二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】怠惰姫と剣豪の甘い時間
日時: 2025/03/02 17:17
名前: きのこ (ID: UrWetJ/L)


宮本武蔵は風を切るように駆けた。

草の匂いを感じながら、爽快な気分で振り返ると、後ろには息を切らしながら小走りする刑部姫の姿があった。

「ちょ、ちょっと待っ……! 走るの早すぎますって……!」

「ははっ、刑部姫、そんなことで根を上げちゃダメだよ。せっかくの屋外稽古なんだからさ、もっと楽しもうよ!」

武蔵は軽快な足取りで刑部姫の手を取り、引っ張るようにして歩き出した。

刑部姫は恨めしげに見上げながらも、どこか楽しげな表情を浮かべている。

「刑部姫はさ、もうちょっと体を動かした方がいいと思うんだよねぇ。ずっと部屋にこもってばっかじゃ、もったいないでしょ?」

「うぅ、わかってますよぉ……でも、外って眩しいし……風が強いし……虫とかいるし……ネットも繋がらないし……」

ぶつぶつと文句を言いながらも、刑部姫は武蔵の手を振り払うことなく、しっかりと握り返していた。

武蔵はその様子を見て、口元を緩める。

「ふふっ、そう言いながらも、ちゃんとついてきてるじゃん。刑部姫、意外と素直で可愛いね?」

「そ、そんなことないですぅ……! これは武蔵ちゃんが無理やり連れ出したからで……!」

刑部姫の顔がほんのりと赤く染まる。

その様子が妙に愛おしく思えて、武蔵はさらに彼女の手を強く握りしめた。

「ねえ、刑部姫。たまにはこうして二人で出かけるのも悪くないでしょ?」

「……まあ、武蔵ちゃんと一緒なら……少しだけ、うん、楽しい……かも」

その言葉を聞いた瞬間、武蔵の心臓が跳ねた。

普段はぐうたらで怠惰を愛する刑部姫が、ほんの少しでも彼女と過ごす時間を「楽しい」と感じてくれている。

「そっか……じゃあさ、今度はもっと楽しいこと、しようか?」

「え、えぇ!? な、なにを……?」

「ふふっ、秘密!」

武蔵は得意げに笑いながら、刑部姫の手を引いて走り出した。

風が二人の間を駆け抜け、彼女たちの笑い声が森の奥へと響いていった。

二人が辿り着いたのは、緑深い森の中にある小さな開けた空間だった。

木漏れ日が揺れ、風がそよぐ静かな場所。

「ねえ、ここ、どう?」

武蔵は得意げに手を広げてみせる。

刑部姫は少しだけ周囲を見渡し、ふっと息をついた。

「…まあ、悪くない……かも。でも、何か仕掛けてるんじゃないの…?」

「おっと、疑われちゃってる? そんなことないって!」

武蔵は笑いながら草の上に腰を下ろし、刑部姫を手招きする。

「ほら、一緒に座ろうよ。せっかくのんびりできる場所なんだからさ。」

刑部姫は少しだけ迷った後、武蔵の隣に座った。

「ふぅ……こうしてると、少しは落ち着くかも……」

武蔵は満足げに頷いた。

「でしょ? だからさ、たまにはこうやって外に出て、気持ちよく過ごすのも悪くないと思うんだよね。」

刑部姫は小さく肩をすくめた。

「まあ……武蔵ちゃんとなら……」

「おっ? 今なんて言った?」

「な、なんでもないですぅ!!!」

刑部姫は慌てて顔を背けるが、耳まで赤く染まっていた。

武蔵はそんな刑部姫を見て、満足そうに笑った。

「ふふっ、やっぱり刑部姫って可愛いね。」

「むぅ……もう、武蔵ちゃんのバカ……」

二人の穏やかな時間は、木々のささやきと共にゆっくりと流れていった。