二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】スヴィン、今日も懲りない!
日時: 2025/02/23 23:12
名前: きのこ (ID: ovLely7v)


時計塔の朝は慌ただしい。

だが、その中でもひときわ異様な空気が流れるエルメロイ教室の一角。

「グレイたん、今日もいい匂い……っ!」

「ひゃっ!? ス、スヴィンさん、また近いです!」

そう叫ぶグレイの前で、スヴィン・グラシュエートが、まるで犬のように鼻をひくつかせながら近づいていた。

「ちょっと、スヴィン。先生に止められてるの忘れた?」

「そんなことは知っているが! 本能が抑えられないッ!!」

「アウトだよ、ル・シアンくん!」

そう言いながら、突如スヴィンの首元を掴み、軽々と引っ張るフラット・エスカルドス。グレイから一定距離以上近づくことを禁じられたスヴィンを強制退場させるのは、もはや日常風景だった。

「フラット! お前のせいで……グレイたんの香りが……くっ、遠ざかる……」

「まったく、懲りないねえ。でもまあ、グレイちゃんも可哀想だよね、こんなストーカー気質なワンちゃんに懐かれちゃって」

「ス、スヴィンさんは……別に、嫌ではない、ですが……」

「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」

スヴィン、フラット、そしてアッドまで「えっ?」と声を上げる。

「……?」

グレイは自分の発言の影響を理解していないようだった。

「え、えっ、グレイたん……それはつまり、もっと距離を詰めてもいいということ!?」

「えっ!? い、いえ、そういう意味ではなく!」

「じゃあ、どういう意味!?」

「え、えっと……その……」

グレイはフードを深く被り、顔を隠した。

「グレイちゃんの顔が赤い! グレイちゃんが照れている!!」

「やっぱりル・シアンくん、グレイちゃんに嫌われてるんじゃなくて、意外と両思いだったりして?」

「バカな!? いや、まて……いや、でも、それは……」

スヴィンは本能的にグレイに惹かれているものの、恋愛的な自覚はあまりなかった。

だが今、フラットの言葉で急激に意識してしまったらしい。

「…………」

「…………」

沈黙する二人。

「おーっと!? これはまさかの急展開!? あれ、なんか俺、今いい仕事した?」

「貴様は今すぐ黙れぇぇぇぇえええええええ!!!」

スヴィンの咆哮が、時計塔に響き渡った。