも重い静寂に包まれていた。

瓦礫の上を歩く音すら、まるで神聖な場所の許しを得ているかのように響き渡る。

立香、マシュ、アルトリア、ジャンヌ、ジーク。

それぞれが異なる目的でこの場所に来ていたが、今、共に戦わねばならない運命に導かれている。

立香は、ジークをちらりと見やる。

「俺たち、ここに来て何かおかしい気がするんだよな。なんだか、全然気が抜けない」

ジークは、まるで立香の心を見透かすかのように答える。

「気のせいじゃない。ここには、何か恐ろしいものが潜んでいる」

その言葉に、立香の背筋が凍る。

「でも、俺たちにはもう引き返すことはできないだろう?」

「そうだな」

ジークは、まるで自分の運命を受け入れるかのように、冷静に頷く。

一方、アルトリアは少し先に歩みを進め、周囲を見回している。

彼女の表情は無表情のようでありながら、どこかに深い苦悩を秘めているようにも見える。

「ここで何かを解決しないと、私たちの未来も暗いままだ。立香、マシュ、準備を」

アルトリアが呼びかけると、立香は少しうなずく。

「了解、行こう!」

だがその瞬間、異変が起きた。教会の奥から、強烈な気配が漂ってきた。

まるで、人間のものとは思えないほどの凶暴な力が、全身を包み込んでくる。

「先輩!気をつけて!」

マシュの警告が響いた時、立香はその異常な気配を感じ取り、振り向こうとした。

しかし、遅かった。

瞬間、暗闇の中から一筋の赤い光が飛び出し、立香の体を貫く。鋭い痛みに立香は呻き、膝をつく。

「先輩!!」

マシュが駆け寄ろうとしたが、その足を止めるように、ジャンヌが一歩前に出た。

「ルーラー、あれは…!」ジークが叫び声を上げた。

立香の前に立った赤い光。それは、まさしく人間ではない存在。

暗黒の魔力が漂うその姿は、これまで彼らが戦ってきた敵とは一線を画していた。

「来ます。これはただの敵ではありません」

アルトリアが冷徹な目でその魔物を見据えながら言った。

その言葉が終わると同時に、赤い光が再び立香の前に現れ、彼の体を再び貫こうとした。

「くっ!」

立香は必死に身をよじってその攻撃を避けようとするが、体力が削られたせいか、うまく避けることができない。

その時、突然、強烈な光が教会の中を包み込む。

立香、マシュ、アルトリア、ジャンヌ、ジークは一斉に目を閉じる。

異常な力が、その空間に渦巻いているのを感じた。

「これは…!」立香はその力の正体をまだ掴みきれずにいた。

だがその時、ひときわ強い光が闇を引き裂き、その先に立つ影が見えた。


第二章

それは、誰もが知っている存在であった。

金色の甲冑を身にまとい、何かを背負って立っている。

その姿は、まるで死者のように静寂に包まれていたが、その目だけは確かに生きていた。

「アヴァロン…」立香はその言葉を呟いた。

Re: 【fgo二次創作】終焉の聖域 ( No.1 )
日時: 2025/02/11 20:54
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第三章

