SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

僕の嫌いな、僕の話し。 ( No.44 )

日時: 2015/11/20 18:45
名前: 蝉時雨

 僕は、僕がとても嫌いだ。

 昔はそこそこ多くの友人を持っていた。
しかし、学校でとても嫌なことが起きて僕が不登校気味になるにつれて、次第に友人も減っていき、僕の友人で居てくれる人はいなくなった。

 その頃から僕は登校を拒否するようになった。
母親から責め立てられ、教師から電話がかかる毎日に僕はうんざりしていた。

 季節が巡って春になり、進級してクラスが変わると、支えてくれる、という子が二人現れた。
その子たちはいつも僕を支えてくれたが、中学に入ると一人、違う学校に行ってしまった。

 中学に入って、知らない人達と顔を合わせることになると、僕はまた塞ぎ込みがちになってしまった。

勉強もできない、愛想も良くない。
声が小さく、元気もあまりない。
それに、”僕”や”俺”なんて言う女子なんて、気持ち悪いんだって、知ってたから。

 暫く経って、慣れた頃。
僕は次第にこう、思うようになっていた。
__皆、僕のこと嫌いなんだな、って。
__あぁ、その陰口の標的は僕なのかな、って思ったりして。

中には、僕に話しかけてくれる子もいた。……だけど。
皆、他の子と居るときの方が、とても楽しそうに笑うから。
無理して喋ってくれてるのかな、とか考えては、その子の思い踏み滲っちゃった、って自分を責めて。
そんなことを、毎日繰り返して。


 それでも僕は、誰にも言えない。
__誰も知らないままでいい。
内に秘めて、本当の想いを隠す。
__傷付くなら、自分だけで。
周りに想いを伝えないまま。
__嘘の感情を、振り撒いて。



僕はまた、隠し事をする。

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