二次創作小説(新・総合)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【fgo二次創作】藤丸立香は逃げられない
- 日時: 2025/03/08 17:26
- 名前: きのこ (ID: DTTuuvtM)
静かなカルデアの廊下を歩く藤丸立香は、最近の違和感に気づいていた。
「なんか、最近妙に視線を感じるんだよな……」
温厚な彼だが、さすがにこれは気のせいとは思えない。
任務の合間にふとした瞬間、背中に視線を感じることが増えた。
果たして、それは勘違いなのか──?
そんなことを考えていると、ふと廊下の先からロマニがふらふらと歩いてくるのが見えた。
「はぁ……Dr.ロマン、また仕事サボってるのか?」
「いやいや、休憩だよ、休憩! それよりも立香くん、最近ちょっと冷たくない? もっと僕に優しくしてくれてもいいんじゃないかな?」
髪を揺らしながら、ロマニは甘えたように距離を詰めてくる。
表情はどこか拗ねたようで、まるで甘えたい猫のようだ。
「は? 何言って──ちょ、近い近い!」
立香が後ずさろうとするが、ロマニはさらに一歩踏み込んできた。
その距離感に思わず顔が熱くなる。
「ええ? そんなこと言わずにさぁ、ほら、肩ぐらい貸してくれてもいいじゃない? 医療部のトップがこうして癒しを求めるのは大事なことだと思わない?」
「いや、思わない……」
苦笑しながらもロマニを引き剥がそうとするが、そこへ新たな人物が登場した。
「……アンタ、またそんな調子で人に絡んでるのか?」
カドック・ゼムルプス。
相変わらずクールな彼は、冷たい視線をロマニへと向ける。
「…べ、別にいいじゃないか」
「いや、なんか俺の意見そっちのけで話進めないでくれる?」
ロマニとカドックの間で板挟みになりながら、立香はため息をつく。
だが、そこでさらに問題が発生した。
「やれやれ、二人とも彼を困らせてはいけませんよ」
流れるような銀髪を揺らしながら、天草四郎が微笑みながら歩み寄ってくる。
「私としては、マスターの困った顔を見るのも悪くはないのですが……それよりも、そろそろ私の話も聞いてくれませんか?」
「な、何の話だよ……?」
四郎は柔らかく微笑みながら、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。
その優雅な仕草に、思わず立香は身を引いた。
「決まっています。私のもとへ来ていただけませんか? あなたを導く準備はできていますよ」
四郎の目が、まるで逃がさないとでも言うように静かに立香を見つめる。
逃げ場のないような圧に、立香は戸惑いながらも息を呑んだ。
「は、はぁ……?」
四郎の意味深な言葉に、戸惑う立香。
そんなやり取りを横目に、突如として廊下の向こうから弾むような足取りでアストルフォが現れた。
「なになにー? なんか楽しそうなことしてるじゃん! ボクも混ぜてよ!」
元気いっぱいに駆け寄るアストルフォは、そのまま立香の前に立ちはだかると、無邪気な笑顔を浮かべながら問いかける。
「ねぇマスター、どっちの隣に座るの? もしかして、やっぱりボク? ね? ね? ボクだよね?」
一瞬の沈黙。
「いや、そもそも座る前提で話を進めないで……!」
困惑する立香をよそに、アストルフォは楽しげにくるりと回って、周囲を見渡した。
そして、にんまりと笑いながら指をさす。
「でもさ、もうみんな囲んじゃってるし、ここでボクが横に座るのは運命ってやつじゃない?」
「どんな運命だよ……!」
「ふむ……これは、三つ巴ならぬ四つ巴の戦いになりそうですね」
「誰が戦うんだよ!」
こうして、藤丸立香の平穏だった日常は、新たな局面を迎えたのであった。