SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

Aporonn ( No.12 )

日時: 2020/12/21 12:39
名前: muteR

冷たい床 冷たい目 隙間風 

それが僕の生まれた場所 僕の全て 僕の生まれた意味

球体関節 廃墟に似合わない美しい服 黄金硝子の目

それが僕の姿 僕の全て 父の愛しい僕


父さんは言った、「御前は最高傑作」なんだと、
兄弟たちは言った、「おまえは化け物」なんだと、

僕は最高傑作でもない、化け物でもない、

こんなに、こんなに美しい僕。
白い陶器の肌 滑らかな金の糸で作られた髪

ゆっくりと立ち上がれば 球体関節は音も立てず

誰も居なくなった廃墟から 美しい人形が姿を現す
金の髪 金の瞳 金刺繍のひらひらとした服





アポロン アポロン 嗚呼 神の姿の模造品


輝くばかりの その姿は 見るもの全て 虜にする
価値が 分からぬ 愚かな俗物 、壊れてしまえ

アポロン アポロン 嗚呼 気高き太陽神


ひたすらに 悲しい その姿は 哀れなただの 絡繰人形


居場所は とっくに 存在しないのに 
探して 探して ただ進む

自分の価値も分からずに 自分の定義も分からずに

     自分がなにかも分からずに


主が作った この体 白い陶器の この体

ひたすら歩き 続けても 球体関節は 壊れもせず




アポロン アポロン 嗚呼 神の姿の模造品

輝くばかりの その姿は 見るもの全て 虜にする


アポロン アポロン 嗚呼 気高き太陽神


ひたすらに 悲しい その姿は 哀れなただの 絡繰(からくり)人形

嗚呼 我が主は 一体何処へ

私は 行くのだ 気高き 故郷へ 


メンテ