二次創作小説(新・総合)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【fgo二次創作】黄金王、無様に散る
日時: 2025/03/09 15:32
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


カルデアの深夜。

廊下を抜けた先にある女湯の前で、一人の男がほくそ笑んでいた。

「フハハハハ!さて、雑種どもが湯に浸かっている頃合いか。我の眼福となるのならば、奴らも本望というものよ!」

金色に輝く髪を揺らし、ギルガメッシュは堂々と宣言した。

だが、彼の横ではもう一人、何とも居心地が悪そうな顔をしている存在がいた。

「ギル……本当にやるの?」

萌黄色の髪を揺らしながら、エルキドゥが困ったように問いかける。

「当たり前であろう!王の財は全てを見通すものである。そこに雑種が浸かっていようが関係あるまい!」

「関係、大いにあると思うんだけど……」

エルキドゥはギルガメッシュに引きずられるように女湯の入口へと向かった。

正直、乗り気ではないが、目の前の王が一度決めたことを翻すのは難しい。

一方、湯船では、藤丸立香、マシュ、アルトリアの三人がくつろいでいた。

「あ~、やっぱりお風呂は最高だね!」

湯気の中で、藤丸立香は両手を伸ばして肩までしっかりと湯に浸かる。

金色の瞳が心地よさそうに細められていた。

「そうですね、先輩。戦闘の疲れが取れますし、血行も良くなります……」

マシュも眼鏡を外し、湯に浸かりながらほっと息をつく。

「うむ。こうして英気を養うのも、騎士としての勤めというものです。」

アルトリアもまた、しっかりと湯船の中で背筋を伸ばしている。

彼女にとっても、お風呂は大事な儀式のようなものなのだ。

そんな彼女たちの会話の裏で……。

「おい、エルキドゥ。貴様も見るがいい。我の目は一切の曇りなく、至高の景色を映し出すのだ!」

「だから、こういうのは良くないってば……!」

エルキドゥはなんとかギルガメッシュを止めようとするが、すでに黄金の王は壁に手をかけ、視線を浴場の隙間へと向けようとしている。

しかし──。

「誰ですか? そこにいるのは?」

鋭い声が響いた。

「……っ!?」

マシュが眼鏡をかけていなくとも、鋭い観察眼で異変に気づいたようだ。

彼女の視線が一点を見つめる。

「む、まずい、ギル!」

エルキドゥは即座に退却を促そうとするが、ギルガメッシュは口元を歪め、なおもその場に踏みとどまる。

「ふむ……雑種のくせに察しが良いな。だが、既に遅い!この王の眼に──」

──ズバァンッ!!

突如、黄金の光とともに爆風が巻き起こる。

「ぐはっ!?」

「うわっ!」

ギルガメッシュとエルキドゥが一緒に吹き飛んだ。

浴場の中では、アルトリアが湯から立ち上がり、湯気の向こうで黄金の剣を掲げていた。

「無礼者め……今、貴様は何をしようとしていた?」

その眼差しは王の威厳に満ち、ギルガメッシュでさえ背筋を凍らせるものだった。

「ふ、ふん……!我はただ、雑種どもがどれほど疲労しているか確認しようと──」

「問答無用です!」

マシュがシールドを呼び出し、藤丸立香は湯桶を手に取る。

「ええい、何をするか!この我に湯桶を投げつけるとは──ぐはっ!」

「ギル、逃げるよ!」

「ちょ、エルキドゥ!この我を引っ張るな!無様ではないか!」

「今さら気にしないの!」

こうして、英雄王ギルガメッシュの女湯覗き計画は、友であるエルキドゥによって強制終了されたのだった。

──その後。

ギルガメッシュはカルデアの王室風呂の掃除を命じられ、エルキドゥも付き合う羽目になったのだった。

「全く、雑種どもめ……この王に屈辱を与えるとは……」

「だから言ったのに……」

今日もカルデアは平和だった……。