二次創作小説(新・総合)

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まるで名作な人生!【クロスオーバー】
日時: 2019/06/02 13:03
名前: 内倉水火 (ID: Re8SsDCb)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396

名作「やった! 今回も僕が主役だぞ!」
戦兎「おめでとう名作。俺や万丈も引き続き出るから宜しくな」
名作「はい、此方こそ宜しくお願いします」
ベト「うむ。前作では俺の"ムジーク"の出番が無かったからな。読者諸君にも存分に味わわせてやろうぞ! フハハハ!!」
名作「その笑い方何か不安になる!」
継義「…過労死すんなよ」
名作「今からそういう事言うな! 恐いわ!」

***

本作品は『ハウスオブ音羽』の続編となります。
ですが、前作を読んでも読まなくても面白さはあんまり変わりません。
その代わりゲストが多いです。人物紹介も多めに書きます。

そして何度でも言います_名作くん、ボケが増えても過労死しないでね。
「だから恐い事言うなって! 否定しにくいし!」

***

【目次】
パドペディア【人物紹介】 >>1-5>>47
第1話 天才と子供と音羽館 >>7-12>>15-16
第2話 スイートホームを探しに >>19-24
第3話 亀はロマン求め戦う >>27-31
第4話 平和の音楽を貴方に >>33-38
第5話 花見だョ!全員集合 >>39-46
第6話 コビトカバとハシビロコウ >>48-55

第4話 平和の音楽を貴方に ( No.36 )
日時: 2019/04/05 15:22
名前: 内倉水火 (ID: yLoR1.nb)

名作が黙りこくっている中、スウィーツが威勢よく手を挙げた。帰国したてのシューに夢中で、名作とむすびが口論になったのは忘れてしまったのだろうか。

「はいはい! シューさんってジャマイカで何してきたの?」

対するシューは、少し困ったように笑いながら考え込む。首を傾げた際に、ドレッドした赤毛と、レゲエ帽の飾りが揺れた。
数秒間考えた末、彼はこんな答えを出した。

「…ジャマイカでアーティスト活動してたじゃまいか! 色んな人達が絶賛してくれたじゃまいかぁ」

思い出を振り返りながら楽しそうに語る彼を見ながら、先輩であるベトは言う。

「ふむ。そういえばシューベルトは、以前も"ザ・グレート"として活動していたのだったな」
「はい! 暫く活動休止でしたが、晴れて再開したじゃまいか! …でも、日本に戻ったからまた休止になったじゃまいか…」

スウィーツから流れるように、今度はノキオが挙手する。

「はい! ジャマイカってどんな国なんだ? 治安は良いんだろ?」

質問が終わるか否か、シューは即答した。
子供達の想像とは真逆の、衝撃の事実を。

「治安は悪いじゃまいか」
「「えぇ!?」」

あまりに信じられなかったのか、一同はスマホや電子端末を用いて、ジャマイカの治安について調べ出す。暫くして、その殆どが有り得ない、と言わんばかりに口をあんぐりと開けた。
名作にも衝撃的な答えだった。平和の音楽に溢れているはずの国が、物々しい雰囲気に包まれているだなんて__。

すると、ノキオの端末の画面を覗きながら、憂城が口を開く。

「平和じゃない国だからこそ、平和を歌ってるんじゃないかな?」
「平和じゃ、ないから…?」

歌苗が目を瞬かせながら訊き返した。分かるようで分からない。そんな疑問符が、殆どの頭の中を渦巻いていた。

「うん。僕のお友達にね、そういう子がいたんだ…僕は、その子の考えが良く分からなかったけどね」

憂城もぴんと来ていなかったようで、そのまま考え込んでしまう。
しかし、リストは何か通ずるものがあったのか、さらりと答えてみせる。

「確かに、元々平和な国で平和を歌ったって意味ないわ。分からなかったり、忘れてしまった人にこそ教えるものなんじゃない? 愛と一緒よ」

成る程、と全員が頷く。
その言葉を拾って、シューはにこやかに続けた。

「リスト殿の言う通りじゃまいか! 平和を忘れた心にこそ平和を教える。それが私のレゲエのルーツじゃまいか。ジャマイカに行って、また自分の音楽を、ヒップホップもレゲエも奏でようって思えたじゃまいか!」

第4話 平和の音楽を貴方に ( No.37 )
日時: 2019/04/07 17:28
名前: 内倉水火 (ID: yLoR1.nb)

