SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
星空と秘密の気持ち ( No.5 )
- 日時: 2016/09/10 02:59
- 名前: 霊歌
私は星空が好きだ
キラキラ光ってきれいで、それらを紡ぐことで星座ができて、それら一つ一つに物語がある
でも、だからこそ触れることはできない遠く離れているからこそきれいで夢がある
だけど私は触れてみたくて少しでも近づきたくてよく夢を描く
でもいつまでもそうしてはいられない
今年で私も中学生なのだ
そろそろ夢を描くのをやめて現実を見なくてはいけない
そしてとうとう入学式の日がやってきた
私はここで区切りをつけるのだ
そんな思いで登校した
たどり着いてまず人の多さに驚いた
でも、そんなことよりもっと驚いたことがあった
大勢の中私は一人気になる人を見つけた
その人だけ星をまとっているように見えた
『触れてみたい』そんな衝動から私は彼を追いかけた
そして追いついて手を掴んだ
彼はひどく驚いたように私を見た
そして我に返り恥ずかしさと焦りに襲われた
勢いで掴んだはいいがその後どうするかなんて考えてなかった
ああ、もう、こうなったらやけくそだ
「わ、私南條 由良、え、ええと、良かったら少し話でもどうかなって・・・って、ご、ごめんね、い、いきなりで、驚いたよね、え、ええと、別に怪しいものじゃないんだよ!」
苦しまびれで必死な私に彼は笑って言った
「南條さんって面白いね、後怪しい人なんて思ってないから大丈夫。あ、僕は仲野勇也よろしく」
「え、あ、よろしく」
私は予想外の反応に少し戸惑った
けれどうれしくて必死に言葉を紡いだ
「そういえば南條さんって何組?」
「え、あ!まだ確認してなかった!」
「南條さんってなんか抜けてるね」
「うっ」
「僕もついていくから一緒に確認しにいこ」
「うん」
私は仲野君と同じクラスのように願いながら見た
結果はなんと驚くことに同じクラスだった
それからいろんなことを話した
お互いの好きのもの、嫌いなものそんなたわいないことをいろいろ話した
それから一年はあっとゆうまに過ぎた
春休みに入って私は一年最後の思い出作りに彼を天体観測に誘った
仲野君は誘いに乗ってくれた
場所や望遠鏡は私が用意した
私のお気に入りの場所で二人で星を見た
よく一人で見ていたのに仲野君がいるだけでいつもより輝いて見える
出会った時から見えていた仲野君の周りの星は手を伸ばせば届きそうで
でも、手を伸ばせない
それがもどかしくて
でも悪くない
きっとこの気持ちが何なのか私はわかっている
でも今はまだ私だけの秘密
いつかきっと伝えるんだ
そしてその星に触れられますように
私は二人で見る星空にそっと願いをはせた