SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

君の心は止まったまんま。 ( No.39 )

日時: 2015/11/13 18:37
名前: ふぁんぷ。
参照: http://fanpulu...

声やしぐさは覚えてるのに...
何故か顔が思いだせないんだ。

ずっと一緒に居た筈なのに心には今も存在が有るのに。

君の姿を想像すると、顔だけが出て来ない。
その度に胸が苦しく締め付けられて......
声が出なくなる。

───「ほら泣かないでよ」...──
遠くで君がそう囁く。耳の奥まで擽るような、甘い声で。

───「結構前だしさー」...──
顔は見えないけど、フッと笑った気がした。

───「まぁまぁ君が私を忘れないだけでも奇跡みたいなモンよ。」...──
肩を竦めてそう言う。


...そんな事は無いのかもしれないが、俺にはそれが無理しているようにしか思えなかった。


あの日もしも自分が一緒に居れば...
あの日もにも自分が無理して誘わなければ...
あの日君はこんな事には遭わなかった...
あの日の事が在るんだから君は俺を恨む理由が此処にある。

───「私が君を恨む理由なんて無いよ!?」...──
もうそんな筈は無いのに、感触が在った。

フワッとした生命を感じた。
そこには...此処にはそれが存在した。


───「でもさ? 私はもうこうして君と話す事は無いよ」...──
なんでと言いかけた所でフッっと消えた君。


座り込んで顔を上げるとカレンダーが目に入る。

夏休みの初日から四十九日が経っていた。







君の心の時間は今も四十九日前のまんま。

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