教会の中は、まるで重い霧に包まれたかのような空気が漂っていた。

立香たちが遭遇した未知の魔物は、ただならぬ気配を放っていた。

振り返ることなく、立香は剣を手にし、周囲の状況を把握しようとした。

「みんな、気をつけて!」立香は叫んだ。

マシュ、アルトリア、ジーク、そしてジャンヌ、彼ら全員が剣を抜き、戦闘の準備を整える。

何も言わず、ただその戦闘の準備をしている。

「この場所で何かが起きる…それが何かは分からないけど、警戒して」

立香の言葉に誰も反論しなかった。

どこか神聖でありながら、不穏な空気が漂うその場所で、みんなの心はひとつになっていた。

その瞬間、教会の天井が爆発したかのように、音を立てて崩れ落ちた。

立香は驚きながらも、冷静に前に進んでいく。

その先に現れたのは、かつて戦ったことのある敵、だがその姿は異常に歪んでいた。

黒い魔力に包まれた人型の影。まるで死者のようにひどく荒廃していた。

「これは…!」アルトリアが冷静に言葉を放つ。

「我々を試すような者だ。だが、覚悟を決めれば立ち向かえる」

その言葉が終わると同時に、黒い影が立香たちに向かって一斉に飛びかかってきた。

立香はその迫りくる力に反応し、剣を振るう。

しかしその攻撃を受けても、魔物は全く動じることなく、むしろ反撃を開始する。

「くっ!」立香は必死に剣を振るいながらも、その攻撃が届かないことに焦りを感じる。

マシュとアルトリアも、その力を感じながら攻撃を避けていくが、その魔物は一向に倒れない。

「どうして…?」

立香がその言葉を発した瞬間、魔物は再び大きな黒い光を放ち、全員を吹き飛ばした。

立香は壁に叩きつけられ、その痛みに呻いた。

「先輩!」マシュの声が遠くで響く。

立香はその声に反応し、立ち上がろうとするが、体が重く感じる。

「こいつ…あまりにも強すぎる…!」

ジークが声を荒げるが、そこにさらに魔物が迫ってくる。

「ルーラー、そろそろ仕掛けるぞ!」

ジャンヌは立ち上がり、覚悟を決めた表情で剣を振りかざした。

彼女の体から放たれる神々しい光に包まれ、その光は魔物に向かって放たれた。

魔物はその光を受けて、少し後退する。

「これで!」だがその瞬間、魔物は一気にジャンヌに飛びかかり、鋭い爪で彼女を切り裂いた。

ジャンヌはその攻撃を受けて、膝をつき、苦しそうに息をする。

「ルーラー!」

ジークが叫ぶが、ジャンヌはそれに答えない。

まるで、彼女が何かを受け入れるかのように静かに目を閉じていた。

「私の役目はここまでです…」ジャンヌはその言葉を最後に、静かに倒れた。

立香はその光景を目の当たりにし、言葉を失った。

「ジャンヌ!」立香は必死に駆け寄るが、すでに彼女は動かない。

ジークもその場に膝をつき、涙をこぼしていた。

「くそ…!」

ジークは怒りに満ちた声で叫びながら、剣を握り直す。

立香はその情景を見ながら、何もできない自分に怒りを感じていた。

「ジャンヌ…」アルトリアが静かに呟く。

彼女の目には、深い悲しみが浮かんでいた。

その瞬間、教会の中に奇妙な音が響いた。

何かが近づいている。立香はその音に耳を澄ませる。


第四章

ジャンヌが死んだその後、立香たちは必死に立ち上がろうとする。

しかし、魔物の力は未だに強力で、簡単には倒せない。

ジークはその場で剣を握りしめ、目に涙を浮かべながら叫ぶ。

「もう負けない…絶対にルーラーのためにも!」

立香はその言葉にうなずき、深呼吸をしながら剣を構え直す。

「行くぞ!」

その言葉に、アルトリアもマシュも頷き、四人は再び立ち向かう準備を整える。

しかし、状況は依然として厳しく、魔物は次々に新たな攻撃を仕掛けてくる。

「くっ…!」

立香はその攻撃をかわしながらも、魔物の恐ろしい力に恐怖を感じていた。

その時、アルトリアが強い一撃を放つと、魔物が少し後退した。

しかし、それでも倒れることはなかった。

「どうして…?」立香はその場で叫びながら、再び剣を振るう。

その時、教会の中で不気味な声が響いた。

「無駄な抵抗だ。全ては私の手のひらの上」

その声に、立香たちは一瞬戸惑う。

だがその正体が何かはすぐには分からない。


第五章

その声が響いた瞬間、立香たちはすぐに戦闘を中断する。

「誰だ!?」立香が声を上げるが、何も答えない。

その時、目の前に現れたのは、まさに神のような姿をした存在だった。

彼は一切の感情を見せず、ただ冷静に立っている。

「お前が…」立香はその姿を見て、怒りが湧き上がる。

その存在は、魔物を操っている張本人だと確信していた。

「私が、すべてを掌握する者だ」

その言葉と共に、その神のような存在は、立香たちに向かって放った魔力の波動を送り込んだ。

その波動が襲いかかる中、立香たちは必死にその攻撃をかわそうとするが、強大すぎて逃げることができない。

その時、突然、ジャンヌが目を覚ました。

「私は…まだ生きています…!」ジャンヌの声が響き渡る。

しかし、その瞬間、首を切られた。魔物の一撃が、ジャンヌの命を完全に奪った。

Re: 【fgo二次創作】終焉の聖域 ( No.2 )
日時: 2025/02/11 21:28
名前: きのこ (ID: cHp/tugs)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第六章

