SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

悲鳴が聞こえる。 ( No.19 )

日時: 2016/02/11 23:07
名前: ナナシ

午前4時。
悲鳴が聞こえる。
私は目を閉じたまま。
眠れないの。いつまで経っても。

午前4時半。
悲鳴が聞こえる。
私にはちゃんと聞こえている。
でも、どうしろというのか。

午前5時。
悲鳴が聞こえる。
私はこの声の主を知っている?
…思い出せない。思い出したくない?

午前5時半。
悲鳴が聞こえる。
どこから聞こえてるのだろうか。
止まない。止まない。いつまで?

午前6時。
悲鳴が聞こえる。
いつまでも明るくならない。
…暗い。

午前6時半。
悲鳴が聞こえる。
それはすぐ近くに。
折角の微睡みから覚めてきた。

午前7時。
悲鳴を上げている。
私の肺が許す限界まで。
私の喉が許す限界まで。

午前7時半。
悲鳴を上げている。
私の体はボロ人形。
体は毒で満たされた。

午前8時。
悲鳴は止んだ。
ようやく世界は明かりに包まれた。
夢から覚めた。

午前8時半。
悲鳴は止んだ。
安らかに佇むボロ人形を見下ろしている。
ボロ人形に落ちた涙の温もりは私に届かない。

午前9時。
悲鳴が上がることはない。
お休みなさい。
サヨウナラ。

メンテ