SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

桜と私 ( No.17 )

日時: 2016/02/10 07:18
名前: fleur

…外で遊びたいな。
あの子達のように、走りまわって、息が苦しくなって、
笑って、また走って…

どうして、私は走れないの?
私だって同じ人間なのに。
私はあの桜の木のように、ただそこにいるだけ。
でも、桜は美しくて、みんなが必要としてる。
私はただ、ただここにいるだけ。
必要とはされてない。

「私って、なんでいるんだろ…」
声に出したい。話したい。
でも、できない。
耳も聞こえない。口で話せない。
体も動かない。使えるのは目だけ。
桜の木は、大きくて、自信にあふれてて、誰でも
そこにあるってわかる。
目しか使えない私でも、憧れる。

でも、桜はいつかは散ってしまう。
散っても美しいから、みんなは桜が好きなんだ。
散る姿すら美しく、また時が経てば花は咲く。
うらやましいよ。

私は時が経っても消えるだけ。
もう、あの桜が散った時には私はいないだろう。
桜に触れてみたかった。
桜の下で本を読んだりしたかった。
桜の下で走ってみたかった。
でも、明日にはもう私はいないんだ…

桜と私は似てるようで違うんだ…

メンテ