ジャンヌが死んだことで、立香たちは更なる絶望に直面していた。

しかし、その絶望の中にあっても、ジークはその怒りを完全に爆発させるかのように、剣を握りしめた。

「ルーラー…!君の死を無駄にはしない!」

ジークの声は怒りに満ち、その目は血走っていた。

彼の周りに漂う空気も、もはや怒りと絶望が入り混じったものに変わっていた。

「俺が、全てを終わらせる!」

ジークはその一言を発し、猛然と敵へと駆け出した。立香はその背中を見守るしかない。

アルトリアとマシュも、ジークの突撃をサポートするために準備を整える。

ジークの剣が魔物の魔力で包まれたような黒い影に斬り込む。

その一撃で、魔物の体が震え、異常な叫び声が上がった。

その反動で周囲の空気がひどく歪んでいく。

「これが…お前の最後だ!」

ジークは全力で振り下ろした剣を、魔物の中心に突き刺した。

激しい衝撃が広がり、その魔物はひときわ大きな悲鳴を上げ、崩れ落ちる。

その瞬間、教会の内部は一瞬の静寂に包まれ、次いで魔物が完全に消え去った。

「やった…」立香はその光景を見て、息をつくことしかできなかった。

しかし、その勝利の余韻に浸る暇もなく、ジークは倒れた魔物を見据えながら、疲れきった様子でつぶやく。

「ルーラー、俺は…お前を守るつもりだったのにっ…」

ジークは涙を流しながら、その場にひざまずく。

しかし、立香はその状況を理解しながらも、冷静でいようと努めた。

「ジーク…君が戦ったことは無駄じゃない」

立香がその言葉をかけるが、ジークはただ黙ってうなずく。

だがその時、教会の床が激しく揺れ、何かが不穏な気配を放ち始めた。

「これは…まだ終わっていないのか?」

アルトリアが鋭く周囲を見回す。立香もその感覚を共有しているが、何も見えない。

だが、その不安を払う暇もなく、突然、教会の奥から響く音が彼らを圧倒した。

それは、かつて彼らが見たことのない巨大な影。

魔物の残滓とは違う、まるで神々のような存在が迫ってくる。

その存在が教会内に足を踏み入れると、圧倒的な圧力が立香たちを押し潰しにかかる。

その姿を目の当たりにした時、立香はこれが真の敵であると確信した。


第七章

立香たちはその新たな敵に立ち向かうため、再び一丸となって戦う準備を整える。

しかし、その敵は全く人間のものとは思えないほどの力を持っており、立香たちの攻撃を軽々とかわしていく。

「これは…どういうことだ?」立香は疑問を抱えながらも、目の前の敵に立ち向かう。

しかし、敵はその剣をただ受け流すだけで、まるで人間のものとは思えない冷徹さで立香を見つめている。

「先輩、気をつけてください!」

マシュがその背後から警告を発した瞬間、敵の手が鋭く立香に向かって伸びてきた。

立香はそれを瞬時に避けることができたが、敵の反撃は容赦なかった。

そのとき、アルトリアが一歩前に出て、長剣を構える。

「私が行く!」

アルトリアはその一撃を放ち、巨大な敵の肩に深く切り込んだ。

しかし、敵はまるで痛みを感じないかのように、その攻撃をあっさりと耐えた。

「何だ、この耐久力は!」立香が驚きの声を上げるが、アルトリアは冷静に答える。

「ただの攻撃では、この敵には通じない」

その言葉の通り、敵は一切のダメージを受けることなく、立香たちを次々に攻撃し始めた。

その力に押され、立香たちは一時的に後退せざるを得なくなった。

「どうすれば…!」

立香が叫ぶその時、突然、ジークが駆け出した。彼の目は、決意に満ちていた。

「俺が、こいつを倒す!」

ジークはその言葉と共に、全ての力を振り絞り、敵の心臓を目がけて最後の一撃を放った。

その刃は敵に深く刺さり、敵の体が一瞬で弾け飛ぶように崩れた。

その勝利の瞬間、ジークもまた力尽き、倒れ込んだ。立香はその姿を見て、何も言えなかった。

「ジーク…!」立香は彼の名前を叫ぶが、ジークの目はもう開かない。

彼の命もまた、この戦いで尽きてしまった。


第八章

立香とアルトリア、マシュ。

三人は、ジークを失った悲しみを胸に、再びその場に立ち向かう。

しかし、敵の最後の一撃を放つその瞬間、立香たちの運命もまた動き始めた。

その敵の力が再び襲いかかると、立香たちはその攻撃を避けようとする。

しかし、予想外の事態が発生した。

「先輩!避けて!」マシュが叫んだ瞬間、立香の背後から何かが迫っていた。

立香が振り向くと、黒い影のような存在がその手を伸ばしているのが見えた。

立香はその攻撃を避けようとしたが、間に合わなかった。

「うっ!」

立香の体は激しく衝撃を受け、前に倒れる。

その瞬間、立香の体に一条の鋭い痛みが走り、目の前が真っ暗になった。

その一瞬、立香の目の前に現れたのは、マシュだった。

彼女は立香を守るかのように前に出て、心臓を貫かれた。

「マ、マシュ…!」

立香はその姿を見て、心が引き裂かれるような感覚に襲われる。

しかし、その痛みを乗り越えるために、立香は力を振り絞った。

その時、アルトリアが立香に向かって叫ぶ。

「立香、前を見てください!」

立香は何とか意識を保ち、立ち上がろうとするが、その時、またしても強烈な衝撃が襲いかかる。

アルトリアも、立香も、無力であった。

そして、立香はその場で目を閉じた。

「すまない…」

Re: 【fgo二次創作】終焉の聖域 ( No.3 )
日時: 2025/02/14 17:27
名前: きのこ (ID: JZUESnRS)

