二次創作小説(新・総合)
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- 【月姫二次創作】月夜に揺れる眼鏡
- 日時: 2025/02/21 19:14
- 名前: きのこ (ID: ovLely7v)
秋の夜風が窓を叩く中、遠野志貴は眼鏡をかけ直し、隣で本を読んでいるシエルをちらりと見た。
「先輩、やっぱり似合ってますね。」
「何がですか?」
「眼鏡。最初はちょっと違和感ありましたけど、今はすっかり見慣れました。」
シエルはくすりと笑った。「お世辞を言ってもカレーの量は増やしませんよ。」
志貴は肩をすくめた。
「いや、ただの感想ですよ。僕だって眼鏡がないと困るし、シエル先輩も何だかんだで眼鏡が似合うし……」
「ふーん……?」シエルは本を閉じ、じっと志貴を見つめる。
その視線がどこか探るようなものに変わると、志貴は少しだけ視線を逸らした。
「まさか……」
「え?」
「遠野くん、あなた、眼鏡フェチだったんですね?」
「はぁっ!? いや、違いますから!」
慌てて否定する志貴を見て、シエルは楽しげに微笑んだ。
「冗談です。でも……遠野くんが私の眼鏡姿を気に入ってるなら、ずっとかけていてもいいですよ?」
志貴は微妙な表情を浮かべた。
「いや、無理しなくてもいいですよ……でも、まあ、たまになら……」
「ふふっ、そんなに照れなくてもいいのに。」
「照れません!」志貴は眼鏡を指で直すと、シエルが読み終わった本を取る。
「ほら、続きは僕が読んであげますから、先輩は料理をしててください。」
「ありがとう、遠野くん。じゃあお願いね。」
志貴は頷くと、読みかけの本を開き、眼鏡にそっと触れた。
『先輩と付き合うようになって、眼鏡を褒められるのが当たり前になったなぁ……。』志貴は内心苦笑する。
夜の静寂に二人の笑い声が溶けていく。
彼らはもう、遠い過去の戦いや悲しみから解放されていた。
そして今、月の下で二人は共に生きている。
眼鏡の似合う、穏やかな日常の中で——。