二次創作小説(新・総合)

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【fgo二次創作】英霊たちの恋愛戦争
日時: 2025/03/09 20:16
名前: きのこ (ID: /.YWlUQc)


天草四郎時貞は、目を開けた瞬間に異変を悟った。

『……ここは、どこだ?』

草の匂いが漂う。穏やかな風が頬を撫でる。

見上げた空は青く澄み、太陽が心地よく輝いていた。

しかし、確信している。

この光景は、彼が知るどの時代とも異なっていた。

着ている衣服はいつものままだが、周囲に見覚えのある建物はなく、見知らぬ場所に投げ出されている。

『また……召喚されたのか?』

カルデア、あるいはそれに類する召喚ならば、見知ったマスターやサーヴァントの顔があるはず。

しかし、ここには誰もいない。

「おや、目が覚めましたか?」

甘く艶やかな声が響いた。

振り返ると、暗闇のようなドレスを纏った美女

——セミラミスが、退屈そうに微笑んでいた。

「貴様がここにいるということは、やはり我が夢を見ているわけではないのだな?」

「……セミラミスか。しかし、これはどういうことだ?」

「ふむ。我も詳しいことは知らぬが……気がつけば、貴様と共にこの世界にいたというわけだ」

彼女は気怠げに長い黒髪をかき上げる。

「そして、どうやら我々は——『恋愛ゲーム』の登場人物になってしまったらしい」

天草は一瞬、言葉を失った。

「恋愛……ゲーム?」

「うむ。要するに、貴様は攻略対象なのだ」

「…………」

天草四郎時貞。

かつて島原の乱を率いた救世主、カルデアで数多の戦いを経験した英霊。

そんな彼が

——『攻略対象』?

次の瞬間、遠くから駆け寄る影が見えた。

「四郎!やっと見つけた!」

人懐っこい笑顔を浮かべ、勢いよく抱きついてきたのは藤丸立香。

「待ちなさい!我が先に見つけたのだぞ!」

「いやいや、ボクも見つけたよ!」

そこにジャンヌ・ダルク、アストルフォまでもが加わり、天草の周囲は一瞬で騒がしくなった。

こうして、天草四郎の『攻略される』物語が幕を開けた——。

天草は、目の前にいる彼らの真剣な表情を見つめた。

「それで、これは一体どういうことなのですか?」

「えっとね、四郎。ボクたちはどうやら“攻略”しなくちゃいけないみたいなんだ!」

元気よく言い放ったのはアストルフォ。天草は眉をひそめた。

「攻略……される?」

「うむ。つまり、我々は貴様の心を射止めねばならぬのだ」

セミラミスが得意げに微笑む。

天草はますます混乱するばかりだった。