SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
嘘つきな君と私 ( No.25 )
- 日時: 2016/02/14 21:55
- 名前: ゆーい ◆p17PNBs1wA
私と君は幼馴染の関係。
でも、別れは突然やってくる。
「突然ですが、玲夜君が一週間後に引っ越してしまう事になりました」
担任からそう告げられた時、頭が真っ白になった。目の前が真っ暗になった。
君からは、引っ越すなんて告げられてないよ。
君はよく嘘をつく。昔は嘘で私を怖がらせていたね。
別れることで、そういう日常も全て終わってしまうの?
別れることで、君の心から私は消えてしまうの?
呆然としている私に君は言う。
「鳴海は、俺がいなくなって寂しいか? 俺は寂しいな…」
君の顔は、言葉と裏腹に笑っていた。でもどこかが違った。
口は笑っているのに、どうして悲しそうな目をしているの───
そんな表情、初めて見たよ。
きっと、君も辛いのかな。私は辛いよ、君と別れるのは。
辛いけど、別れなきゃならない…それが運命だから。最初はそう思ってた。
でも…日が経つうちに、寂しさがどんどん膨らんでいく。
わかっているのに
別れることはわかっているのに、涙が止まらない。
嫌だよ、別れたくないよ。引っ越して欲しくないよ。
寂しさが私を襲う。
君が引っ越す当日、君から『キス』をプレゼントされた。
初めてされた。
嫌じゃなかった。嬉しかった。
「鳴海、お前とはもう会えないだろうな」
そう言うと、君は私の前から姿を消した。
君と別れて五年の月日が経ち、私は高校三年生になった。
君は五年前、もう会えないと言った。
どうしてそんな事を言ったの?
君と過ごした公園のベンチに座っていると、自然と涙が零れ落ちた。
会いたい
会いたい
「玲夜…君に会いたいよ。君の事が好きだよ、玲夜…!」
「呼んだかい、お嬢さん」
顔を上げると君が居た。
私が固まっていると、君はあの時のように、私にキスをした。
「待ってろって、言っただろ?」
「…っ…言ってないよ、バカ」
ああ、やっぱり君は嘘つきだよ。
そんな嘘つきの君に騙される私はもっと嘘つきなのかもしれない。