SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

夢に沈む ( No.32 )

日時: 2022/08/06 00:56
名前: 羅亜

「......あぁ......」
都市の路地で男性が一人、嗚咽をもらした。彼の左手には千円札が一枚と、百円が四枚、一円が三枚あった。右手には血に濡れた刃物を持っていた。彼は人をxし、現在警察の手から逃げる為に何処かへ潜伏しようとしていた。だが、
「......煙草、買うかぁ......」
 どうせ千円札なんてすぐに貯まるだろ、どっかの家にでも入れば良い。電車は......行けるか。
 『現夢駅(げんむえき)』
彼は駅から出て、団地へ進む。その先は
「ねぇ、おじさん」
「......あ?」
彼に話し掛けたのは、十代半ばの少年だった。その少年の後ろには似たような顔ぶりの少年が三人いた。
「......何の用だい?坊や」
「おじさん、此処、初めて?」
「......そうだよ」
「じゃあ、案内してあげる!俺、神来社華月!此方がー」
上から、華月(かづき)、観月(みづき)、榊(さかき)、伊月(いつき)......クソッ......厄介なもんに絡まれちまった。
彼案内をされた後、泊まる所として少年達の家へ......逝(行)く事になった。
 「ごめんなさい、海堂さん。この子達、騒がしかったでしょう?」
家へつくなり、少年達の母親は頭を下げた。少年の一人が言葉を口にする。
「お母さん!海堂さん、泊まる所がないんだって!泊まっても良い?」
「え?でもー」
「良いですよ、お母さん」
「そうですか?じゃあ、部屋を用意しますね」
 夕食にて。
「あーっ、榊!僕の唐揚げ取らないで!」
「へへっ、観月の唐揚げも〜らいっ!早い物勝ちなんだよ〜!」
「やめなさい、みっともない!!」
母親の一喝が響く。彼はただ、この幸せ(嫌な)光景をただ見ていた。ふと、彼は少年たちの母親に聞いた。
「......お母さんは、彼等の見分けをついていますか?」
「ええ、勿論ついています。海堂さんはー」
彼は母親が動く前に、一人の少年を指差した。
「この子が、華月君、ですよね?」
「え?ええ、そうです」
「!!......おじさん、俺の事分かるの?!」
「あ、ああ......なんとなくね」
「ホント?!」
「う、うん......」
なんだよ、なんでこんなに執拗に聞くんだお前(華月)は。
 「おじさん、入っても良い?」
......華月か?......
「ああ、入って良いよ」
待て、俺......今、声で判断した?
「ん、分かった。ねぇ、おじさん」
「......なんだい?」
「おじさんは、ずぅ〜っと!家(うち)に居てね!」
「......うん、いるよ......」
少年(華月)は部屋から出ていった。彼は財布を見て......
「......なんで、なんでだ......?」
財布の中身を見て、驚愕した。そこには、千円札が一枚、百円が四枚、一円が三枚あった。
使ったはずだぞ?なのになんで金があるんだ!?気持ち悪い!!
彼は彼しかいない部屋の中で呟いた。
「......出よう......」
 街頭のない団地を彼は財布だけを持ったまま歩いていく。家(華月の家)からは遠ざかっていく。
そして、
「ねぇ、おじさん」
「......あ?」
彼に話し掛けたのは、十代半ばの少年だった。その少年の後ろには似たような顔ぶりの少年が三人いた。
「おじさんは、ずぅ〜っと!家(うち)に居てね!」

メンテ