二次創作小説(新・総合)
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- 【月姫二次創作】月影恋華 ~三姫争奪戦~
- 日時: 2025/02/21 21:34
- 名前: きのこ (ID: ovLely7v)
三咲町の穏やかな朝。遠野志貴は、目を擦りながら学校へ向かっていた。
「おーい、志貴っ!」突然、背後から元気いっぱいの声が響く。
振り返ると、金髪の少女が満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。
「おはよう、アルクェイド……」
「今日も一緒に登校しよっか!あ、ついでにデートしようよ!」
「なんでそうなるんだよ……」
志貴はため息をつきながらも、結局アルクェイドのペースに巻き込まれる。
だが、すぐにもう一人の声が割って入った。
「遠野くん、おはようございます。奇遇ですね」
紺色の制服に身を包んだ、蒼髪の美しい先輩――
シエルが優雅な微笑みを浮かべていた。
「こ、これは偶然じゃなくて待ち伏せですよね……?」
「まあまあ。ところで、今日は新作のカレーを作ってきたんです。お昼、一緒にどうですか?」
「えっ、またカレー……?」
「何か?」鋭い視線が突き刺さり、志貴は思わず口をつぐんだ。
「ま、また今度……」
しかし、それを見ていたアルクェイドが不満げに頬を膨らませる。
「ダメダメ!志貴は私とデートするんだから!」
「デートじゃなくて登校だろ……!」
「じゃあ、私もご一緒していいですか?」
「ちょっと!志貴は私と二人きりのはずでしょ!」
「そんなの決まってませんよ?」
「決まってるもん!」
二人の間に挟まれた志貴は、頭を抱えながら
「もう帰りたい……」と小さく呟いた。
そこへ、さらに厄介な存在が現れる。
「お兄様、何をしているのですか?」
透き通るような白い肌に、端正な顔立ち。
蒼い瞳を冷たく光らせた少女――
遠野秋葉が、腕を組んで立っていた。
「お、おはよう秋葉……」
「お兄様、これはどういうことですか?朝から吸血鬼と妙な先輩といちゃいちゃして……」
「いちゃいちゃなんてしてない!」
「うわっ、秋葉まで来たの!?」アルクェイドが顔をしかめる。
「貴女こそ、なぜ私のお兄様に付きまとうのです?」
「そりゃあ、志貴が私を殺した責任を取るって決めたからでしょ!」
「それがどうして交際に発展するのですか……?」
「だって好きなんだもん!」
「……っ!」
秋葉の表情がピクリと揺れ、志貴の腕をぎゅっと掴む。
「お兄様は私のものです。誰にも渡しません」
「ものじゃないっての!」
志貴の悲鳴も虚しく、彼の左右にはアルクェイドとシエル、さらに正面には秋葉という修羅場の布陣が完成してしまう。
「うふふ、なんだか楽しそうですね!」
「全然楽しくない!!」
この状況をなんとかするためにはどうすればいいのか
――志貴は必死に頭を働かせようとするが、なにも浮かばない。
そして彼は悟った。
『――今日はもうダメだ……』この修羅場から抜け出すことは不可能だ、と。
こうして、遠野志貴の波乱に満ちた一日が幕を開けたのだった……。