二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】永遠の約束
日時: 2025/02/16 16:19
名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)


プロローグ

遠く、かすかな歌声が響く。薄明かりの中に立ち尽くし、耳を澄ませる。

その声はまるで風に乗って、遥か彼方から私を呼んでいるようだ。

胸の奥が痛む。懐かしくて、切なくて、あまりにも遠すぎて――

「私の名はジャンヌ・ダルク」

私が語るべき物語は、もう何度も繰り返されてきた歴史の一部。

しかし、それでも、今ここで再び思い返すとき、その記憶はまるで鮮明に蘇るかのように胸を締め付ける。

戦いの数々、絶望と希望、命をかけた叫びが今も響き渡る。

私はあのとき、ただ一人の少女だった。

何も知らず、何も恐れず、ただ祈るように戦っていた。

やがてその祈りは、戦火の中で人々を導く光となった。

しかし、その光があまりにも眩しすぎて、私自身を照らすことはなかった。今、振り返れば――

「私は、何を求めていたのだろう」

戦いの果てに訪れた静けさ、焼けつくような痛みの中で、私は知ってしまった。

ひと時の安らぎを求め、心が叫ぶように求めた――その答えが、今ようやく理解できる。

そして、あの少年が現れた。ジーク。あの日、彼が私に告げた一言が、今も私の胸を激しく打つ。

あの言葉が私の中で静かに、しかし確かに根を張り、私を変えた。

「ルーラー、君を愛している」あの瞬間、私の世界は壊れた。

全ての戦い、全ての涙、全ての犠牲が、今ここで意味を持つ。

それは、ただの愛ではなく、私が本当に求めていたもの、私が生きるために必要だったもの。

愛。それは、何よりも強く、何よりも優しい光で私を包み込んだ。

「でも――」

私はその光を、今、どこで感じているのだろう。

あの声は、もう届かないのだろうか?あの日、最後に交わした言葉が、今も耳の奥で響く。

彼の言葉が、私を引き寄せる。引き寄せられるたびに、心が震え、胸が痛む。

もしも、もう一度だけ――

その声が、届くなら。

私は知っている。この胸の痛みは、決して消えることがない。

愛が与えてくれる温もり、それは決して、終わることがない。

涙を流し、何度も振り返りながらも、それを胸に刻み、私は歩き続けるだろう。

「私は――まだ、彼に届きたい」

Re: 【fate二次創作】永遠の約束 ( No.1 )
日時: 2025/02/16 16:21
名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)