「という訳で、Let's ムジーク! じゃまいか!」

シューは天井へと拳を突き上げ、高らかに叫ぶ。その拳に木製のタクトが握り、館中を平和の音楽で包み込む_と、想像した名作達。
しかし、彼は一度その拳を下ろすと歩き出し、玄関の扉へと手を掛ける。
不思議に思ったボルトは、シューに尋ねる。

「わざわざ外に出て演奏するのか?」
「その通りじゃまいか」

音羽館の住人以外の頭に、再び疑問符が浮かぶ。
町中にムジークを響き渡らせたいのだろうか、それとも、館の中で演奏すると何か不都合があるのか。
シューが庭へと出ていく。疑問など何もないベト達に、名作達も続いた。

今度こそタクトを握り締め、シューは良く通る声で歌い出す。
一同がその深い歌詞と、柔らかな歌声に心を預けていると、不思議な事が起こった。歌うシューの身体が、みるみる内に大きくなっていくのだ。終いには、音羽館を遥かに越える、巨人になってしまった。

「館を出なきゃいけなかった理由って…これ!?」
「わぁ、おっきいねぇ!」

その光景に驚く名作と、陽気にへらへら笑っている憂城。だが、曲を聴いている内に、歌い手が巨人である事はどうでもよくなった。
段々、心が暖かくなって、苛立ちは小さくなっていって。
気付けば名作は、むすびの元へ歩み寄っていた。

「…ごめん、むすび! 僕、自分の意見ばっかりで…」

感情の押し付けはいけない。歌を聴いていて、強く思った。
対するむすびは、歌声から名作へと向き直った。そして、ぺこりと頭を下げる。

「僕こそごめんなさいです。反対の意見もちゃんと考えておくべきでした…」

気が付けば、2人は隣で歌を聴いていた。
その美しく壮大な歌が、終わってしまうまで。

第4話 平和の音楽を貴方に ( No.38 )
日時: 2019/04/09 14:26
名前: 内倉水火 (ID: yLoR1.nb)

巨人の歌に聞き惚れるのは、館の人々だけでなかった。
1人の若い女性が、正門前に佇んで、音羽館の遥か上を見上げていたのだ。彼女が掛けた眼鏡の奥の視線は酷く優しく、柔らかだ。軽く口角を上げた唇は、次第に歌詞を口ずさみだす。

同じく歌に心奪われた一同は、彼女の存在に気付く気配さえない。唯一1人、憂城以外は。
憂城の目は、音符があしらわれた門の先に、穏やかに歌を口ずさむ、彼女を捉えた。
年は20代だろうか、小柄で、愛らしいくりっとした瞳、所々跳ねた短髪__。
憂城は、彼女の姿に見覚えがあった。容姿は勿論、優しい表情も、この歌のように平和を愛する心も。

憂城が彼女に声を掛けようとした、その時だった。
その場の全員の視界が白く埋め尽くされたのだ。目を射るような眩しさに、思わず目を覆い隠す。
ムジークが終わる。目を瞑りながら、全員がそう確信した。

暫くして、恐る恐る瞼を開き、手を退けると、視界はもう元の庭の景色に戻っていた。
巨人がいた方向を見ると、巨人から人間サイズになったシューが、足の泥をほろっている所だった。

「あれ?」

正門の方を見た憂城は、彼女の姿が消えた事に気付く。ムジークが見せた夢かと錯覚させるように、彼女の痕跡は1つたりとも残っていなかった。

憂城が首を傾げている間、ドレッドヘアを揺らしながら靴を履き直す後輩に、ベトが歩み寄り、納得したように頷いた。

「シューベルト。以前聴いたものとは比べ様もなく素晴らしい曲だった。平和とは何か、自分の音楽とは何かを理解したようだな」

その言葉を聞いたシューは、一寸の間目を瞬かせた後、表情をぱぁっと輝かせる。

「…先輩! 有り難う御座いますじゃまいか!」

これからも彼は、自分の音楽を奏でていくのだろう。
名作は、二度と自己否定感に飲み込まれる事のないように、と密かに祈った。

めでたしめでたし!

