二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】スーツ姿のアルトリア
日時: 2025/03/09 18:46
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


藤丸立香は、朝の忙しさに目を覚ました。

――アルトリア・ペンドラゴンは相変わらず、冷静で慎重に行動していたが、今日の任務は少し違っていた。

「立香、少し出かける準備をしませんか?」

アルトリアの声が、立香の耳に届いた。

立香は一瞬、ふと思った。

アルトリアがスーツを着るというのは、かなり珍しいことだ。

どこか、普段の姿と違う雰囲気を感じる。

まるで、何かが変わる瞬間のような予感がした。

「行ってきます!」

いつも通りに元気よく返事をして、立香はアルトリアの隣に立った。

少しだけ緊張感が漂う中、彼女の姿を見て改めて思った。

「アルトリア、今日はスーツなんだね。」

アルトリアは少し照れたような表情を浮かべながら、立香を見た。

「ええ、少し外回りの仕事があるので。自分にとっても、こういう格好は新鮮です。」

普段の戦闘服とは全く違う、黒を基調にしたスーツがアルトリアにとても似合っていた。

スリムでシャープなラインが彼女の体にぴったりと合い、無駄のないデザインが、彼女の気品と強さを際立たせている。

立香はその美しい姿に一瞬言葉を失った。

思わず目を見開き、心臓が少し早く打ち始めた。

いつもとは違うアルトリアの姿に、心の中で何かが引っかかる。

それは、戦場で見せる凛々しい姿とはまた違った魅力だ。

「アルトリア、かっこいい…」

思わず、立香はつぶやいた。

いつも冷静なアルトリアが、少しでも自分を意識させるようなことを言うと、立香は照れ隠しでつい勢いをつけて言葉を続けた。

「いや、スーツ姿なんて、普段あまり見ないからさ。まるで違う人みたいだよ。」

アルトリアは少しだけ眉をひそめたが、すぐに落ち着いた表情で答えた。

「それはどういう意味ですか?」

立香は焦った。

何気ない一言が、逆にアルトリアを困惑させたのではないかと思ったからだ。

「いや、なんでもない。スーツが似合ってるってことだよ!」

立香は無理に笑顔を作って言った。

だが、アルトリアはその言葉に少しだけ微笑みを浮かべた。

「そうですか。それなら、嬉しいです。」

その瞬間、立香の胸が少しドキドキしているのに気づいた。

普段は何でもないように思っていたアルトリアの言葉や仕草が、今日に限ってはどこか特別に感じる。

「立香?」

アルトリアの声に、立香は我に返った。

「あ、ごめん。なんでもない。行こう!」

アルトリアは立香の様子に気づいた様子だったが、何も言わずに歩き出した。

立香はその背中を見ながら、心の中でさっきの思いを反芻していた。

彼女のスーツ姿がこんなに心を揺さぶるなんて思ってもみなかった。

普段のアルトリアも十分素敵だが、スーツを着たアルトリアには、どこか違う魅力があった。

それは、冷徹で真面目な彼女に、少しだけ女性らしさを感じさせたからかもしれない。

立香はそんなことを考えながら、アルトリアと一緒に外へと歩き出した。

目的地に向かう途中、アルトリアがふと立ち止まり、少し視線を下に向けた。

「立香、今日は少し気をつけてください。仕事先で何か不測の事態が起きるかもしれません。」

その言葉を聞いた立香は、アルトリアがどんな状況でも冷静に対処することができる頼もしい存在であることを再確認した。

「うん、分かったよ、アルトリア。安心して、私が守るから。」

立香は強くそう言い切ると、アルトリアが一瞬驚いた表情を浮かべた。

しかしすぐに、その冷静な表情に戻る。

「…分かりました。」

その言葉には、立香の不安を取り除こうとする優しさが込められているように感じた。

スーツ姿でのアルトリアは、普段の戦士とはまた違う一面を見せてくれる。

その魅力に引き込まれながら、立香は心の中で何度も繰り返した。

「アルトリアが好き。」

それが、何気ない一言のようでも、立香の中では確かな感情として芽生えていた。

その日は、二人で外回りの仕事を終え、夕暮れ時に帰路についていた。

「立香、今日はありがとう。おかげで、仕事がスムーズに進みました。」

アルトリアの言葉に、立香は嬉しそうに笑った。

「お礼を言うのは私の方だよ、アルトリア!あなたがスーツ姿で頑張ってる姿を見て、少し勇気をもらったから。」

アルトリアは少し照れたように微笑んだ。

「それなら、良かったです。」

その微笑みが、立香の胸に温かなものを残した。

アルトリアがどんな姿でも、どんな役割を果たしていても、立香は変わらず彼女を想い続けていることを感じていた。

今日も、また一歩、アルトリアとの距離が縮まった気がした。