第1章

霧が立ち込める草原を歩く。足元は湿り気を帯び、冷たさが骨に染みるようだ。

それでも、私の足は止まることなく進み続ける。

なぜか、この道を歩くことが運命であるかのように、私はその足音を無意識に追っていた。

「ジークくん…」

その名を呟くたびに、胸の奥が痛む。

彼の声が、あの時の温もりが、今も私を引き寄せる。

それは、まるで手のひらの中に掬い取った熱を永遠に保とうとするかのような切なさだった。

あの日――私が命をかけて戦い、救いたかったのはただ一つの希望だった。

フランスを救うこと、そして、たった一人の命を守ること。

それが私の使命だと信じていた。しかし、私は何を間違えたのだろうか。

戦の中で多くの命を奪い、裏切りの数々に苦しみながら、それでも前に進まざるを得なかった。

そして、出会ったジーク。

彼は、私にとって救いだった。

血を流し、傷を負い、孤独に戦い続ける中で、彼は私の前に現れた。

最初はただの一人のホムンクルスとして、だが次第に、彼は私の心の中で特別な存在となった。

私が戦い続ける理由を見失いかけたその時、彼が言った言葉――

「ルーラー、君はもう戦わなくていい。僕が君を守る。」

その言葉が、私を引き止めた。

あんなにも純粋で、そして力強い言葉をかけてくれる人がいるとは、夢にも思わなかった。

だが、戦争は終わらなかった。そして、私の命も尽きるときが来た。

焼けつくような痛み、息が詰まるほどの熱を感じながら、私は最後の瞬間を迎えた。

ジークの顔が、あの時の笑顔が頭をよぎる。

今も、彼の瞳を見つめることができれば、それだけで全てを終わらせてもよかった。

「ジークくん――」そして、目を閉じた。

その瞬間、私は心の中で確かに彼の声を感じた。

静かな、優しい声。あれは幻ではなかった。

彼が私に告げた言葉――「待っていてくれ」と。

目を開けたとき、私はどこにいたのだろうか。

霧の中、どこか遠くの空がぼんやりと見える。

周囲には誰もいない。ただ、静寂と共に立ち尽くしていた。

「まだ、私は生きているのか」

私は自分に問いかける。その答えはわからない。

しかし、何かが私を導いている気がしてならない。

見上げれば、空は広がり、そこに一筋の光が差し込んでいた。

その光は、まるで私を迎えに来たかのように強く、温かかった。

それが、何かの兆しであるような気がして――私はその光に足を踏み出す。

「ジークくん、私はまだ――」

歩みを進めるたびに、その胸の痛みは増していった。

だが、それを抱えながらでも私は進み続ける。それが、私に与えられた運命だから。

そして、私は確信していた。この道の先に、きっと再び彼に出会うことができると――。

Re: 【fate二次創作】永遠の約束 ( No.2 )
日時: 2025/02/16 16:24
名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)


