二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】カルデア深夜残業戦線
日時: 2025/03/01 22:15
名前: きのこ (ID: 0N93rCdO)


カルデアの廊下は、静まり返っていた。

普段は、無駄話や賑やかな足音で溢れるはずの空間が、異様なほどにひっそりとしている。

その静寂の中、ロマニ・アーキマンは再び自分のデスクに向かっていた。

今日もまた、彼の目の下には暗い影が濃くなり、肩はいつもよりも重く感じられる。

「うーん、もう少しで終わるかと思ったけど、結局残業かぁ…」

ロマニは無意識に呟きながら、資料の山に埋もれていた。

正確には、カルデアで最も過酷な仕事をしている一人だった。

医師としての責任は重く、日々の診療や研究、さらにはカルデアのメンバーの健康管理までこなす。

しかし、ここ最近はその責務が増え、彼の体力も限界に近づいていた。

髪型が、少し崩れ始める。

ロマニは顔を手で覆い、深い溜め息をついた。

「ちょっと休憩、だね……」

だが、その「休憩」は一瞬の安らぎもなく、時計の針が示す深夜の時刻を無視して、彼の指はキーボードに乗り続ける。

デスクに座りながらも、ロマニはふと目を閉じ、何度も自分を叱咤した。

「さっきから、なんでこんなに集中してんだろうな…。うーん、もうだめだね、これ」

すると、ふいにその部屋の扉が開かれる音が響いた。

だが、驚くべきことにその音の主は、誰でもない、藤丸立香だった。

「……あれ? Dr.ロマン、こんな時間に何してるの?」

立香の声は不安そうで、心配しているようだった。

ロマニは苦笑を浮かべ、少しよろけながらも立ち上がろうとする。

「ああ、立香ちゃん。いや、ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけだから。もうすぐ終わるし…」

しかし、立香が近づくと、その顔に明らかな疲労の色が見て取れた。

ロマニは無意識に立香の腕を支えようとして、ギリギリで自分の足元がふらついた。

「…やっぱり、無理してるんでしょ?顔色、変だよ」

立香が近づくと、ロマニはようやくそのまま椅子に座り込んだ。

顔色は悪く、目の下に隈ができていた。

心なしか、姿勢も崩れ気味だ。

「いや、まぁ…ちょっと忙しすぎて、ね?」

「もういい加減にしなよ。医師だって、ちゃんと休むことが大事だよ」

立香はロマニに手を差し伸べ、彼を椅子から引き起こそうとした。

しかし、ロマニは微笑みながらも、力なくそれを拒んだ。

「でも、ここでやらなきゃ、みんなに迷惑かけちゃうし…」

「迷惑かけたくないっていう気持ちはわかるけど、これ以上はダメだよ。Dr.ロマン、倒れたらどうするんだ?」

立香の言葉に、ロマニは一瞬だけ動きを止めた。

彼の目に、普段は見せない弱さが浮かんでいた。

「うん…でもさ、このまま倒れるわけにはいかないしね。責任感だけは強いから」

ロマニは苦笑しながらも、自分の限界を感じていた。

それでも、何とか仕事を終わらせようと必死に頑張っていた。

立香はそんなロマニを見て、そっと自分の肩を貸した。

「とにかく、今日はもう休んだ方がいいよ。みんなが心配してるんだから」

その言葉に、ロマニはようやく意識を手放すように、深く息をついて目を閉じた。

「ふぅ…ありがとう、立香ちゃん」

彼の体がぐっと沈み込んでいったとき、疲れた体はやっと安心したように安らいだ。