SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
ツンデレ男子と天然女子 ( No.27 )
- 日時: 2016/02/21 14:06
- 名前: drow ◆xT5v1AS.y.
俺は人と話す事が苦手だ。
素直にものを話せない。いつも言葉はとげとげしい。そのおかげか友人はできない・変なうわさが立つ・女子にモテないなんて弊害が生じる。
まあ、十何年も過ごして入ればこれが俺の性格だと開き直り自分に合う友人を見つけることができた。
実は現在困っている事がある。
――――異性との話し方だ。
問題の人物は先週の席替えにて隣になった天野さん。成績は優秀だし外見もまあまあ可愛い。
此処までの説明で皆が思うことはある程度予想している。
『お前がコミュ障なだけじゃ?』『可愛い子にドキドキしちゃって〜〜ww』・・・このように考えているなら断じて違うと言い切れる。
この天野さんが普通の"え?マジ?ヤバーイww"的な俺の偏見あふれる女子高生なら俺はこんな悩みなど抱えていない、猫だってかぶろうと思えばかぶれるようになったのだ、多分。
「ねえねえ一之瀬君、みいなちゃんと話してたら変な顔されちゃったんだけど、私何かしたかな?」
「・・・どんな話してたんだ?」
「えっとね?みいなちゃんが"私天然なんだ"って言ってたから、"えっ私って養殖なの?"ってかえしたら空気が固まっちゃって・・・。」
「は、え?」
「あ〜一之瀬君も同じ反応するのか。ん〜私がおかしいのかな?」
「・・・(それほんとに言うやついたんだな・・・)そうだな、多分鈴村さんは性格の話をしたかったが、自分以上の天然がいて呆気にとられたんだろう。」
「テンネン?そんな性格あるの?じゃあヨウショクって性格もあるのかな、なんか美味しそうだね!」
「お前みたいなのを天然っていうんだろ。養殖ってのは存在しない。というか何故養殖なんだ?」
「え、だって天然って自称するのは天然じゃない人がいるからでしょ?じゃあ養殖として生まれたクローンさんもいるのかと・・・」
「いないわ国際的に禁じられてるわ!!」
なんでコイツこんな性格なんだろう・・・正直聞いているだけなら面白いが体験すると本当に疲れる。そのせいか友人にもリア充爆発しろだの何だのと相談に乗ってさえくれない。
しかし考えてもみろ、コミュ力があまりない俺が天然との会話に長時間耐えられるとでも思うのか?その結果所謂リア充とやらになれるとでも思っているのか?
断じて否、思わないだろう。天然との会話には応用力が必要な筈だ。さらに女子というオプションも付くのだから軽々しく話しかければいいわけでもないし、無視もできない。
天然という悩みの種のおかげで言葉がとげとげしいのに反応されにくいのは楽だが、それ以上に会話に疲れてしまう。
しかも一昨日、悩みの種が増える案件を天野さんに増やされてしまった。しかも内容が内容なだけに相談しにくい。友人の妬み的な意味で。
「ねえ、いつになったらお返事くれる?」
「まだ無理だっつーの。俺お前の事マジで知らねーし、興味もなかったし。」
「じゃあ今はちょっと興味持ってるってことで良いんだよね、良かった無関心じゃなくて!」
「〜っほんっと意味わかんねえ。」
「恋する乙女は意味わかんないものっておばあちゃんがいってた!」
「お前がいるんだからそのおばあちゃんも恋する乙女だったんじゃねーの・・・・?」
「そうかなあ。・・・あっ、一之瀬君世界史のプリントもう一枚持ってたりしない?」
「はあ?持ってるわけねえだろ。忘れたのか・・・仕方ねえな、写すか?一応言っておくが、これは授業中話しかけられても困るからだからな?お前のためじゃないからな?」
「うんうん、わかってるよ。ありがと〜!」
まったく、コイツは本当にいつもへらへらと・・・憶測だが、わかっていると言いながらも流しているだけだろう。
向こうから告白まがいの事をされたものの俺としては一ミリも信じられない。普段の言動が嘘でない証拠なんてないからな。まだ返事なんてできるわけがない。
「(もう少し観察をつづけないとダメか・・・・)」
「(かわいいなあ・・・いつ返事返ってくるかなあ?楽しみだなあ・・・)」
[鈍感]ツンデレ男子と[腹黒]天然女子