第5話 花見だョ!全員集合 ( No.39 )
日時: 2019/04/13 13:53
名前: 内倉水火 (ID: fhP2fUVm)

暖かな日光が、窓の外から差し込まれてくる。
その心地よい明るさに、松田名作はそっと目を開いた。
先程床に就いたばかりと思っていたのに、もう朝がきた。昨日も無茶苦茶な1日だったから、夢を見る間もなかったのだろう。勝手に納得しながら、布団から身体を起こす。

いつものオーバーオールに着替え、いつもの帽子を被る。脱いだパジャマはしっかり畳んで、いつもの定位置に置いておく。4月から8年生になったが、この作業は今までと変わらない。
粛々と朝の作業を終えた名作は、朝食をとる為に、階段を下りていった。
自分の部屋と同じく明るい茶の間では、やはりいつも通り美味しそうな朝食が待ち構えていた。今日はジャムを塗ったトーストとコーンスープ。いただきます、と手を合わせると、大きく口を開けてトーストにかじりついた。

トーストとスープを交互に味わっていると、オーバーオールのポケットに入れていたスマホが、ピロン、とその存在を主張する。どうやら、LINEの通知が来たようだった。
残ったトーストの耳を口に入れてしまうと、名作はスマホを取り出して、送られて来た通知の確認を始めた。

『桜綺麗だから、皆でお花見しようよ!』

熊のスタンプと共にそう送ってきたのは、親友の御尻川スウィーツだった。まだ名作が目覚めたばかりの時間から提案をしてくるとは、彼らしいと言えば彼らしい。
確かに明日は学校も休みだし、丁度良いだろう。『いいね』と賛同の言葉を返そうとした名作だったが、続けて送られた文章に、送信ボタンを押そうとした手が止まる。

『という訳で、名作は今から広場で場所取りね!』
「いや、今から!? しかも場所取り!?」

その場で驚かざるを得なかったが、同時にこうしてはいられない、と思う名作。
急いで玄関で靴を引っ掛け、広場へと駆けて行った。

第5話 花見だョ!全員集合 ( No.40 )
日時: 2019/04/14 14:01
名前: 内倉水火 (ID: w93.1umH)

靴をきちんと履かないまま、名作は行きつけの広場に辿り着いた。
ここの広場は、毎年桜が綺麗に咲く、竜宮町一を誇る花見スポットであった。今年も、優しいピンクに染まった花々が満開となって、花見にやって来る人を迎え入れる。
しかし、その桜を見るより先に、名作の身体は酸素を要した。ついでに脇腹も痛む。少し走り過ぎたかと後悔しつつ、深呼吸をした。

落ち着いた所で、改めて顔を上げると、満開の桜の美しさに心を奪われる。
溢れんばかりに枝に咲いた桜は勿論、風に吹かれてはらりはらりと散っていく花弁も秀麗である。まるで祝福の紙吹雪のようだった。何に対する祝福かは分からないが。
名作は花見にうってつけの場所を探すついで、皆より早めに桜を眺める事にした。

「わぁ、大きい…!」

暫く歩いた後、目前に見えたそれに、思わず感嘆の声を上げる。
それは、周りより一回りも二回りも大きな、立派な桜の木だった。大きさに負けず劣らず、花も多く、色だって鮮やかだ。
ここを集合場所にしようかと考えた名作だったが、その木の下には先客が座っていた。
パーカーを着て、青一色の電子端末を眺める彼には、確かに見覚えがあった。その事に気付くと、彼に声を掛ける。

「あの、奏助さんですよね?」
「え? あ、名作くん!」

彼_神楽かぐら奏助そうすけは、電子端末から目を離すと、驚いた様子だった。きっと、こんな場所で名作と出会うなど思いもしなかったのだろう。

彼は、よく音羽館に入り浸る男子高校生だ。名作から見ても少し頭の弱そうな少年。それが奏助だった。お陰で、館の面々からも良い様に扱われているらしい。

「あの、もしかして、奏助さんも場所取りですか?」

1つ尋ねる。館の面々に押し付けられ、ここにいるものと考えたのだ。
少し失礼かとも思ったが、奏助ならば気兼ねなく答えてくれるだろう。それに、自分も同じ立場なのだし。
すると、奏助は一度首を横に振ってにやりと笑む。

「んな訳ないっしょ? 未来のビッグミュージシャンとなる俺だから、このビッグな桜を1人で味わ…」
「名作さんの言う通り、単なる場所取りです」

何処からか聞こえた声が、奏助の声を遮る。その声正体とは_。


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