SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

堕天使 ( No.36 )

日時: 2016/10/10 10:46
名前:

堕天使は、言ってしまえば天使の中で最もクズな存在だろう。


私たち天使は主様に仕え、主様を愛す。ただそれだけでいいのだ。 それなのに別のヒトを愛すなど、あってはならない事。


毎日のように天界にいる天使の中で噂になる。


「今日はあの天使が堕天した」「昨日は誰々が堕天した」


天使は天界での仕事以外にも下界―、俗にいう人間界での仕事もある。

だからそこでヒトと会い、恋に落ち堕天する。

今まではそんな天使たちは馬鹿だ、と思っていた。


「恋なんて馬鹿馬鹿しい。我々天使は生みの親である主様のために働けばよいのだ」


私は噂話をする、ほかの天使たちを見ながらそう小さくつぶやいた。

それが、数か月前の話。私がまだ【天使】だったころの話。

今は、自分で馬鹿馬鹿しいと思っていた恋に落ち堕天した、愚かな堕天使。

背中には天使を象徴する白い羽の代わりに、堕天使を象徴する、真っ黒な羽が生えている。

メンテ