二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】甘くて幸せな贈り物
日時: 2025/03/09 17:53
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


バレンタイン。

それは年に一度の祭典であり、甘く、ときに苦い感情が飛び交う特別な日。

カルデアにおいても例外ではない。

藤丸立香は、そんなバレンタインの朝、いつもより早く目を覚ました。

理由は簡単。

「……ふふっ、今年もいっぱいチョコもらえるかなー!」

期待と興奮で胸を膨らませながら、彼女はぱっとベッドから飛び起きる。

毎年バレンタインの日は、サーヴァントたちが思い思いの形で贈り物をくれる。

もちろん、それは義理チョコや感謝のチョコが大半だろう。

でも、なかには──

「……えへへ、本命チョコも……あったりするかな?」

そんな淡い期待を抱きつつ、立香は支度を済ませ、廊下へと飛び出した。

◆◆◆

「マスター、おはようございます」

最初に出迎えてくれたのは、アルトリア・ペンドラゴンだった。

凛とした佇まいの彼女が、今日はなぜかほんの少しだけ視線を逸らしている。

そして、差し出された手には、上品な包装の施された箱。

「えっと……これは?」

「……バレンタインの贈り物です。普段の感謝を込めて、受け取ってください」

きりっとした表情を保とうとしているが、耳がほんのり赤い。

それが何よりも、彼女の照れ隠しであることを物語っていた。

「ありがとう、アルトリア!」

満面の笑みで受け取ると、アルトリアは「……ええ、それでは」とそそくさと去っていく。

去り際にちらりとこちらを見ていたのは、気のせいではないはずだ。

──さて、まだまだ今日は始まったばかり!

◆◆◆

「あっ、マスター!ちょうどよかったです!」

続いて現れたのは、謎のヒロインX。

彼女は得意げに、何やら銀色の包装紙に包まれたチョコを差し出してくる。

「これは高純度のフォトンチョコです!食べればセイバー撃破率が上がります!」

「いやいや、そんな効果はないでしょ!?でもありがと!」

彼女らしい冗談混じりのチョコに、思わず吹き出しながら受け取る。

そして、それを皮切りに、彼女の手には次々とチョコが積み重なっていった。

◆◆◆

「……おかあさん、あげる!」

「うん? ジャック?」

もじもじしながら、ジャックが差し出してくるのは、ちょっといびつな手作りチョコ。

ところどころ溶けかけていたり、形が揃っていなかったりするけれど、それでも一生懸命作ったことが伝わってくる。

「おかあさんにあげるチョコ、作ったよ!」

「……っ!!ありがとう、ジャック!すっごく嬉しいよ!」

しゃがみ込んでジャックを抱きしめると、「えへへっ」と無邪気に笑ってくれた。

◆◆◆

「マスター!これは手作りのチョコレートシュークリームだよ!」

「おぉ、アストルフォありがとう!」

「もちろん、僕の愛情たっぷりだよ!」

「えっ!? ええっ!?」

そんな調子で、 頼光や清姫からは「愛情たっぷりですわ」なチョコが、オルタたちからは「別に、あんたが喜ぶならいいけど……」なチョコが、エミヤからは「余った分だがな」な、プロ級の手作りチョコが贈られた。

◆◆◆

気づけば、彼女の手には溢れんばかりのチョコレート。

「……へへっ、すごいなぁ……!」

たくさんのサーヴァントたちからの感謝と好意の証。

それを眺めながら、立香はじんわりと胸が温かくなっていくのを感じた。

「──よし!私も、お返し頑張らなくちゃね!」

そう意気込んで、彼女は幸せそうに、最初の一口を頬張るのだった。