二次創作小説(新・総合)

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【fate二次創作】慎二は邪魔です
日時: 2025/03/07 16:34
名前: きのこ (ID: fiow63Ig)


ある日の昼下がり、間桐邸の居間。

桜はテーブルに紅茶を置きながら、くすりと微笑んだ。

「ライダー、今日の読書は何?」

「……『百合姫』という雑誌です」

ライダーは表情一つ変えずに雑誌を掲げる。

その表紙には、手を繋ぎ頬を染める美少女二人のイラスト。

「百合漫画……ですか?」

「はい。学びが多いです」

何の学びなのか。

桜は不審に思いつつも、とりあえず話を合わせることにした。

「へぇ……どんな話なんですか?」

「ええと……お嬢様学校に通う二人の少女が、互いに惹かれ合いながらも素直になれず、やがては──」

そこで言葉を切り、ライダーは桜をじっと見つめた。

「……これは参考になりますね」

「何の、ですか?」

「桜と私の関係の進展に」

「へ?」

桜の手元のティーカップが揺れる。

「待って、ライダー。私たちはそんな関係じゃ……」

「大丈夫です。桜がその気になれば、すぐにでも」

「だから違うってば!」

勢いよく否定する桜に、ライダーはしれっと続きを読む。

そして……

「なるほど……まずは手を繋ぐことから始めましょうか」

そう言いながら、すっと桜の手を取る。

「ちょ、ライダー!? 近いですよ!」

「百合的には適正距離です」

「そんな距離基準聞いたことありません!」

桜は真っ赤になりながら、もがく。

だがライダーの握力は強い。

そのとき、玄関の方からガチャリと音がした。

「おーい、桜! 俺が来てやったぞ!」

慎二である。

その瞬間、ライダーは桜の手をぱっと離し、冷静な表情を取り戻す。

「……害虫の気配を感じました」

「ライダー、兄さんを害虫扱いしないであげて……」

そう呟きながらも、桜は何となくライダーの手の温もりが残っているような気がして、こっそり赤くなったのだった。

数日後、桜が部屋で読書をしていると、背後から気配がした。

「桜、幽霊に興味はありますか?」

「……はい?」

振り向くと、ライダーが怪談の本を片手に立っていた。

「桜が怖い話が好きだと聞いたので、一緒に読もうと思いました」

「それは嬉しいけど……ライダーは怖くないの?」

「私はゴルゴンです。幽霊より恐ろしい存在です」

「そんな自信満々に言われても……」

桜が困惑していると、ライダーは本を開いた。

「では、読み聞かせします。タイトルは『呪われた鏡』……」

部屋の灯りが妙に薄暗く感じた。

ライダーの低く静かな声が、余計に雰囲気を盛り上げる。

「……そして少女が鏡を見ると、そこには自分と同じ姿の……」

バン!

突然、窓が風で大きく揺れた。

「きゃっ!」

「桜、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です……!」

桜は震えながら答えた。

ライダーはふっと微笑んだ。

「桜、可愛いですね」

「今そういうこと言うのやめてください!」

その後、桜はライダーの横で震えながら本を読んだ。

しかし、なぜかライダーが肩を寄せてくるので、怖いのか甘えてるのか判断がつかなかったのだった。

さらに別の日。

桜が台所でお菓子作りをしていると、ライダーが背後に立っていた。

「……桜、それは何を?」

「クッキーを焼いてます」

ライダーはじっと見つめた後、ふと頷いた。

「手伝いましょう」

「え? ライダー、お菓子作れるの!?」

「……いいえ」

「じゃあ何で手伝おうと……」

ライダーはしれっと桜の後ろに回り、手を桜の上に重ねた。

「では、一緒に混ぜましょう」

「ちょ、ライダー!? 近い! 近すぎます!」

「百合的には適正距離です」

「だからその基準おかしいですって!」

結局、ライダーが手伝ったことでクッキーは形が崩れたが、味は意外と美味しく仕上がった。

桜がため息をつきながらも、ライダーの笑顔に思わずほっとしたのだった。