二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】余の華麗なるファッションショー!
日時: 2025/02/24 15:57
名前: きのこ (ID: eoqryhKH)

岸波白野は、月海原学園の放課後のような時間を過ごしていた。

とはいえ、ここは月の聖杯戦争が繰り広げられる舞台。

そんな気の抜ける環境ではない。だが今日は違った。

「――奏者よ! 余の美しさを再確認する時が来たぞ!」

そんな言葉と共に、彼のサーヴァント・セイバーが唐突に宣言したのだ。

「……つまり?」「決まっておる! 余の歴代の衣装を余すことなく見せつけ、余の美の輝きを存分に味わうのだ!」「いや、何でそんなことを……」「決まっておるだろう! 余の美しさを見ぬまま生きるなど、愚の骨頂だからな!」

尊大に胸を張るセイバーを前に、白野はいつものように微妙な顔をする。

彼女の言動には慣れているはずだったが、時々予想の斜め上を行く。

「ではいくぞ!」

そう言うなり、彼女は姿を消し、数秒後――。

「まずはこれだ!」

パッと目の前に現れたセイバーは、純白のドレスに身を包んでいた。

普段の赤い衣装とは異なり、清純さすら感じさせる姿。

しかし、胸元の開き具合や腰回りのデザインは相変わらず攻めている。

「ふふん、どうだ奏者よ! 余の美しさに打ち震えるがよい!」「……いや、これは普通に綺麗だな」「だろう!? 余ほどの美を持つ者ならば、このような純白の衣装も似合うのだ!」

くるりと回り、スカートの裾を翻す。

金の装飾が光を反射し、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

『……なんだこれ、普通に見とれる』

白野はゴクリと唾を飲み込んだ。

だが、そんな彼の反応を見逃すセイバーではなかった。

「む、奏者よ、余に見惚れておるな?」「……別に」「素直ではないな! ならば次だ!」

白野が何かを言う暇もなく、セイバーは再び姿を消す。そして次の瞬間――。

「これが余の夏の装い! 水着!」

真っ赤なビキニに白のラインが入った水着姿のセイバーが現れた。

普段のド派手な衣装とは異なり、シンプルながらも彼女のスタイルを存分に引き立てるデザイン。

「どうだ、奏者よ! これぞ夏の芸術!」「……ちょっと待て」「何だ?」「そのポーズはやめろ」

セイバーは片手を腰に当て、もう片方で髪をかき上げるようなポーズを決めていた。

完全にグラビア撮影のノリだ。

「ふむ、ならばこうか?」

今度は少し前かがみになり、上目遣いでこちらを見る。

「…おい」「ん?」「だからそういうのは……!」

白野は顔を逸らしながら言った。

セイバーは彼の様子を見て満足げに頷く。

「ふふん、余の美しさに耐えきれなくなったか! 仕方あるまい、次に行くぞ!」

そんな調子で、セイバーは次々と礼装を披露していった。

赤と黒のゴシック風ドレス、ローマ皇帝を思わせる黄金の甲冑姿、さらにはカジュアルな私服風の衣装まで――。

そのたびに白野は適当な感想を述べるが、基本的に目のやり場に困ることが多かった。

そして、最後の衣装を披露した後、セイバーは満足そうに胸を張る。

「どうだった、奏者よ! 余の美しさを存分に堪能したか!」「……まぁ、すごかったよ」「ふむ、ならばよし!」

満足げな表情のセイバーを見ながら、白野は心の中で溜息をついた。

『本当に油断ならないな……』

 しかし、それでも彼女の満足げな顔を見ると、まぁいいかと思うのだった。