SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

「  」 ( No.66 )

日時: 2016/05/02 21:19
名前: 無記名


 この世の中は、私の嫌いなもので溢れている。

 社会に出てからなんか使わない「常識」を教えてくれる学校。
 ちょっとしたズレから簡単に嫌われてしまうコミュニティ。
 いちいち挑発的な人。

 なかなか進まない宿題。
 やらなきゃいけない進路選択。
 どうしても馬が合わない人。

 ケーキのフィルムについてるクリーム。
 溶けかけのアイス。
 

 嫌いのもの、といわれて出てくるのは大きなものから小さなものまでたくさんあるけど、一番嫌いなのは、そんな「嫌い」をネットの海に流す自分。

 黙っておけばいいじゃん。
 人に言うことないじゃん。
 文字にする意味なんてない。


 何かして、自分の中で反省して、また同じことをして反省して、今までずっと繰り返してきてたこと。
 でもそのなかで、どうしても嫌いになれないものが出来てくる。

 一緒に笑える友達。
 安心できる場所。
 好きな音楽。

 ふと見上げたとき綺麗な星空。
 誰かが撮ってくれたどこだかわからない場所の写真。
 だらだら過ごしている毎日。

 言葉。
 本。
 音。


 嫌い、なんて言ってるくせに、いつの間にか好きになる。

 見たくない、なんて言ってるのにいつの間にか何か目指してる。

 したくない、なんて言ってるのに、いつの間にかやってる。


 きっと、いつの間にか、の間に何かが起こってるんだと思う。
 そうだ、そうに違いない。


 この世に私の嫌いなものが溢れていても、前に進もう。

 明けない夜は無い。
 止まない雨はない。

 それに、夢を見つけるのは、星を見つけることなんかより、ずっとたやすい。

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