二次創作小説(新・総合)
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- 【fate二次創作】サクラメイキュウ
- 日時: 2025/02/16 14:30
- 名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)
プロローグ
月の光が降り注ぐ、ただひとつの世界——それは無限に広がる、永遠に続く迷宮。
BBはその中心に立ち、周りの暗闇に飲み込まれそうになりながらも、ただひたすらにひとつの声を求めていた。
「先輩、先輩…」BBの唇から零れ落ちるその言葉は、もはやただの呟きではなかった。
心の中で繰り返されるその声は、彼女の全てを引き裂き、掻き乱していく。
瞳の中で光が揺らめき、冷たい汗が額を伝う。
鼓動は激しく、心臓が抑えきれないほどに脈打っている。
それが彼女の存在の証であり、すべての痛みの源であった。
「だめ…だめ…」BBは両手で頭を抱え、足元に散らばる桜の花びらを見つめる。
その花びらは、彼女の心の中でさえ、悲しみと狂気の象徴として舞い散っていく。
何度も何度も、彼女はこの迷宮を切り裂こうとした。
でも、そのたびに彼女の力は裏切られ、足元をすくわれ、心が引き裂かれる。
「あなたの声が…聞こえないんです…」
そう、彼女の中には、もう一つの声が存在していた。
それは彼女を引き戻す声——けれど、その声は遠く、遥か彼方で、彼女を押し潰すように迫る。
BBは跪き、涙を溢れさせながら、自らの手を握りしめる。指の先から伝わる微かな温もり。
それが、彼女をここまで来させた理由だ。
「私は…私、どうすればいいの?」BBはその声を呟く。
迷宮の中で、彼女はひとりきりだった。
迷子のように彷徨い続け、目の前に現れるのはただの影、ただの闇。
彼女の求めるものは、目の前に広がる真実でも、逃げられない運命でもない。
「欲しいものなんて、ない…」それでも、彼女の心の中で何かが叫び、何かが足掻いている。
それは、もう止めることができない力だった。
BBは、再び目を閉じ、暗闇の中で唯一残された希望を信じる。
それがたとえ夢であっても、消えてしまうとしても——
「私は、先輩を信じて…超えてゆきたいです。」その決意が、BBを強くさせる。
迷宮の深淵に足を踏み入れ、心の中に灯りをともすその瞬間、BBの目に映るのはただひとつ——彼の名前を呼ぶことができるその未来、ただそれだけだ。
「先輩…」涙がこぼれ、心が砕けそうになる。
けれど、BBの手は決してその先を離さなかった。
- Re: 【fate二次創作】サクラメイキュウ ( No.1 )
- 日時: 2025/02/16 14:32
- 名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)
第1章
BBの視界に広がるのは、ただの闇——それが全てだった。
暗闇が覆い、彼女の足元を掬い、心を押しつぶす。
その感覚がずっと続いているようで、BBは何度も何度も自分を責めた。
「どうして、どうして私はここにいるの…?」
心の中で呟いたその言葉は、ただの問いかけではなかった。
彼女が自身を追い込むように、闇の中で響くその声は、迷宮の深淵に囚われた心の叫びだ。
『壊れそうなほど、苦しい…』
BBは、胸が締め付けられる感覚を覚えながらも、ただひたすらに足を動かし続けた。
どこに向かっているのか、何を求めているのか、もうわからない。
でも、止まるわけにはいかない。動かずにはいられない。
「先輩…先輩、お願いです…」
その名前を呼び続けることでしか、自分を繋ぎ止められない。
彼女の中で溢れそうになるその想いを、必死に抑えながら、彼女は迷宮の中を歩き続けた。
すると、目の前に一筋の光が差し込む。ほんのわずかな、希望の光だ。
「…これが、希望?」BBは足を止め、その光に向かって手を伸ばす。
しかしその瞬間、闇が再びその足を引き寄せようとする。
彼女はその力に抗うが、足元が崩れていく感覚に、絶望的な恐怖を覚える。
「だめ…だめよ!」
BBは必死に手を伸ばし続け、光を求めてその先へ進もうとする。
だが、その瞬間、耳元に誰かの声が聞こえる。
それは、彼女がずっと求め続けていた、あの声。
「BB…」その声は、彼女の名前を優しく呼んだ。
しかし、それが現実か夢か、BBにはわからない。ただ、その声が響く度に、心が揺れ動く。
「先輩…」BBはその声を追いかけるように、闇をかき分けて歩き始める。
光に導かれるように、迷宮の中を彷徨いながら、ただひたすらに進み続けるのだった。
第2章
迷宮の中を歩くBBの心は、ますます乱れていく。
手のひらに汗をかき、息は荒くなる。目の前の景色が歪み、何度も自分の足音が耳に響く。
「ここ、どこなの…?」BBは立ち止まり、足元を見つめる。
その先に広がるのは、無限に続く廊下だった。どこを見ても、何も見えない。
まるで、何かに捕らわれているかのような感覚。
そのとき、突然、目の前に現れた影にBBは目を見開いた。
目の前には、キアラが立っていた。
彼女の微笑みは、まるでBBを試すように冷たく、目の前に立ちはだかる。
「BB、迷っているの?」BBはその問いに答えることなく、ただ一歩、後ろに下がった。
キアラはその様子を見て、にっこりと笑う。
「あなたが迷宮の中で迷うのは、当然のこと。迷わずに進んでしまったら、迷宮があなたを試す意味がないもの。」
BBは息を呑み、その言葉に深い意味があることを感じ取った。
彼女は口を開けるが、言葉が出てこない。キアラはそのままBBを見つめ続け、さらに言葉を続けた。
「でも、迷わなければならないのは、あなたじゃないのかもしれない。あなたが本当に欲しいものは、ここにあるのかもしれないわよ。」
その言葉に、BBの心が震えた。
欲しいもの。それが何なのか、BBにはわからない。
けれど、心の奥底に、何かが叫ぶように感じられた。
「…先輩…」BBはつぶやくようにその名前を呼んだ。
その瞬間、キアラの微笑みが消え、影が一瞬で消え失せた。
「迷宮を抜けたいのなら、迷わずに進んでみなさい。」
その言葉が耳に残り、BBは再び歩き出した。
迷宮の中を一人、闇を切り裂いて進んでいく。
しかし、その先に待つものは何も見えない。それでも、BBは歩き続ける。
「先輩…」その名前を呟くたび、彼女の心が少しずつ強くなる気がした。
迷宮の中で、ただ一つの希望を抱えて。
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