SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

貧血少女 ( No.19 )

日時: 2016/09/20 20:30
名前: PLUM

ぱち。
あぁ、保健室か・・

私は昔から病弱で、生まれた時から謎の発作が起きている。

それは…――“貧血”だった。

でも昔と比べれば、症状は軽い方だ。
よくそのことはクラスメイトなどに言われたら軽く流してるけど、私の大きい悩みの種だった。
多分授業の挨拶中に立ちくらみを起こしてしまったのだろう。

――がらららっ。「るーちゃーんっ!授業が終わったから来たよー♪」

やってきたのは、幼馴染の「うささ」こと、宇佐美東華。
いつも貧血のことでからかわれる時、私を守ってくれる、優しい子。

「いやー、びっくりしちゃったよ!まさか挨拶中にね。まぁ私も何回も見て来たから、なんか「心配」というより、「安心」の方が大きかったかな!」

「ところで拓くんはどうだった?」

「拓っくん?あぁー、発表の時にドジをして、赤面になっているのが、とても印象的だったな〜」

「えぇ・・見たかったあ〜」

拓くんは、中学校からの片思いしている男子だ。拓くんのことが気になって、同じ高校に入ったことは言うまでもなかった。

ふらぁ・・・どさっ。
「るーちゃん!?ちょっと先生―――」
ここで意識が途絶える。

そして目を覚ますと、近所のよくお世話になっている病院だった。

まず一番に、涙で顔がぐっしょりの母に目がいってしまって、思わずクスッと笑ってしまった。
「ところで今日の夜、好きなドラマが放送されるから、見ていい?」
すると母は一瞬気難しい顔をして、

「実は―――・・・もう倒れた日から、ちょうど一カ月が経過してるの」

「!?」最初は驚いたが、入院期間はあと一週間と知った時は、大丈夫かなと思ったので安心した。

―――そして入院してから一カ月と一週間。私は無事退院した。
もう季節は冬に近付いているので、寒さが体にしみる。
しかも雨だったので、一層寒い。

家に帰ったら、久しぶりに町を散歩した。
学生さんは今は学校で授業中だから見つからなかった。

この曲がり角を曲がれば、昔遊んでいた公園がある。
「・・そういえば、うささ元気かな」
その時、
がたっ!傘が落ちる音がした。
そーっと見てみる。
「――――・・・!!??」

え?なんで・・・?!

なんでうささと拓くんが・・キスしてんの!!?

そしたら、ショックのあまり力が出なくなって・・また倒れてしまっ
た。



―――そして、二度と目を覚ますことはなかった―――




なのでうささと拓くんはどんな顔でこっちを見たか、私は知らない。

「るーちゃん、簡単に騙されちゃったね」

「東華、“ストーカー退治”ご苦労さま」

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