二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】令呪、誤爆しました。【止まるんじゃねぇぞ】
日時: 2025/03/09 19:29
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


その日は、何の変哲もないカルデアの一日だった。

藤丸立香は、朝の訓練を終え、カルデアの食堂で朝食を摂りながら、のんびりと過ごしていた。

「ふぅー、お腹いっぱいだよ!」

満足げに伸びをしたぐだ子は、ふと自分の左手を見た。

そこには、赤く輝く令呪が刻まれている。

『うーん、令呪って本当にすごい力があるよねぇ……でも、間違えて使ったら大変なことになるんだろうなぁ……』

ぼんやりと考えながら、立香はポケットからスマホを取り出し、SNSをチェックし始めた。

そのとき、不意に彼女の指が滑った。

「えっ」

突然、ぐだ子の左手が熱を持ち、令呪が輝き出す。

「ちょっ、待って!今の無し!」

慌てて取り消そうとするも、令呪の力は発動してしまった。

そして、彼女の口から自然と出た言葉——

「全員ダンスせよ!」

次の瞬間、カルデア全域に令呪の命令が響き渡った。

静寂。

そして——

「なっ……!?何をさせる気だ貴様ァァァァァァァ!!!」

ギルガメッシュの怒号が響くが、彼の身体はすでに音楽に合わせて華麗に動いていた。

カルデアの廊下では、エミヤが渋い顔をしながらも、キレのあるステップを踏んでいる。

「まったく、こういうことだけは一流にさせるんだからな……」

エルキドゥはというと、ふわりと優雅なターンを決めながら、にこやかに踊っていた。

「これはこれで面白いですね。ギルも楽しんでいるでしょう?」

「楽しめるかァァァァ!?」

ギルガメッシュは怒り狂っていたが、体は完全にダンスに支配されている。

しかも王の威厳を保ったまま、しなやかに舞っているため、むしろ美しい。

廊下を見渡せば、マシュが涙目になりながらワルツを踊り、ロマニは床でブレイクダンスをしていた。

ダ・ヴィンチちゃんは陽気にサンバを踊り、ジャンヌ・ダルク(オルタ)は激しいタップダンスを刻んでいる。

「マスター……!どうしてこんなことに……!」

「いや、誤爆で……」

立香は額を押さえて呻いた。

彼女自身も例外ではなく、華麗に踊らされていた。

自然とリズムに乗った動きが止まらない。

「ちょっと待て!誰か令呪の解除方法を!」

「ふむ、解除するのは簡単だが……」

エミヤが腕を組んだまま、優雅にステップを踏みながら言う。

「問題は、この地獄絵図をどう片付けるかだな」

カルデアのいたるところでサーヴァントたちがダンスを踊り狂い、地獄のような光景が広がっていた。

ギルガメッシュは怒りに震えながらも流麗な動きで舞い続け、エルキドゥは完全に楽しんでいた。

その時——

「仕方ない、余が解除するしかあるまい!」

オジマンディアスが堂々とした声で宣言し、黄金に輝く腕を天に掲げた。

瞬間、神々しい光が降り注ぎ、ダンスの呪縛が解けていく。

「ふぅ……助かりました……」

マシュが安堵の息をついたが、その横ではまだギルガメッシュがリズムを刻んでいた。

「待て、貴様は何故まだ踊っているのだ?」

エルキドゥが首をかしげると、ギルガメッシュは悔しげに顔を歪めながら答えた。

「違う!これは貴様の命令ではなく……我が王としての威厳を示す舞だァァァァ!」

こうして、カルデアの一日は、王のプライドと共に踊り続けることで幕を閉じるのだった——。