二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】遊郭カルデア ~魅惑の五花楼~
- 日時: 2025/03/08 22:01
- 名前: きのこ (ID: DTTuuvtM)
「よし、レイシフト完了っと……」
藤丸立香は、光の奔流が消えた空間に足を踏み出した。
傍らには、相棒であるマシュ・キリエライト。
二人はカルデアに帰還したはずだったが、目の前の光景は
――明らかに見慣れたカルデアとは違っていた。
「……せ、先輩? これは、どういうことでしょうか……?」
マシュの頬がわずかに紅潮している。
その視線の先にあるのは、煌びやかな提灯が吊るされた回廊、艶やかな屏風や障子、そしてまるで江戸時代の遊郭を思わせる艶やかな装飾の数々。
「えっ、えっ? ここ、本当にカルデアか!?」
立香は目を白黒させながら、異変を理解しようとした。
だが、考える間もなく、奥の襖がすーっと開く。
「やっといらっしゃいましたね、マスター♡」
「……カーマ!?」
現れたのは、艶やかな振袖に身を包み、妖艶な微笑みを浮かべるカーマだった。
普段の露出度の高い服装ではなく、しっとりとした和装姿だが、胸元の開き具合が相変わらず大胆すぎる。
「ふふ、戸惑っていますね? 無理もありません。ここは新しくなったカルデア……いえ、『魅惑の五花楼』とでも呼びましょうか?」
「いやいやいや、そんな改装した覚えはないんだけど!」
「そんなことより、マスター?」
別の方向から静かに歩み寄るのは、黒衣のハサン
――静謐のハサンだった。
彼女も普段と異なり、深い藍色の振袖をまとい、肩を出した大胆な着こなしだ。
「ここは、私とマスターが、もっと……ふれあうための場所……なんですよ?」
彼女の指先がすっと立香の頬に触れ――
「静謐さん、それ以上はアウトです!」
マシュがすかさず間に入り、立香を守る。
とはいえ、遊郭化したカルデアの謎は深まるばかりだった。
「ふふ……どうしましたか? マスター」
その時、長い黒髪を優雅に揺らしながら歩み寄ってきたのは源頼光だった。
彼女はまるで女将のように落ち着いた微笑みを浮かべている。
「せっかく戻られたのですから、くつろいでいってくださいね?」
「いやいや、だから、なんでこんなことになってるの!?」
「うむ、異変は感じますが、マスターの安全が第一です」
最後に現れたのはアルトリアだった。
彼女はしっかりと着物をまとい、隙のない佇まいで状況を見極めようとしている。
「さて、まずは一晩泊まっていただいて……」
カーマがくすりと笑いながら、立香の腕を絡めてきた。
「ちょっ、俺、本当に帰ってきたんだよな!? どこかの江戸時代じゃないよな!?」
「大丈夫ですよ、先輩。……わたしが、必ず守りますから」
マシュの決意に満ちた瞳を見ながらも、立香は悟った。
――これはもう、逃げられない、と。
遊郭化したカルデアに囚われた藤丸立香の運命やいかに――!?
「それでは、マスター。こちらへどうぞ」
カーマに手を引かれ、立香は豪華な部屋へと通された。
畳敷きの床に、緋色の布団が敷かれた寝台。
その周囲には香の匂いが漂い、艶めかしい雰囲気が満ちている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺、ここで寝るの?」
「ええ、もちろんです。ご安心ください……私が、ちゃんとお世話してあげますから♡」
妖艶な微笑みを浮かべるカーマに対し、マシュは勢いよく立香の前に立つ。
「ま、マスターは疲れています! 今日は私がそばに……!」
「まぁまぁ、そんなに慌てなくても……マスターには、ゆっくり楽しんでいただかないと♪」
その時、襖の向こうから別の声が響く。
「夜のおもてなしには、私も加わりましょうか?」
ふわりと甘い香りを纏いながら、紫色の振袖をまとった紫式部が現れる。
彼女は柔らかく微笑み、手に持った扇をゆっくりと広げた。
「マスターにぴったりの物語を、ご用意いたしました。心ゆくまで、お楽しみくださいませ」
「いやいや、俺、ただカルデアに帰ってきただけなんだけど!?」
こうして、遊郭カルデアでの夜が更けていくのだった――。