SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
【HoneyWorks】 三角ジェラシー プロパティ ( No.83 )
- 日時: 2016/06/23 19:07
- 名前: 雫
「五月蝿いな………」
私、日向小鳥は怒りを込めて呟く。
全く、この気持ちの良い昼休みの時間に、誰が廊下で騒いでんの!
ま、どーせ、幼馴染みの、アイツ──小川優太の声なんだろうけど!
ったく、ムカつくなぁ!
いつまでも子供っぽくて、怒りっぽくて、五月蝿くて。
私が密かに想いを寄せてる先輩───真鍋彰人さんとは、大違いだよ!
先輩は、大人っぽくて、いつでも冷静で、おとなしくて。
「なー、小鳥ー。今日、お前んちで夕ご飯、食べて良いかー?」
って………もう!
「ここで聞かないでよ!少しは遠慮してよねー!」
「別に良いだろ、俺ら、幼馴染みなんだしさ」
だから………あー、もうっ(*`Д´)ノ!!!
幼馴染み、出さないでよ!
恥ずかしいから、やめてよねっ!
優太は、怒った私を見てクスリと笑う。
「笑うなー!」
「いいじゃん、面白いんだもん、お前」
「あんたねー!」
もう!
全く、ほんとに、ムカつくやつだ。
でもたぶん、私が先輩のことを好きな様に、こいつにも、どうしようもなく好きな奴がいるんだろう。
優太の視線の先には、どんな人がいるのやら。
ま、興味はないんだけど。
でも、応援してるよ。
だって、幼馴染みだもん。
仕方無いよね?
だって、私、優太のこと、人一倍知ってるもん!
ダメなとこだって………嫌いな食べ物だって、もちろん知ってる!
理想の女性像?って奴も知ってるよ!
私と正反対の、大人しくて可愛くて、美人で頭の良い子でしょ?
何で知ってるのか、理由は自分でも知ってる。
でも、理由なんて簡単だよ。だって───
だってだって、ずっと、隣にいるから。
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5843日前から始まる、私と優太の過ごした物語。
舞台は大詰め三角ジェラシーってところかな?
未完成な私の恋愛。
幼馴染みだからって、邪魔しないでよね!
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ある日の授業中。
私は不意に優太の方を見る。
優太の眼にはどんな女の子が写っているのか───気になったからだ。
でも、優太が見つめてたのは───私?
優太の視線は、私に向いてたの?
って、そんなわけないよね、たまたまだよ、たまたま。
ありえないよね───多分。
───────────────────────「うわぁーん!」
涙が止まらない。
溢れ出てくる。
先輩には、好きな人がいた。
もちろん私じゃない人。
でも、その好きな人には好きな人がいたみたいで。
その、先輩の好きな人と、先輩の好きな人のさらに好きな人がさっき、付き合い始めたそうで。
先輩は告白する前に、フラれた様子だ。
今日こそは、自分の気持ちに素直になって、先輩にこの想いを伝えようって決めたのに。
なのに、無理だった。
───泣いてる先輩に、笑顔で「好きです」なんて、言えない。私にはできないよ。
で、私はなくことしかできなかった。
泣きわめいて、一刻も早く家に帰りたくて、走る。
走って走って、校門前に着いたとき。
「ほら、帰るぞ」
校門前には、優太がいた。
嘘でしょ───待ってくれてたの?
私は笑われたくなくて、必至に涙を拭う。
涙の理由、聞かないで!
いつもみたいに、バカみたいに五月蝿くはしゃいで、私のこと笑わせてよ!
ねぇ、お願い────!
それで、少し慰めてよ!
もうちょっとくらい、優しくしてよね!
それで、これからも、ずっとずっと───私のこと、笑顔にさせてね!