SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
大切な場所 ( No.3 )
- 日時: 2016/09/19 23:38
- 名前: レオン
嫌い。好き。大好き。大嫌い。色んな感情の中俺達は生きている。
怖いと思うこともあれば、カッコいいと思うこともある。
楽しいと思うこともあれば苦しいと思うこともある。
そんな俺が体験した“演劇”はそのどれにも当てはまらなかった。
こんな世界があるのか、声や身振りだけでこんなにも人を楽しませることが出来るのか。
俺もいつかこうなりたい。そんなことを思わせるような迫力に俺は、公演が終わっても放心していた。
「・・・うん。俺この学校絶対に受ける!いや受かるぞ!」
「・・・はいっ!一緒にがんばりましょうね!」
寝ていたのだろうかとても懐かしい夢を見た。
まだ、俺が“あの人”のファンだった頃の・・・純粋だった頃の夢。
うーんと背伸びをしてあたりを見渡すが、人っ子一人いない。
怪しい仮面や私物がいっぱいあるここは、演劇部の部室。
や
夢にまでみて、やっとこは入れた“演劇部”
その何時もは紅茶などある机に、突っ伏して寝ていたからか、体が軋む。
背伸びをしてもまだ何か足りないような気がする。
「・・・はぁー。今日は先輩も部長も遅いなー、何かあったんかな?まっいっか、取りあえず・・・セリフ確認だけでもしとこう」
中々来ない先輩達。何時もならもう来てもいい時間なのに、いっこうに姿を見せない。
しかも、俺が一番のりなんて、なかなかない。今日は槍が降るかな?
いつもは出来るだけ関わりたくない部長に今日は助言を求めて来たのだが。
今日はまだ来ていないらしい。
今日はもうすぐ公開の演劇、ハムレットのセリフ会わせで来ている。
先輩の役はハムレット、部長がホレイショー、俺の役はレアティーズ。
とても大切な役。そして初めての舞台でとても緊張している。
間違ってはだめだと思い、余計な力が入ってると先輩に注意されてしまったり。
ミスをしてもう少しで怪我をしてしまうとごだったり、ヒヤッとした事もあった。
ハムレットは有名な悲劇だ。やはりこのレアティーズも死んでしまう。
最近は先輩方の喜劇ばかり見ていたためか、中々役が掴めない。
「・・・胸のつかえが取れました。・・・しかし名誉に関しては別なのです!」
「それは、・・・王の、っ、王の陰謀で・・・す」
一人ぽつりと演じていても悲しい、虚しいだけだ。
いつもは先輩や嫌でも構ってくる部長が何かしら注意や助言をしてくれる。
それがないと・・・寂しい。なんて思う日が来るとは思ってもみなかった。
それもそのはず、憧れの人があんな“変人・奇人”だとは思っても見なかった。 初めてあったときとは違う、アイツにショックを受けた事さえあるのだから。
本当に俺の気持ち返せよ。
「あー、やっぱり・・・よくわかんない!!!!どうやったらレアティーズらしくなるんだ?」
本当に独り言は、悲しい。
「おぉ!!とても熱心ですね!!今日は部活が無い日だっていうのに!」
突然聞こえてきた部長の声にビクッとしたが・・・いつものことだ…って
えっ・・・マジか、最近忙しくて曜日感覚ズレてたらしい。
「おい、バカ部長。後輩が怖がっている」
「せ、先輩!!」
「ふっふっふっ、何ですか?!!怖がっている!!いいじゃありませんか!!!!!」
「うっさい。おい、大丈夫か?」
「うわぁーん。先輩!!」
寂しかった部室が急に明るくなった。そして怖かったのか嬉しかったのか俺は先輩の胸に飛び込む。
「うわっ。危ないだろう?」
「ごめんなさい」
「ふふふ、さぁ愉快な部活の始まりですよ!」
こうして今日もまた騒がしい演劇部が始まる。