二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】頼んでないのに毎朝起こしに来るギルくん
日時: 2025/03/07 21:57
名前: きのこ (ID: fiow63Ig)


「マスター、朝ですよ。起きてください」

小さな手が控えめに布団を揺らす。

「……うぅん、あと5分……」

「ダメです。マスターが寝坊するのは王として見過ごせませんから」

布団の端を引っ張る少年

――ギルガメッシュ。

大人の彼とは違い、子ギルと呼ばれるこの王は、謙虚で礼儀正しく、何より面倒見がいい。

そしてなぜか、頼んでもいないのに毎朝私を起こしに来るのだ。

「ねぇ、ギルくん……私、ちゃんと目覚ましセットしてるんだよ?」

「ですが、昨日も寝坊しかけたではないですか。危うくクリプターの一人に先を越されるところでしたね」

「うっ……」

痛いところを突かれた。

確かに昨日は、あと5分……あと5分……と繰り返した結果、カルデアの廊下を全力疾走する羽目になった。

「僕としては、朝から走り回るマスターも可愛らしいと思いますが、やはり健康のためには規則正しい生活が大事です」

「うぅぅ……ギルくん、お母さんみたいだよ……」

「僕は王ですから」

そう言って誇らしげに胸を張る子ギル。

小さいながらも堂々とした佇まいは、やっぱり彼が名君であった証拠なのかもしれない。

「……むにゃ……」

「……さて、起きる気配がないですね」

子ギルは小さく溜息をつくと、私の耳元にそっと顔を寄せ――

「マスター起きないと僕、今度のレイシフトでマシュさんに“マスターは寝坊助”って報告しますよ?」

「それだけはダメーーー!!!」

バッと布団を跳ね飛ばし、飛び起きる。

「やれやれ、ようやく起きましたね」

クスクスと笑う子ギルを見て、私は思った。

――この子、もしかして絶対わざとやってる……!

毎朝繰り広げられるこの攻防。

子ギルの名君ぶりは素晴らしいけれど、どうにも最近は私をからかう方向に進化している気がする。

「ふふ、明日も楽しみですね!」

「もう勝手に決定してるーーー!!!」

「マスター、朝食もきちんと食べないといけませんよ」

「うぅ……まだ眠い……」

無理やり起こされた反動で、私は食堂のテーブルに突っ伏していた。

すると、目の前にふわっといい匂いが広がる。

「パンは焼き立てです。ジャムも用意しましたよ」

「……えっ、ギルくんが?」

「いいえ、調理班に頼んでおきました!」

胸を張る子ギル。

なんだかんだ言いつつ、私の朝の世話を焼くのを楽しんでいる気がする。

「ほら、食べないと僕が食べちゃいますよ?」

「わ、私の分は私が食べるから!」

思わずパンを掴み取る。

すると、満足そうに子ギルが微笑んだ。

「よし、今日も元気に過ごせそうですね!」

「むぅ……ギルくん、お世話焼きすぎだよ……」

「ふふ、それが王の責務ですから!」

そしてその夜。

『……明日こそ、ギルくんより早く起きてやる……』

そう決意して、目覚ましをセットし、眠りにつく。

翌朝。

「マスター、朝ですよ!」

「……っ!?」

バッと飛び起きる。

……が、そこにはすでに子ギルが満面の笑みで待っていた。

「今度は寝坊しませんでしたね! ですが、僕の方が早かったですよ」

「くっ……!!」

私は枕に顔を埋めた。

――ギルくんに勝つのは、やっぱり難しいかも……!