SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

好きなんですもの ( No.11 )

日時: 2020/12/12 09:26
名前:

私は、幼い頃から特別でした。
人を見る目が厳しかったのです。特に、容姿を見る目が。
この世界は、美しくない人でいっぱいでした。
美しくない人を見ると、嫌気がさすのです。
私が獣を見る目で美しくない人を見ると、その人は怒りました。
私は怒った意味が分かりませんでした。
ダッテ、美しくないものが美しさを否定される、それは当たり前でしょう。
美しくないものは、“美”について文句を言う権利はないのですから。
美しくないものが目に映るということが苦しくなってきました。
私は悩みました。どうすれば美しくない人を消すことができるのか、と。
私は決意しました。私の家は大金持ちでしたから、資金を集めることは簡単でした。
美しい者を見つけ、自分の周りに置いて行く。
そう、私は美しい者だけでつくられた組織をつくったのです。
私はその組織の頭領として、組織を指揮しました。
美しく無い者は、見つけた次第殺しました。
私の組織は頭の良いものも多かったので、殺した痕跡が残らない毒の製造など簡単なことでした。
ある日、私が朝コーヒーを飲んでいると “上級幹部が銃弾に撃たれて死亡”という知らせが入りました。
上級幹部はとても美しい者の集まりでしたから、
死亡したと言う知らせは大きなものでした。
誰が殺したのか調べると、驚きの情報が手に入りました。
上級幹部を殺したのは私の弟だったと言うのです。
弟は、容姿だけで人を決めつけてはイケナイ、と言う人でした。
私の弟という理由で殺すのはやめておきました。
しかし、弟が私たちが“美しくない者”を殺したところを発見し、警察に通報すると言いました。
今回ばかりは弟であっても殺さなければなりませんでした。
弟を殺したのが5年前なので、弟は5年も復讐のチャンスを窺っていたと言うのです。
私は弟に向けて追っ手を放ちました。
その後、弟を銃殺したという知らせが来ました。

私は、美しい者を常に求めていました。
けれど、美しい者とともにベットに入ったことはありませんでした。
私は組織で1番美しい男を選び、ともにベットに入りました。
とても美しい男子が生まれました。
私が死んだら彼に後を継がせるつもりです。
彼は、世の中を美しい者で満たしてくれるはずです。
テレビで、“容姿の基準が上がった”というニュースをやっていました。
30年前に“美人”と言われていた顔が、今では“普通”レベルの顔になっていると言うのです。
私は腰を抜かしました。
私の組織は日本国内で600万人余りの美しくない者を殺しましたから、
美の基準が上がっていてもおかしくないのです。
私は途方に暮れました。

ああ、どうすれば世界が美で満たされるのだろう、と。


メンテ