第2章

空は曇り、冷たい風が草原を撫でる。

足音だけが、静けさを切り裂くように響く。

私は一歩一歩、足を運ぶ。その先に何が待っているのか、分からない。

ただ進むしかないと思う自分が、どこか無力に感じられる。

ふと立ち止まり、手を胸に当てる。

そこには、確かに温もりがあったはずだ。

ジークの声、彼の手のひらに触れた温かさ、それが未だに私の中に残っている。

それでも、空気はひんやりとし、私の心はどこか冷たく感じる。

「ジークくん…」

何度も呼んではみたものの、彼の声は返ってこない。

あの時、私が倒れた場所から何もかもが変わったような気がする。

私が感じているものは、ただの記憶なのか、それとも本当に彼が私を導いているのか、それすら分からない。

歩き続ける中で、ふと視界が歪む。

目の前の景色が揺らぎ、そしてその中にひとりの少年の姿が浮かび上がる。

「ジークくん――?」

その名を呼びかけると、少年は静かに振り向いた。

そこにいたのは、私が愛したあの少年そのものだった。

しかし、何かが違う。

彼の瞳は、かつての優しさを失っているように感じた。その瞳には、深い闇が潜んでいた。

「ルーラー、君はまだ分かっていないんだな」

その声は、かつて私が知っていたジークの声ではなかった。

冷たく、感情を乗せることのない声音。それが私の心を刺すように響く。

「どういうこと…?」

「君は、もうあの時のままでいられない。君の選択は、もうすべてが終わったことにすぎない。」

その言葉に、私は愕然とした。

あの時の約束、再び出会うこと――それは、もう叶わないのだろうか。

ジークが私に言った「待っていてくれ」という言葉は、ただの慰めだったのか。

私はただ、振り向くこともできずに立ち尽くした。

「私…が間違っていたんですか?」

私はその問いを投げかけるが、ジークは答えずに歩き出す。その背中を追いかけようとするが、何故か体が動かない。足元が重く、力が入らない。

「ジークくん!待ってください…!」

その声が届いたのか、彼は立ち止まり、私の方を振り返る。

「君はもう、過去を追い続けることはできない。」

その言葉は、私の胸を強く締め付けた。

何故だろうか、彼の言葉には拒絶のような冷たさが含まれていた。

あの優しい笑顔も、もう彼には無いのだろうか。

ジークが消えたその瞬間、私は足元を崩して地面に膝をついた。

息が詰まる。胸が締め付けられるような痛みが走る。

彼がいなくなった世界で、私は一体何を求めているのだろう。

「ジークくん…」

声にならないほど小さな呟きが、私の唇から漏れた。

その声が、風に運ばれて消えるまで、私は膝をついたまま動けなかった。


第3章

静けさが支配する空間で、私は再び目を開けた。

あの幻のようなビジョンが消え、目の前に広がるのは、何もない荒野だった。

今、私はどこにいるのだろう。

霧に包まれたこの場所は、私が知っている世界とはまるで違う。

空は重く、地面は冷たく硬い。どこか異次元のような、不安定な感覚に包まれている。

だが、その中で、私は一つの確信を持つ。

「ジークくんは、どこかにいる。」

私はその思いを強く抱きながら、荒れた大地を歩き始めた。

あの少年のために、何もかもを捨てて走り続けた日々。

その思いは、今も変わらず私の中に残っている。

「ジーク、私を見つけて。」

歩みを進めるごとに、私はただ一つの希望にすがる。

再び彼に会うために、この荒野を越えなければならない。それが、私の使命であり、運命なのだと。

その先に何が待っているのか分からない。

だが、私にはまだ、守るべきものがある。

あの日誓ったこと――それを果たすために、私は歩みを止めない。

ただ、ジークに会うその瞬間を信じて。

そして、私は再び歩き続けた。

Re: 【fate二次創作】永遠の約束 ( No.3 )
日時: 2025/02/16 16:26
名前: きのこ (ID: sB2BNYQJ)


エピローグ

荒野を越え、幾つもの山を超えた先に、ようやくその姿が見えた。

疲れ果てて倒れそうになりながらも、足を引きずるように歩き続けた私が、たどり着いたその場所。

そこで待っていたのは、やはりジークだった。

最初に見たときは、信じられなかった。

彼の姿が、こんなにも遠く感じたからだ。

まるで夢の中で見た、もう二度と届かない存在のようで。

しかし、目の前にいる彼の姿は、何も変わっていない。

ジークの目が、私を見つけると、ようやくその表情に変化が現れた。

冷たかった瞳が、少しずつ優しさを取り戻していく。

しばらく無言で立ち尽くしていた彼が、やがて静かに口を開く。

「ルーラー…」

その声を聞いた瞬間、私の中で何かが壊れた。

冷静に考えることができなくなるほど、胸が苦しくなった。

「ジークくん…!」

私は駆け寄り、彼の胸に飛び込んだ。

今までの苦しみ、寂しさ、そして孤独。すべてをこの一瞬にぶつけるように、私は彼にしがみつく。

「待っててくれたのか…?」

ジークの手が私の髪を優しく撫でる。

その動作が、私を少しずつ落ち着かせてくれる。

「ずっと、ずっと待っていたわ。」

その言葉を耳にして、ジークは無言で私を抱きしめた。

冷たい風が吹いている中で、彼の温もりだけが私を包んでいた。

涙が溢れて止まらない。喜び、悲しみ、そして長い間の空白を埋めるように、私はただ泣き続けた。

「こんなに…こんなに会いたかったです。」

「…俺もだ。」ジークの声は震えている。

彼も私と同じように、あの時からずっと私を求め続けていたのだ。

時間がどれほど流れようとも、私たちの思いは決して消えなかった。

その時、ジークは私の顔を両手で包み込み、静かに言った。

「ルーラー、俺は君を忘れたことはない。ずっと、君を想っていた。」

その言葉が、私の心に深く響いた。

私たちが出会ったあの日、そして別れたあの日から、何もかもが繋がったように感じる。

私の中で、ようやくあの日の約束が果たされた気がした。

「あなたを…愛しています。」

その言葉は、これまで何度も心の中で繰り返してきたけれど、今やっと、心から伝えることができた。

ジークは優しく微笑み、私の涙をそっと拭った。

「俺も愛してる。これからは、ずっと一緒にいよう。」

その言葉に、私はすべてを委ねることができた。

何も恐れることはない。私たちの未来は、今、ここから始まる。

ふたりで手を取り合い、歩き出す。

かつて別れた時とは違って、今度こそ、決して離れないと誓って。

終わりのない物語が、今、ようやく幕を開ける。

涙が止まらなくても、それは幸せの証。

何度でも抱きしめ合いながら、私たちは未来へと歩んでいく。

もう、どんな試練が待っていても、私たちなら乗り越えられる。それを確信していた。

ジークと共に、私は未来を信じて。


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