SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】
夕焼け月夜を君と ( No.6 )
- 日時: 2016/09/12 21:59
- 名前: PLUM
「香奈ー!一緒に帰ろうー!」
私には幼馴染がいた。6つほど下の可愛い小学生だ。しかし姉は、「香奈ってショタコン?w」とか言っている。
別に・・これはショタコンとかそういう感情はないよ!・・ないよ!?
元は私のもう一人の同級生の幼馴染で、でもその同級生の方は部活で次期エースも期待されてるから、部活(サッカー)があるにつれ忙しくなっていき・・
いつの間に、部活が緩めで早帰りな私と、小学校のサッカー・・ではなく野球クラブチームに所属している小さい方の幼馴染が、帰り道が一緒になる日が多くなっていた。
「あれ?今日は早いね」
「うん!だって、俺のチーム、五回でコールド勝ちしたんだぜ!」
「へぇー!すごいじゃん!」
野球クラブは、かなりの強豪チームだそう。
「ところで、それ何ー?」
「それ?あぁ、さっきコンビニで買った苺大福?・・まさか。」
「俺にもちょーだい!中に入っている苺だけでもいいからさ!」
「苺!?さすがに無理あるよそれ!!・・と思わせて、もちろん浩の分も買っておいたよっ♪」
「おお!香奈さすが!サンキュー!!って、なんで苺大福?」
「ほら!今日って【お月見】でしょ!だからお団子じゃないけど、団子っぽい物が食べたくなっちゃって・・」
「ふーんっ(ニヤリ)、また太るよ?」
「いいじゃん別に!食べてもあまり体に支障がn・・ん?」
浩の目が涙目になっていた。
「ごめん香奈・・嘘付いた・・実はコールド(勝ち)じゃなくて、コールド(負け)の方で・・ふぁふぁら・・ふぁふぁふぁふぁふぃふぃふぉふぁふぃふぅふぅふぉふぉふぁっふぇ、ふぅふぉふぉふふぇふぃふっふぇ・・」(訳:だから・・香奈から苺大福をもらって、とても嬉しくって・・)
大福を頬張りながら涙をこぼす浩。
「・・じゃあさ、今日はお姉ちゃんが団子を特別に作ってあげる!私の家に来てよ!」
浩の汗だくな頭をわしゃわしゃ撫でながら言った。
すると大福をごくりと飲み込む音がして、私の顔に向かって背伸びした。・・それは一瞬の事だった。
餡の小豆の甘さと汗の味が混ざり合うような、そんな味・・つまり。
【フ ァ ー ス ト キ ッ ス】。
「へへっ♪子供扱いしたお返しー!」
「ち ち ちよっとおーー!?///」
私は顔を真っ赤にし、何やらの赤い液体を鼻から垂らしながら、浩を私の家まで追いかけた。
((お姉ちゃん、私ついに目覚めちゃったのかなぁ!?))
そんな事を考えながら、いつもの帰り道を走り抜けていった。
夕焼け空に現れた満月が、それを優しく見守っているみたいだった。