第九章

教会の中には、死と絶望が充満していた。ジャンヌとジークとマシュを失った今、立香とアルトリアだけが残されていた。

二人は静かに呼吸を整えながら、なおも襲い来る敵に対峙する。

立香は震える手で剣を握りしめ、疲労と痛みで立っているのがやっとだった。

それでも、目の前のアルトリアを見て、かすかな希望を捨てなかった。

「まだ…終わりじゃない」

「そうですね。まだ私たちがいます」アルトリアは静かに剣を構えた。

彼女の瞳には揺るぎない決意が宿っていたが、その奥には深い悲しみと責任感が見え隠れしていた。

教会の奥から、不気味な足音が響き渡る。ついに最後の敵が姿を現した。

それはこれまでの敵とは異なり、異様なほど巨大で、漆黒の鎧に覆われた存在だった。

その瞳は禍々しい赤色に輝き、ただ立っているだけで周囲に圧迫感を与えた。

「貴様らに、何ができる…?」その声は冷たく、残酷だった。

立香はその声を聞いても、恐怖を押し殺し、アルトリアと共に前へ一歩踏み出した。

「何ができるかなんて、やってみなきゃわかんないだろ!」

立香は叫び、敵に向かって突進する。

アルトリアもその後を追い、鋭い剣先が敵に向かって放たれる。

敵の鎧に剣が当たるが、まるで岩のように硬く、刃は弾かれてしまう。

「くそっ…!」

立香が歯を食いしばるが、敵は冷笑し、反撃の拳を振り下ろした。

その一撃は地面を砕き、立香とアルトリアは弾き飛ばされた。

身体中が痛みに襲われるが、それでも立香は諦めなかった。

「立香、まだ戦えますか?」アルトリアが息を切らしながら尋ねる。

「ああ、やるしかない」

立香は立ち上がり、剣を再び握り直す。

その瞳には、これまでの仲間たち――ジーク、ジャンヌ、マシュ――の姿が浮かんでいた。

「みんなのために、ここで終わらせる!」立香とアルトリアは再び走り出した。

敵の圧倒的な力に押されながらも、二人の剣は輝きを失わなかった。


第十章

立香とアルトリアは息も絶え絶えになりながら、最後の敵に立ち向かっていた。

何度斬りつけても、敵の鎧には傷ひとつつかない。それでも、諦める気は毛ほどもなかった。

「もう少し…もう少しで…!」

立香はそう言いながら、全力で剣を振るう。

アルトリアも立香に合わせ、渾身の一撃を放つ。その瞬間、敵の鎧に小さなヒビが入った。

「今だ、アルトリア!」

「はい!」

アルトリアはその隙を逃さず、剣に魔力を込め、最大の一撃を放った。

「――エクスカリバーッ!!」

黄金の光が教会中に広がり、敵を飲み込んだ。

爆発的な閃光が収まると、敵の鎧は完全に砕け散り、崩れ落ちた。

「やったか…?」

立香がそう呟いた瞬間、鎧の中から最後の攻撃が放たれた。

アルトリアに向かって鋭い光が飛んでくる。

「危ないっ!」立香は反射的にアルトリアを庇い、その光を全身で受けた。

「立香!!」アルトリアが悲痛な叫びを上げる。

立香の身体は光に貫かれ、ゆっくりと崩れ落ちた。

「立香…どうして…」アルトリアが震える手で立香を抱きしめる。

立香は弱々しく笑い、最後の力を振り絞って言葉を紡いだ。

「守れて…よかった…」そう言い残し、立香の瞳から光が失われた。

アルトリアの頬に涙が伝い、教会には静寂が広がった。


エピローグ

崩壊した教会の中に、静けさが戻っていた。全ての敵は倒され、戦いは終わった。

しかし、そこには何も残らなかった。

仲間たちは皆、冷たい遺体となり、残されたのはアルトリアだけだった。

アルトリアは立香の亡骸を抱きしめ、涙を流していた。

「また、なにもかも…守れなかった…」その言葉は静かに教会の中に消えていった。

彼女の涙は止まることなく、絶望と無力感が彼女を支配していた。

教会の外では、太陽が昇り始めていた。

その光はあまりにも美しく、悲しみを知らないかのように世界を照らしていた。

アルトリアはその光を見つめ、立ち上がった。涙を拭い、剣を鞘に収める。そして、静かに呟いた。

「せめて、あなたたちのことは忘れない」

そう言って、彼女は教会を後にした。

彼女の背中には、深い孤独と、終わることのない後悔が漂っていた。


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