SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
ありがとうの言葉。 ( No.26 )
- 日時: 2015/11/03 22:48
- 名前: ルナ
「「「はぁ? 誕生日パーティー!?」」」
「そう、サプライズって形で、斎藤くんを驚かせたいんだ! いつもありがとうって意味でね」
とある喫茶店での出来事。突然ニコニコと笑顔で計画の概要を話し始めた少年、<岡本 幸太>はどう?と、すっとんきょうな声を上げた<森山 陽人>と<宮守 圭>、<望月 美音>の三人の顔を見た。
そう、本日10月24日は<斎藤 真人>と言う刑事の男性の誕生日なのである。だいたい10代前半の四人よりも年上であり、森山からは「ジジイ」と呼ばれることがしばしば。
――一応言っておくと斎藤は20代後半ぐらいなので、誤解なさらぬよう。
「まあ、面白そうなのは面白そうだし・・・・・・私はいいよ、協力する」
「俺も俺も! 最初はどうかと思ったけどやる!居候させてもらってるお礼もしたいし!」
「ありがとう! 圭くん、もっちゃん!」
望月と宮守からは快く了解を得ることができ、あとは・・・・・・と岡本は森山の方を向くが、
「・・・・・・」
森山はそっぽを向いた。「あーあ、めんどくさい俺様陽人様が出てきちゃったよ」と宮守はため息混じりに呟き、望月はこくこくとそれに同意する。岡本も説得にはちょっと大変そうだ、と肩を落とす。
「でも、このぐらい俺がちゃちゃっと解決させるよ!」
そう言いつつ素早く冷蔵庫から取り出して来たのは、
――杏仁豆腐。
岡本はなんで杏仁豆腐?と首を傾げたが、望月は笑いを堪えかねたようにククッと笑っている。そして宮守は森山の目の前に杏仁豆腐を置き、笑顔で話しかけた。
「俺のだけどこれあげるから、協力して?」
ある意味、交渉だった。
「ちょっ、え? 圭くん!?」
笑顔でじっと返事を待つ宮守。すると、森山が杏仁豆腐をスッと取った。
「・・・・・・交渉成立」
「よしっ! ありがと陽人〜!」
それからの四人の行動は素晴らしく速かった。
まずはここの喫茶店を経営する斎藤より1つ年下の<長田 宏樹>に協力を求めた。
「え? 斎藤くんにサプライズパーティーねぇ・・・・・・いいよ、ケーキみんなで作ろうか!」
「ありがとう長田! あ、私スポンジ焼くとか無理だからね」
「分かってるよ」
そして、長田の携帯を借りて刑事であり、斎藤のバディの<江ノ島 寿彦>に電話をかけ、岡本は計画の概要を話す。その他に、斎藤の誕生日プレゼントを買って来てほしいことを森山が付け加えた。
『分かった、プレゼントは全て俺に任せるって感じでいい?』
「お願いしま〜す」
『了解! じゃ、後でそっち行くから!』
よし、と岡本が一息ついた途端、長田はキッチンに四人を呼び出した。
「さあ、ケーキ作るよ。何ケーキがいいかな?」
四人は考えた。斎藤の好きなケーキ、それは――
「「「「ショートケーキ!」」」」
◆
夜。何も知らされていない斎藤が江ノ島に引っ張られるがまま、岡本たちの待つ喫茶店へやって来た。
何故閉店している時間に、と警戒の色を示した。そして、警戒体勢のまま喫茶店へ入ったその時。
パーン!パーン!
クラッカーの音が鳴った。驚き、目を見開いている斎藤に江ノ島が話しかけた。
「今日のこの時のために準備してくれたみたいだよ?」
「いつもありがとう、斎藤くん!」
「サプライズ大成功!」
「これ、岡本が考えてくれたの」
「ちょっとは体に気を付けろよ・・・・・・ジジイ」
「素直じゃないね、森山くん」
宮守、岡本、望月、森山、長田が口々に斎藤に話す。
自分のために・・・・・・と少し感激した斎藤。
だったのだが。
「これは俺たち6人からのプレゼントで、これが俺個人からのプレゼント!」
江ノ島が自分で用意したプレゼントを斎藤に見せる。見ている5人は何だ何だと一緒に覗き込んだ。しかし、それと同時に斎藤の顔が青ざめる。
「おまっ、ふざけんな江ノ島ぁぁぁぁ!!」
中に入っていたのは黒光りG(のおもちゃ)だった。大の虫嫌いである斎藤は江ノ島を追いかけまわす。いつもの光景に5人は笑いながらもうひとつのクラッカーを手に取った。
「それじゃ、改めて・・・・・・」
「「「「「「Happy birthday、斎藤!!」」」」」」