SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

記念日には、貴方の言葉。 ( No.21 )

日時: 2016/09/23 17:16
名前: はずみ

なんの通知も来ない、黒い画面を見つめてた。
私には広すぎるリビングへ、大きな窓から橙色の光が射していた。
ソファに寝っころがって、また黒い画面を見つめる。

…………何を期待してるんだろう。
私にとって特別な1日も、私以外のひとには、いつもの1日。そんなこと……分かっているのに。
でも、貴方もなのね。
なぜかガッカリしてしまって、気落ちして目を閉じた。


ズン、と頭が重くて、目を開けてソファに座り直した。
ズン、と気持ちもソファも深く沈んで、背もたれに頭を預ける。ひんやりとした空気がなんとも居心地悪くて、空を窓から眺めた。もう、星が明るく輝いている。自分のついたため息が部屋中に響いて、ビクッとした。

じめじめしたのはきらいだ。
ガッと立ち上がって、お守りみたいに握っていたスマホを充電器に繋ぐ。電源が入ってなかったようで、画面がいきなり明るくなった。
そして、なりやまない通知音。

『おめでと!』
『プレゼントなにがいい?』
『おくれてごめーん!よい1日を!』



そして、貴方からも。

『happybirthday!』

はぁ……

声が溢れて、床にへたりこんだ。
誕生日なんかに、中学生にもなって執着しているのは、ちょっと恥ずかしい。
でも、貴方からの言葉が、たくさんの明るい言葉からよりいっそう浮かび上がって、輝いて心に染み渡っていった。

happy、birthday私。



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