SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

コメディ・ライト【ルビ】の『melancholyな日々。』の ( No.52 )

日時: 2016/03/27 10:54
名前: ハセガワ


「……あ。」

ころり、と消しゴムが落ちた。

テスト中故にやけに音は響いた。ただ誰も取ろうとするような奴はいない。当たり前だ、だって私はいじめられているから。
なんてことない。ただの無視。
まあそれでも少しくらいは堪えるわけで。

無言で唇を噛み締めた。

その瞬間チャイムが鳴る。同時にテスト時間は終了となる。



まあでも、私のいじめは少しは私にも要因がある。

私は一人が好きだ。というか人間が嫌いだ。___音が、嫌いだ。

それは私のこの地獄耳が原因だ。

幼い頃から、私は耳が良かった。人の心臓の音すら、厨二っぽく言えば遠くの鳥の囀りとか。異常。そんなわけで私は親には不気味がられ、喋ることすら許されなくなった。私の次に生まれた妹は、不気味な姉と比較され、それはそれは可愛がられた。

悔しかった。ただひたすら。

でも、この耳のお陰で私は人を信じれば傷つく、ということを知れたのだ。

中学のとき、私は偶々聞いていた。その子にとっては離れていたのだろう。でもそんなのはこの異常な地獄耳には関係ない。

聞こえてしまった。

彼女が私の悪口を言う声を。

汚い笑い声だった。

醜い声。

だから私は塞ぐことにした。

ココロを。

いらない。

いらないから。

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