二次創作小説(新・総合)
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- 【月姫二次創作】志貴とアルクの結婚生活
- 日時: 2025/02/16 21:38
- 名前: きのこ (ID: /83Dbcyn)
三咲町の閑静な住宅街。その一角に、少しだけ異質な空気を纏った家があった。
「志貴ー!朝だよー!起きてー!」
元・真祖の姫君、現・遠野アルクェイドが、豪快に寝室のドアを開ける。
そこには布団にくるまったまま、ピクリとも動かない遠野志貴の姿があった。
「む…むにゃ……あと五分……」
「五分じゃなくて五時間寝てるでしょ!まったく、志貴ったら朝に弱すぎるんだから!」
そのまま布団ごと持ち上げようとするが、当然ながら志貴は死んだように眠ったまま。
いや、彼の場合、本当に死んでいるのではないかと疑われるほどの眠りっぷりだ。
「仕方ないなあ……こうなったら……」
アルクェイドはにやりと笑うと、おもむろに志貴の耳元に顔を寄せた。
「ねえ志貴……私、朝ごはん作ったんだけど……」
「……ん?朝ごはん?」
「うん!今日のメニューはね……トマトジュースと、血の滴るステーキと……」
「うわあああああああああっ!?」
ガバッと飛び起きる志貴。
彼の脳裏に浮かぶのは、吸血鬼の生々しい食卓のイメージ。
「お、お前な……冗談でもそういうこと言うなって……」
「ふふっ、大成功!」
満面の笑みを浮かべるアルクェイド。
しかし、その後ろには、すでに準備万端な朝食が整えられていた。
「……あれ、普通に美味しそう。」
「当たり前じゃない!結婚したんだから、花嫁修業だってしてるんだからね!」
「いや、そもそもお前に家事能力なんて……」
「ふふん、見くびらないでよね!最近はレシピサイトで勉強してるんだから!」
ドヤ顔で言い放つアルクェイド。
しかし、ふと視線をやると、電子レンジの前で爆発寸前のトーストがスタンバイしていた。
「お、おい、アルク……あれ、ヤバくないか?」
「え?あっ!!」
ドーン!!
結婚しても変わらない、ドタバタな朝の風景だった。
「ただいまー……」
会社から帰宅した志貴は、ぐったりとした様子でリビングのソファに倒れ込む。
「おかえり志貴!」
玄関から飛び出してきたアルクェイドが、キラキラした笑顔で迎えてくれる。
「今日はね、志貴のためにサプライズがあるんだよ!」
「……いやな予感しかしないんだが。」
「じゃーん!」
アルクェイドが掲げたのは、なんと『ペットの猫』だった。
「……猫?」
「そう!志貴って猫好きって言ってたでしょ?」
「いや、確かに言ったけど……」
「だからね!見つけたの!」
そこにいたのは、普通の猫……ではなく、なんと『獣型の魔獣』だった。
「おいおいおいおい!お前これ、完全に魔獣じゃないか!」
「でもね!すっごく可愛いんだよ?」
「いや可愛くても飼えないから!!!」
「大丈夫大丈夫!私がちゃんとしつけるから!」
「絶対にダメだ!!!!」
いつもと変わらないドタバタな一日だった。
「はぁ……まったく。」
夕食を終えて一息ついた志貴は、呆れた表情でアルクェイドを見る。
「まったく、お前は本当に……もう何言ってるかわかるか?『魔獣を拾ってきた』だぞ?」
「いいじゃないの。どうせ私のことなんだからさ。」
「それはそうだけどさ。」
やれやれといった様子で肩を竦める志貴。
そんな彼を見て、アルクェイドは悪戯っぽく微笑む。
「ところで志貴!今夜、一緒に寝る?」
「……またか。」
「えへへ。」そう言って抱き着いてくるアルクェイド。
志貴はそれを抱きとめると、そっと彼女の髪を撫でた。
こうして今日も、遠野夫妻のラブコメな一日は続くのであった。