二次創作小説(新・総合)
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- 【fate二次創作】聖杯戦争後の恋愛戦線
- 日時: 2025/02/28 18:08
- 名前: きのこ (ID: opLc/10u)
「君という人は、まったくもって理解しがたい」
学園の屋上で、レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイは深いため息をついた。
「それはこっちのセリフなんだけど」
岸波白野は飴を口に放り込みながら、レオを見上げる。
身長差は五センチ。僅かながら彼女の方が高い。
月の聖杯戦争で何度も衝突した二人。
王としての誇りを持つレオと、無茶苦茶な絆クエストで人を惹きつける白野は、対極のようでいてどこか似ていた。
「僕は君のような人間を理解しようと努めている。しかし、どうにも不可解だ」
「どう不可解なの?」
「なぜ僕に対してもそうなのか、ということだよ」
レオは困ったような笑みを浮かべる。
その目には微かな苛立ちと……戸惑いが混じっていた。
「僕はあらゆる人間に平等に接している。にもかかわらず、君は僕を特別扱いする」
「……別に特別扱いなんかしてないよ」
「いや、しているよ」
レオは一歩、白野に詰め寄る。
「君は他の人にはもっと淡泊だ。しかし、僕に対しては……」
「……」
「君は僕のことが、好きなのかい?」
飴を噛み砕く音が響いた。
「…え?」
白野はしばし沈黙した後、じとっとした目でレオを見つめる。
「……それはない」
「そうか、ならばなぜ僕にばかり執着する?」
「執着って……私はただ、あなたの言ってることが癪に障るだけだよ」
「それが既に特別視だよ、白野さん」
レオは余裕の笑みを浮かべた。そう、まるで全てを見透かした王のように。
「むかつくなぁ、お前のそういうところ」
「感情を抱くということは、つまり——」
「…ち、違う」白野は頭を抱える。
だが、レオの言葉はまるで抜けない飴のように口の中に残っていた。
それが、いつものような「論破されるための理屈」ではなく、どこか甘さを感じる響きだったから。
「……ふん、では今日のところは退散しよう。だが、白野——君が僕をどう思っているのか、いずれ答えが出るはずだよ」
レオは優雅に歩き去る。
白野はその背中を見送りながら、口の中で小さくつぶやいた。
「……ほんと、むかつく王様だね」
