二次創作小説(新・総合)
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- 【fgo二次創作】星降るカルデア
- 日時: 2025/03/09 17:27
- 名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)
風呂上がりの藤丸立香は、静かな部屋の中、一人椅子に腰を下ろしていた。
カルデアの一日が終わる頃には、彼の身体も心もすっかり疲れ切っている。
今日も様々なサーヴァントと共に戦い、話し、笑い、そして時には涙を流した。
そんな忙しない時間の中で、こうして一人きりで休む瞬間は、彼にとって貴重なものだった。
白いシャツに着替えた彼は、まだほのかに残る湯気の中、深く息を吐く。
湯の温もりが残る体をクッションに預け、静かに目を閉じた。
「……ふう」
長いため息と共に、思考が解けるように流れていく。
部屋の窓からは、カルデアの青白い光が差し込んでいた。
地上とは違う、機械的な冷たい光。
それでも、彼にとってはもう馴染みのあるものだ。
傍らのテーブルには、彼が持ち込んだハーブティーが湯気を立てている。
ほんのりとしたカモミールの香りが漂い、戦いの緊張を和らげてくれるようだった。立香はカップを手に取り、ゆっくりと口に運ぶ。
「……ん、ちょうどいい温度だな」
柔らかく微笑む。
窓の外を見れば、広がるのは暗い宇宙。
地球とは違う、どこか寂しげな景色だ。
それでも彼は、そこに温かみを感じていた。
この空間には、彼が守るべき仲間たちがいる。
幾多の戦場を共に駆け抜けたサーヴァントたち。
彼の呼びかけに応じてくれる者もいれば、文句を言いながらも助けてくれる者もいる。
そんな日常が、彼を支えてくれていた。
──けれど、時折、彼は思うことがある。
もしも、自分がこの戦いを終えたら、どうなるのだろうか、と。
人類を救うために戦う今、彼は確かに“ここ”にいる。
だが、もし全てが終わったとき、自分の居場所はどこにあるのだろう。
帰るべき場所はあるのか、待ってくれる人はいるのか──
そんな考えが、ふと、心の奥に沈んでいく。
「……考えても仕方ない、か」
立香は静かに首を振り、再びティーカップに手を伸ばした。
今はまだ戦いの途中。未来のことを憂うよりも、明日を生き抜くことが大事だ。
彼はそれを知っている。
壁の時計を見れば、もう夜も更けていた。
そろそろ寝る時間だろう。明日もまた、カルデアのマスターとしての一日が始まる。
藤丸はカップを置き、静かに立ち上がった。
「さて……そろそろ寝るとしよう」
小さく伸びをして、ベッドへ向かう。
静かに横になれば、心地よい疲労が彼を包み込んでいった。
──おやすみ、明日の自分。
そう呟くように、彼はゆっくりと瞼を閉じた。