二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】マイルームの異常事態
日時: 2025/03/09 15:05
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


マイルームの異常事態

マイルームの扉を開けた瞬間、藤丸立香は時が止まったように思った。

――目の前に、ジャンヌ・ダルクがいた。

金色の髪をふんわりと揺らし、穏やかに微笑む聖女。

その姿はいつもと変わらず、彼女らしい清廉さをたたえている。

……いや、変わらないはずだった。

「……ジャンヌ?」

「おかえりなさい、マスター」

そう言って彼女は微笑む。

裸エプロンで。

白いエプロン一枚。

清楚なフリルがついたものの、その下に衣服はない。

肩から裾にかけてすらりと伸びる素肌はあまりにも眩しく、何より、豊満な胸のラインが隠しきれていない。

いや、むしろ強調されていた。

スカートの代わりに布地などなく、エプロンの裾がわずかに揺れるたびに、視線をどこへ向ければいいのか分からなくなる。

……とんでもない光景だった。

「……いや、えっ?」

藤丸は混乱した。

いや、これは正しい反応だ。どう考えても正しい。

自分はいつもの部屋に帰ってきたはずで、今ここにいるのは聖女ジャンヌ・ダルク。

そんな彼女が裸エプロンで出迎えている状況は、常識的に考えてありえない。

ならばこれは幻覚か? いや、あまりにもリアルすぎる。

ジャンヌはまるで何事もないかのように微笑みながら、エプロン姿のままキッチンの前に立っていた。

「えっと……これは、何かのイベント……?」

「いえ、そういうわけではないのです」

ジャンヌは穏やかな声で否定した。

「……では、なぜその格好を?」

「マスターのお世話をするには、これが最適だと聞きましたので」

「……誰に?」

「マルタ様と、マリーと、アストルフォに……」

「…………」

納得できそうで、まったく納得できない。

いや、むしろアストルフォが混じっている時点で確実にアウトだ。

「その……どうですか?」

ジャンヌが、もじもじと裾をつまむ。

エプロンの下、あられもない素肌がちらちらと見え隠れし――。

「いやいやいやいや、どうですか、じゃないよ!? というか恥ずかしくないの!?」

「マスターにお仕えするのですから、問題ありません」

問題しかない!!

藤丸は両手で頭を抱えた。

これが聖女の貞操観念のなせる業なのか、それともただの天然なのか。

いや、きっと両方だ。

「ジャンヌ……君はとても大切なサーヴァントだし、信頼してるよ。でもね、こういうのは……もう少し慎重に考えたほうがいいと思うんだ……」

なるべく理性的な声を作りながら、藤丸は説得を試みる。

しかし――

「では、エプロンを外した方がよかったでしょうか?」

「いや、それはもっとダメ!!」

何とか正気を保ちながら、藤丸は扉を閉めた。

――こうして聖女による裸エプロン事件は、ひとまず幕を閉じたのだった。