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SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
君にはもう僕の言葉は届かない ( No.37 )
- 日時: 2016/03/10 22:08
- 名前: 鈴夏
「なあなあ、○○は将来の夢とかあるん?うちは将来な〜、看護師になるんや〜」
と、君は楽しそうに僕に話しかける。僕は君のその楽しそうな、幸せそうな笑顔が大好きだった。君のその笑顔が毎日見れる、僕はそれだけで幸せだった。
そう、君があの日、飛び降りていなくなってしまう、その日までは。
あの日、君はいつもと変わらない笑顔で僕を見つめていた。でも、その笑顔はどこか悲しげだった。最近君は休み時間になると数人の女子たちに呼び出されていた。その時は僕も仲良いんだな〜と思っていただけだった。でも君は休み時間がおわっても教室に帰ってこなかった。
君が見つかったのは、校舎の裏庭。そこに横たわっている君は、まるで今までの君とは違う、君の体は赤で染まっていた、君の目からは一粒の雫がこぼれていた。
「おい・・・」
「聞こえてるなら返事してえや・・・」
君が返事をすることはなかった。それでも君がいなくなったことが信じられなくて、僕は話し続けた。
僕は君の苦しみに気づいてあげることができなかった、君を止めることができた、はずなのに。
お願いだから、もう一度、もう一度だけでいいから。君の
笑顔を
声を
聞かせて
気づいてあげられなくてごめん
こんな僕でも君は許してくれるかな
僕は君に幸せをたくさんもらった、なのに僕は君になにもしてあげられなかった、僕は今でも君の笑顔を思い出す。
そして君にまた出逢える日を
ずっと、ずっと、待ち続けてる。
君がまた逢いに来てくれる、
その日を願って。
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