SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
歪んだ恋心。 ( No.56 )
- 日時: 2015/11/29 12:12
- 名前: 蚯蚓と書いてミミズです(笑)
- 参照: http://mimizu
少し赤っぽい唇の感触が目を閉じれば自然と感じられる。
まだ悲鳴しか聞いた事の無い君の声。
いつかは僕の発言で笑い声が聞けたら良いななんて思う日々。
毎日同じ道を通って、塾講師の君の姿はとてもカッコいいし可愛い。
僕も中学生や高校生だったら君の授業を受けれたのになぁ...何と残念な事だろうか。
もうかれこれ君を思い続けて3年が経とうとしている。
ずっと夜も君を待って居るけれど振り向く事は無くて、早足で通り過ぎられる。
しっかりと1秒以上目を合わせた事なんて無いけれど......
気持ちは僕の方がずっと強いと思うけれど。
君の方からも好いて居てくれれば良いな。
君がいっそ、他の男の物じゃ無くて僕の物になれば良いのに。
君は僕だけの物。
君の事を束縛してしまいたい。
君を奪ってしまいたい。
君が...振り向いてくれれば良いのに。
君の事を僕だけが見つめるような関係はもう嫌なのに。
君がさ......
君が。
そう思うと自然と口から涎が垂れて、大きく目を見開いてしまう。
君が僕の物にならないと嫌だ。
無理矢理でも手に入れたいんだ。
自分でも歯止めが出来ない位に、利かない位な勢いで手が握る刃物が君を静かに切り裂いて行った。
結局最後まで、今も君は背中しか向けてくれぬまま倒れた。
* * * *
毎日毎晩、同じ場所で待ち伏せしている人が居た。
それに気付いたのは私がもう塾講師を始めてから2年ほどだった有る日だった。
もしかしたら毎晩居る事は分かって居たのかもしれないけれど。
強くしっかりした視線を自分へ向けて居る事に気付いたのはつい最近の事。
家まで歩いて12分ほど。
あんまり離れて居ない方が苦痛を感じないだろうと自己判断で選んだ塾の場所。
背後になんらかの気配を感じて振り向いたけれど誰も居なくて......
野良猫が後ろを横切って行くだけで。
早足で家路まで帰る日々。
不安と恐怖に襲われ続けた。
...これはそんな恐怖に襲われた女性と自分の気持ちを貫き通す男の歪んだ捻れた恋心の話...───
〜あとがき的な。〜
こんな物語を書いて良い物か...と悩んだのですが、投稿しました←
実はこれで2作目投稿となります<(_ _)>
面白い(?)と感じて頂ければ嬉しいです!