二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】引きこもり姫と朗読の麗人
日時: 2025/03/01 20:31
名前: きのこ (ID: 0N93rCdO)


「……刑部姫さん、また本を積み上げたままにしていませんか?」

「えぇ〜、いいじゃんいいじゃん、どうせ私しか読まないんだしぃ」

紫式部は静かにため息をついた。

遠く積み上げられたライトノベルや同人誌の山が、まるで城壁のように刑部姫の周囲を囲んでいる。

その中には、紫式部が薦めた恋愛小説や古典文学も混ざっているのだが、果たして読まれたのかは怪しい。

「……せっかく素晴らしい書物があるのに、乱雑に扱うのはいただけません」

「うっ……」

刑部姫はメガネをくいっと上げながら紫式部を見上げる。

その眼差しは完全に「めんどくさい……」と言っていた。

「……パイセンがどうしてもって言うなら、私の代わりに片付けてくれてもいいんだよ?」

「それでは意味がないでしょう」

「むぅ〜、じゃあどうすればいいの?」

紫式部はしばし考えた後、小さく頬を染めた。

「……刑部姫さんが、本を片付けるなら……」

「なら?」

「……私が、刑部姫さんに朗読して差し上げます」

刑部姫の耳がピクッと動いた。

『……朗読ということは!いつどこでも、どんなえっちい二次創作や同人誌であろうとも、パイセンが読み聞かせしてくれるって事ッ!そのためならば姫は、死んでも構わない!姫の勝利は今ここで確定したああぁぁぁ!』

「えっ、それってつまり、姫のために読み聞かせしてくれるってこと?」

「……はい」

紫式部は少し恥ずかしそうに視線を逸らす。

『よっしゃああぁぁぁっ!』

「あの……その……本を大事にしてくれるなら、の話ですが」

刑部姫はしばし沈黙した。

静寂の中、彼女の指が机の上のライトノベルをとん、と叩く。

「……じゃあ、約束だよ?ちゃんと、私のそばで読んでね?」「ええ、もちろん」

その言葉に、刑部姫は顔を綻ばせた。

「……んふふ、なんかいいねぇ。こういうのって、まるで……あれじゃん、ラブコメのワンシーンみたいな?」

「なっ……!」

紫式部の頬が一層赤く染まる。

そんな彼女を、刑部姫は愉快そうに眺めながら、未読の本を一冊手に取った。

「ねぇねぇ、せっかくだしさ、ちょっと試しに読んでくれない?」

「い、今ですか?」

「うんうん、さっき積んでた本の中から適当に選んで……ほら、これとか!」

刑部姫が差し出したのは、紫式部が勧めた恋愛小説の一冊だった。

紫式部はしばし戸惑った後、静かに本を開く。

そして、いつも通りの落ち着いた声音で、柔らかく朗読を始めた。

――その日、刑部姫の部屋は整理整頓され、そして夜が更けるまで、紫式部の静かで美しい朗読が響き渡った。

刑部姫は、心地よい声に包まれながら、ふっと微笑んだ。

「……このままずっと聞いていたいなぁ」

その小さな呟きを、紫式部は聞かなかったふりをした。